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廻って、紬いで。

作者: momin

僕はいわゆる普通の人間だったらしい。


目覚めたとき、僕は大半の記憶を失っていて、

両親と、僕と仲のよかった友達がそんな自分を見てなんともいえない表情で立ち尽くしている光景だけが目に焼き付いている。

ただ、僕はどんな人間だったんだろう、これからなにをしなくちゃならないんだろう、そんなことをぼんやりと考えていた。


「廻、目が覚めてよかったよ」

僕に話しかけてきたのは、幼馴染だという女の子だった。

名前は紬。長めの黒髪でくっきりとした二重、ぽってりとした唇、優しそうで、とてもよく喋る子だった。

見せてくれた写真の僕となぜか雰囲気が少し似ている気がした。

だけど僕は唇がとても薄くて、目はどんよりとした三白眼、自分ながら少し冷たい印象だった。


どうやら僕は写真が好きだったらしい。

机に置かれていた服のポケットに突っ込まれていたスマホには写真がたくさん入っていた。

遡ると紬の写真がちらほらとあった。一緒にいろいろなところに出かけていたらしい。


紬から思い出話を聞いているうちに自分のことを思い出せる気がした。

学生の頃はほぼ毎日一緒に帰っていたこと。

朝がくるまで未来について語り合ったこと。

社会に出てからは少しすれ違ってなかなか会えなくなったこと。


僕は今23歳だった。

そして、実際にはなにも思い出すことはできず、小説を読み聞かせられているようだった。

母の話では僕はいま都内の会社に勤めているらしい。

事故で入院中のため休職ということになっているようだ。


SNSでは何人かからの連絡が溜まっていた。

今の状況を伝えるすべがなかったため、おそらく約束を破ってしまった人もいるようだった。


一通り検査を終えたところで少し外を散歩することにした。

どれだけの時間僕は眠っていたのだろう。

足が思うように動かなかった。

少し目が悪いのだろうか、ぼやけた視界で辺りを見回して大きく息を吸った。

なにか新しいRPGゲームでも始めたような気持ちだった。

よくドラマの物語でありそうな記憶喪失になって後々自分が凄い所の御曹司だったと判明するとか…

そんなエピソードはあるわけがなかった。


僕はなぜ記憶を失ってしまったのか。

それについては誰も知る由がなかった。

伝えられたのは事故に遭って頭を打ってしまったということだけだ。


「ねえ、また会いたい」

DMで連絡があった。

誰なのかわからないが、過去に会っていた人なのだろう。

画面には"來"と表示があった。

ひとまず僕はいま記憶を失っていると伝えることにした。


{うそでしょ。忘れちゃうなんて…なんで連絡してくれなかったの。いまどこなの?}

パニック状態のようだった。

すると間もなく電話がかかってきた。


「廻くん、大丈夫なの、どこにいるの?」

僕は、失礼ですがあなたは…と聞くと、

すこし間が空いて「……付き合ってるの、彼女だよ、あたし。來、わからない…?」

と言われた。


僕の彼女、?

