ep2-2:可南子2回目の転職(再婚)
再婚
お小遣い稼ぎにと週に2回知り合いのカラオケスナックで働いていると、可南子は喋りやすい気さくな女性としてちょっとした人気者になっていた。
息子の存在も隠していない。
スナックで働いてる間は、2階にあるママの自宅で寝かせていたため常連さんも可南子を我が娘、我が妹のような立ち位置で見守るようになっていた。
その常連客の1人がある日連れてきたのが長距離ドライバーの敦史。
長距離ドライバーなので頻繁に会うことはなかったが、帰ってくるたびに可南子がいるスナックに顔を出すようになっていた。
常連とママの仲介もあり、何度か会うようになり2人は付き合うことになった。
敦史は誰が見てもイケメンで、背も高く、収入もある。
敦史が可南子に気があることをママから聞くと、可南子はすっかり敦史に夢中になってしまった。
これは女としての魅力があることや、子供がいてもまだ自分はイケる!という自信を与えた。
付き合って1年、2人の間に子供ができ結婚することになった。
敦史は自分の子供が生まれても可南子の連れ子を邪険に扱うことなく、自分の息子のように可愛がっていた。
そんな敦史に可南子は感謝の気持ちもあり、どんどん好きになっていく。
その後、仲睦まじい2人は連れ子の長男を含め、長女・次女・次男の4人の子供を育てることになる。
約8年後、敦史に異変が起きる。
長距離ドライバー特有のキツさや腰痛、拘束時間の長さなど疲れが出てしまい軽いうつ状態になり働けなくなってしまった。
4人の子供を抱え貯金もなくなっていく。
こうなってくると「愛があればお金なんて」とか、「なんとかなるさ」とか、「あなたさえいれば・・」なんて言葉が嘘にしか思えないようになる。
なんせ小学校6年生の健人を筆頭に保育園の末っ子まで4人の子供を育てなければならない。
可南子は悩んだ挙句、敦史と離婚し母子家庭として福祉にかかることにした。
さすがの可南子も子供4人を抱えるとなると不安で仕方なくなり、近所の人や以前働いていたスナックのママに愚痴を聞いてもらうようになっていた。
そんなとき知り合ったのは妻子持ちの鍋島という10歳上の男性。
この鍋島という男は「頼られるのが好き」という性格で、頼られることの多くはお金だということを知っており、そのために働いてるのか?と思えるほどのお人よし。
自営業を営んでおり、妻の圭子と息子2人という家庭を持っていた。
鍋島の奥さんは自立した女性で鍋島からもらう生活費の他に、自分でも収入を得ているしっかりした女性。
息子2人もすでに成人しており、就職も決まっていて順風満帆な家庭でした。
頼られ好きの鍋島からすると、「自分の家族よりも可南子たちを助けてやらなければ!」と思ってしまった。
鍋島の妻圭子は、そこそこ美人で明るくファッションにも気遣える一般的におしゃれな人。
一方で可南子は家事は下手だし化粧っ気もなく、4人の子供がいるからか家の中も散らかった状態。
可南子にとって普通でも、鍋島にとっては何とかしなければいけない状況にしか見えないのだ。
鍋島は可南子の家に入り浸るようになり、家に帰るのは週に1回ぐらいになっていた。
妻である圭子は、息子たちや近所の手前みっともない真似はやめて家に戻るように促す。
気分新たにやり直すために引っ越そうとまで提案していた。
家族を捨てる気はないが、可南子も捨てられない・・・
鍋島は圭子に答えを出さずに家を出て、自分の家庭を忘れたかのように可南子の家で生活するようになる。
可南子は生きる手段として子供たちに鍋島のことをお父さんと呼ぶように言いつけた。
小さな子供たちに「お父さん」と呼ばれて喜ぶ鍋島。
まだ俺にもこの子たちを育てられる力はある!と今まで以上に仕事にも力を入れ、休みの日には子供たちを連れて家族ごっこかのようにどこにでも遊びに連れて行った。
けれど長男の健人だけは違っていた。
健人は可南子の1番最初の子供で、鍋島が現れたときには中学生になっていたため、自分は他の兄弟とは違うことを理解していた。
健人は鍋島の家族と、2番目の父親である敦史にも申し訳ない気持ちになり、可南子と鍋島を別れさせたかった。
でも、幼い弟や妹がいる状況で自分が出来ることはない。
可南子と鍋島が出会って3年後、鍋島は圭子と離婚が成立。鍋島の息子たちも成人しているため養育費はない。慰謝料を払って決着をつけた。
その数年後、健人が18歳になったころ可南子と鍋島は再婚。健人は実父を頼り家を出た。
鍋島と可南子の新しい生活が始まる。