月が綺麗とは言わないで
3人目のお話です。
好きな人を月に例える人ってバカみたい!
だって嫌いな奴が太陽みたいなのよ?近づいたら苦しくなって死んじゃいそうになるし、離れてても目につくんだもの。だってのに好きな人が月だなんて、まるで嫌いな奴が居ないと好きな人が見えないみたいじゃない!それに花に例えても、太陽がいないと見えないじゃない!嫌よそんなの。好きな人は月でも星でも花でもなくて、空気がいいわ!空気なら太陽なんてなくても感じられるし、空気があるから生きていられるのですもの!
でもアタシ、嫌いな奴が太陽みたいって言ってるけど、別に太陽が嫌いなわけじゃないのよ?だって太陽の光で起きる朝はスッキリするし、植物が育つのも景色の美しさを見ることができるのも太陽のおかげだもの。
あれ?でも空気を作るのに必要なのも太陽ね。だって酸素は光合成でできて、少しでも空気中の割合が変わったら息ができなくなっちゃうもの。
じゃあ好きな人が空気ってのも駄目じゃない!もう!やっぱアイツ嫌いよ!
アイツを太陽以外に例えようと思ったことだってあったわ。アタシ、馬鹿じゃないもの。でもね、一番似合うのはやっぱり太陽なのよ!
アイツってば周りをキラキラさせて鬱陶しいったらありゃしないし、さっき言ったみたいに近づくと胸が締め付けられるみたいになって苦しくなるんですもの!とっても離れてるのに目が合うと笑ってこっちを見るからつい見ちゃうのよ!だってきっとアタシをバカにしてるんだわ!
こないだだってそうよ!夜の散歩に行ったらアイツが公園にいたの。いくら嫌いでも挨拶はした方がいいかなって思って近寄ったんだけど、アイツ、こっちに気づいたらなんて言ったと思う?
「月が綺麗ですね」
ですって!一瞬びっくりしたじゃない!
アイツ、賢いくせに全然本読まないから意味知らないで言ったのよ!だから仕返しに言ってやったの!
「太陽がいないと意味ないじゃない」
って!
そしたらアイツ、なんでか目をおっきくして耳が真っ赤になってたの。きっと、太陽がいないと月が見えないこと知らなかったんだわ!いい気味ね。でもアイツってばその後ちっちゃい声で、
「月は君だよ」
なんて言ったの!信じられる!?
だからアタシ決めたの。絶対アタシ、アイツより賢くなってやるの!それでアタシが月だなんて間違いだって言わせてやるわ!太陽がいないと見てもらえない月なんかじゃなくって、アタシ自身で輝いて見せるんだから!
この作品を見つけて下さり、その上ここまで読んでくださりありがとうございます。
作者がイラつくくらい鈍感な小さい子の恋愛をイメージしました。