周りから僕に付き合っている人がいるなんて話はなかった。

もしや誰にも話していなかったのか。

そんなことあるだろうか。少し頭が痛くなったがひとまず來の話を聞いてみることにした。


出会いは近所の公園で夜散歩をしている際に煙草の火をもらったこと。

少したわいもない話をして解散したが、数日後また出会って連絡先を交換し、何度か近くの喫茶店で理由もなく会うようになった。

僕は本を読んだり、写真をとるためによく散歩にでていたという。

來も本を読むのがとても好きで話が合ったのだそう。


話の辻褄は合っているようだった。

受け入れるにはしばらく時間がかかりそうだったが、なにか思い出すきっかけになると思い、來と週末に会う約束をした。


夜、紬とご飯を食べに行った。

僕はエスニックがすきだったといわれ、過去に行った店に連れて行ってもらった。

店のおすすめらしきセットを頼み、待ち時間に來のことを知っているか尋ねてみた。

紬は少し考えた後、「わかんないな」と少し怪訝な顔で話した。

そうだよな、知っていたらきっととっくに言っているよな。


「そっか彼女いたんだ、廻。なんで言ってくれなかったんだろ。」

気まずい雰囲気になった。

「ずっと忙しいって言ってたのそれが理由だったのかな。いたのはともかく話してくれなかったのがショック」

僕は何も言えなかった。


僕は來の顔を一切思い出すことができない。

何人かカメラロールの中に女の子はいたものの、特出して多く映っている子もいなかったのだ。

付き合っていたらたくさん写真を撮っているような気もするのだが。

少しもやっとしたが、おとなしくご飯を食べることにした。

たしかに紬の言っていた通り僕はエスニック料理がすきらしい。

これまで気を張っていたせいかとてもおいしく感じた。


「君は優しすぎるんだよ」

紬がボソッとそう口に出した。

え、?どういう意味か分からず聞き返すと、

「なんでもない、ごめんね」

そう言われた。

心につっかかりが残るまま岐路につき、家まで案内してもらった後解散した。

僕はそういえば、とおもむろにかばんに入っていた煙草に火をつけた。

深く煙を肺に入れる。こんなことは覚えているのにな、そう思った。

そして知らない天井を眺めながら眠りについた。


週末になり、僕は昼の待ち合わせに間に合うよう準備をしていた。

クローゼットには見渡す限り黒い服しかなかった。

僕はつくづくつまらない男だったんじゃないのか。

そう思いながら手前にあった服を身に着け、

少し伸びているであろう髪をなんとなく整えながら、そういえばずっと片耳にピアスをしていることに気が付く。

少し変わった形をしたシルバーのリングピアス。

これは自分で買ったものだろうか。考えてもわからないことばかりで嫌になってきた。

母に挨拶をし、体調を確認されながら家を出た。


歩きなれていたであろう道をマップを見ながら進んでいく。

約束の喫茶店の前で待っていると、來から電話があった。

駆け寄ってきた人に声を掛けられ驚いていると、

「廻くん、おまたせ」

目の前にはショートカットにたれ目なクールな外見の女の子。

どうやら彼女が來のようだった。

少し考えてボーっとしていると手を引かれ、店内に連れていかれた。

彼女は常連なのかメニューを見ずささっと注文をすると、

洗いざらい知っていることを問い詰められた。


すべてを聞き切った後、本当に僕がなにも覚えていなかったことに呆れたように、

はあ、とため息をつき、珈琲を一口飲んだ後、煙草に火をつけた。

と思うと振り切れたように笑顔を見せて、

「なんだかおとぎ話みたいだね…チーズケーキでも食べよっか」

と提案してきた。

不思議な子だ。そう思ったが僕も頭を使いすぎて甘いものが食べたくなったので、

僕はチョコレートケーキが食べたい、といい、

結局チョコレートケーキとチーズケーキを注文した。

すると彼女は

「やっぱり全部忘れても、廻は廻なんだね」

と嬉しそうにしていた。

さっぱり意味が分からなかったが、これまで喫茶店に通っていたときも毎回その二つのケーキを頼んで分けるのがお決まりだったのだという。


これまでの思い出、たわいもない話をして時間が過ぎた。

夕方になり、來と初めて会ったという散歩道を歩いてベンチに腰掛けた。

不意打ちにキスをされた。來は笑いながら目には涙を浮かべていた。

僕はまたなにも言えなかった。


「知ってる?人ってね、誰かに教わったことしか人にできないんだって。

あたし、前に廻くんに聞いたの。あたしが一番?って。でも廻くん微笑むだけで答えてくれなかった。

傷ついた、あたしは一番にはなれないんだって。本当はわかってた。でもそれでもいいやって思ったの。

でも、違かった。廻くんが記憶を失くしたって聞いて、あたし嘘ついた。

ごめんね。本当は彼女じゃないんだあたし。」

嘘だって言わなきゃよかったって思う日が来るのかな、そういいながら無理に微笑む來はとても悲しい顔をしていた。


僕は理解できなかった。なぜ彼女を傷つけなくてはならなかったのか。

なにもわからないはずなのになぜか僕もとてつもなく悲しい気持ちになった。


「じゃあね、廻くん。また会えてよかった」

そう言って駆け出す彼女を見つめ、僕は茫然とその場に立ちすくんでいた。


僕は家に帰り、彼女の写真がなかったか確認することにした。

しかし、さっきまで近くで見ていたはずの顔が一つも見つからなかった。

なにか忘れなくてはならない理由でもあったのだろうか。


僕は本棚にならぶ本に目をやった。

思いのほか本がたくさんあり、本当に僕はこんなに読んだのかと疑問に思ったが、

一冊手に取ってみると奥に古びたフィルムカメラを見つけた。

もう動かないのか?と思い手に取るとまだ少しフィルムは残っているようだった。

せっかくだから使い切ろうかと鞄にしまった。

すると、友達であろう人から連絡があった。

溜まっていたメッセージには一通り同じように近況報告を返していた。

誰とどのような関わりがあったかは分からないが、みんな心配してくれているようで、

その内の一人が明日会えないかと連絡してくれたようだ。


明日、一人暮らしをしているというその人の家に尋ねることになった。

どうやら保育園来の付き合いらしく、これまで月一程度で会っていたようだ。

「廻、お茶でいいか?」

そう声をかけてくる遼という男はとても顔立ちが綺麗でマメな性格だった。

「まったくお前は昔から世話が焼けるんだから。心配したんだぞ」

と遼は親身に話を聞いてくれた。

軽く酒を入れていたが、遼は酒が弱いようですぐに赤くなっていた。

虚ろな目で、ふと

「廻、紬には会ったのか?」

そう言われた。

自分が目覚めた際に母が連絡をしたようで、病室まで駆けつけてくれたと伝えた。

「そうか、紬、元気だったか?」

やたらと心配するのを不思議に思ったが、ご飯に行き色々話をしたと話した。

すると安堵した様子で、

「ならいいんだ、ゲームでもしようぜ」

といい、子どものように二人でゲームをして盛り上がった。


「そういえばお前が記憶を失う前日、急に紬から連絡があって会うことになったって話をしてたんだ。

だからなんかあったのかって思ってさ。ってなにも思い出せないのに言われても困るよな。

でも紬は俺には久々に話しただけで別になにもなかったっていうんだ。

俺はあいつが何か隠しているような気がして。」


考え込む遼。

そうか、紬は僕の幼馴染だといったが、遼とも昔からの縁があったようだ。

「あいつは廻にしか心を開いてなかったんだよな。

俺じゃダメだってわかってたけど…」


悲しげな遼の表情が僕の心をざわつかせた。

僕は果たして人の心を開けるほどの人間だったのだろうか。

いまのところそれはにわかに信じがたい、そう感じた。


「あいつはずっと天涯孤独みたいなもんだったんだ。

ひとりで、誰にも頼らずに、迷惑をかけまいと謙虚に生きてきた。

人一倍他人への警戒心が強くて、めったに誰かと仲良くするなんてことなかったんだ。

そんな紬が唯一信じられるといったのは廻、お前だけだったんだよ。」


紬にとって僕は…

僕にとって紬は、どんな存在だったのだろう。


そうして考え事をしているうちに酒もまわって夜が更け、解散をした。

またすっかり暗くなってしまった見慣れない街をゆっくりと歩く。


さっき遼から聞いた話を脳内で繰り返しながら煙草を吸う。

ぼやけた視界の中でぼんやり輝いていた蛍光灯の明かりはなぜかすこしだけ懐かしく感じた。

鞄に入れたフィルムカメラにそれをおさめ、帰路につく。


紬に連絡してみよう。

僕から尋ねてみれば、前日なにがあったのかわかるかもしれない。

そう思い、紬にメッセージを送る。


僕は酒も入っていたせいかずいぶんと寝てしまっていたようだ。

会社から明日、顔を出すよう連絡が届いていた。

そういえば、昨日紬にメッセージを送ったんだっけ。

まだなにも返ってきていなかったが、きっと忙しいのだろう。


聞きそびれていたが、紬も立派に社会人として働いているんだろうか。

きっとそうなのだろう。

そして僕も明日から職場に戻ってまたいわゆる普通の人間として過ごしていくのだ、そう思っていた。


明日からの準備を考えながらスマホを眺めていると、スタジオの求人がいくつかブックマークされているのを見つけた。

ああ、僕はきっと夢を諦められずにいたんだろう。

少しもどかしい気持ちになった。

するとそれに紛れて1つ奇妙なページを見つける。


"運命を引き取る方法"

タイトルにはそう書かれていた。

僕はこんなオカルトな趣味があったのか。

少し自分でも引いてしまったが、

つまり人の身に起こる出来事を肩代わりするというものであった。

きっと面白半分保存したのだろう。

そして夜になっても紬から連絡が来ることはなかった。


翌日、僕は都内にある職場へ向かった。

僕の面倒をよくみてくれていたという上司、仲の良かったという同僚には知っているすべてを説明した。

信じられないといったような驚いた表情をされたが、嫌な顔せず一から業務を説明してくれた。

僕は頭がパンクしそうになったが、これまでこなしていたのだ、徐々に慣れていくしかない。

これまでの数日は全て何が何やらといった感じだったが、日に日に自分の過ごす世界に疎外感を感じるようになった。

どうしてこんなことになってしまったのだろう。


帰り道、遼から電話があった。

飯の誘いか何かだろうか。

もしもし?そういうとすぐに、

「廻!紬が…」

とても慌てた声だった。

「紬が…倒れて意識不明だって。

俺の、前にあげた名刺を辿って病院の人から…

とりあえず俺は先に行く、場所お前に送っておくから!」

そういってすぐに電話が切れてしまった。


話に頭が追い付かず眩暈がした。

どうしてこうも立て続けに。

連絡がなかったのも、そういうことだったのか…?


深呼吸をして、遼から送られてきた場所に向かう。

気付かなかったが手には溢れんばかりの汗をかいていた。


たどり着いた病院の前には大きな桜の木がそびえたっていて、

風に踊る桜を目の前にするとなぜか恐ろしく頭が痛んだ。


病室に向かうと遼の姿があった。

何も言わずただそこに立ち尽くしていた。


僕が遼に近寄ると、

茫然としたままゆっくりと口を開いた。


「もう…このまま目を覚まさないかもって、

今生きているのが奇跡なくらいだって、

紬…わかってたのか、?

どうして、そんな…」


紬がいくつもの管に繋がれて目を瞑っている。

つい最近話した時と変わらない、むしろ穏やかな表情に見えた。


どれだけの時間、紬を見つめていただろう。

時の流れが感じられなくなった。

外はすっかり真っ暗になっていた。

ぼんやりした明かりに照らされた桜が僕の目を引き込んだ。


一瞬、視界が揺らいだ。

目の前が真っ暗になった。

風が僕の身体を撫でる。

なぜか懐かしい香りがした。


紬…?僕は彼女の名を声に出していた。

潜在的に僕の心の奥に保存されていた記憶が蘇ったようだ。

まるで、やさしく彼女に包み込まれているようだった。


「君は私のすべてだった。

心を優しく照らす希望だった。道しるべだった。

君はいつも否定していたけれど、誰よりも誰よりもあたたかな人だった。

そんな君のとる写真が好きだった。

君の見る景色を一緒に見続けていたかった。

愛してるよ、廻。」


忘れていたはずの記憶が、景色が、

断片的に僕の脳内を駆け巡った。

目からは勝手に涙が溢れ出していた。

気付くと僕は彼女の病室も窓にもたれかかるように座って眠っていたようだった。


まるで夢を見ていたようだった。

けれど紬は変わらず目を瞑ったまま。

いますぐにでも目を覚まして、さっきみたいに僕に、

その澄んだ瞳で、優しい声で話しかけてくれるような気がした。


僕は気づいていただろうか。

彼女の気持ちに。

そして、僕自身の気持ちに。


一度だけ心から愛する人の運命を引き取ることができる。

"運命を引き取る方法"

僕は奇妙なホームページのことを思い出した。


ただし、運命を引き取られた者は代償として記憶を失う。


1,対象者が眠っている状態

2,2人にとって思い出の深い場所

3,対象者と共通のものを身につけ、引き取りたい運命を深く心に念じる


まさか、こんなおとぎ話みたいなこと、実際にあるわけがない。

そう思いつつも胸がざわついた。


僕の運命が紬に引き取られた?

そんなばかな、誰も僕が命を落とすなんて話、してなかったじゃないか。


ホームページをスクロールしていくと、lieと記載があった。

ライ…?もしかして、あの來なのか?

そんなわけがないと思いつつも藁にも縋る思いで來に電話をかける。


「もしもし。廻くん…?」

慌てて僕は來にホームページの話をする。

すると、これは來が昔本で読んだおとぎ話についてまとめたもので、それについて喫茶店で話をしていたのだという。


「そんなまさか、現実におこるわけないよ。そんなこと…」

電話越しに唖然とした表情が伝わってくる。


僕が運命を引き取る方法について知っていた理由はわかった。

けれど、そしたらなんで紬が…。


もう一度、運命の取引をしよう。

うまくいくかはわからない、でも。

まだ紬の命は途絶えていない。


だが、取引をするには2人の思い出の場所を思い出す必要がある。

どこかに、なにか手がかりはないのか。

いつ紬の命が絶えてしまうかわからない。

もたもたしている暇はないのに。


すると、ふと窓枠からフィルムカメラが落ちた。

この中になら、残っているかもしれない。


急いで現像できる場所に向かおうとしたその時、

來から電話があった。

「廻くん、聞いて、家の書庫にそのおとぎ話の本があったの。

中には、2度運命を変えるのはタブーで、もし掟を破ってしまったら、もう"二度と2人は廻り合えない"って。」


そんなこと…気にしている場合じゃない。

もう二度と巡り合えなくたって、紬を死なせるわけにいかないんだ僕は。


風で桜が降りしきる中僕は駆け出した。

写真を教えてくれたという父が作業部屋でフィルムを現像してくれた。

映っていたのは、紬の柔らかな笑顔。

ずっと使っていたであろう登下校の道。

遼と僕と紬の3人のショット。

ぼんやりとした蛍光灯に照らされた桜の下、ベンチに座る紬。

この写真だ。なんとなくこれだと確信があった。


僕は急いで病室へ戻る。

引き止められる声を他所に車椅子で紬を思い出の場所へ連れ出す。


きっとこの間懐かしさを感じたあの帰り道。あの蛍光灯の下。

紬の片耳のシルバーのリングピアスが揺れた。

思い出の場所で僕は運命の取引をする。


舞い散る桜の中、僕の記憶が少しづつ蘇る。


君は僕のすべてだった。

心を優しく照らす希望だった。道しるべだった。

君はいつも否定していたけれど、誰よりも誰よりもあたたかな人だった。

僕はそんな君を撮るのが好きだった。

これからは君の見る景色をつむいで僕に見せて。

愛してるよ、紬。


ぼんやりとした蛍光灯が2人をあたたかく照らして

桜を散らした夜風が2人を優しく包み込んだ

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