化け物
夢を見ていた。その子はいつも独りぼっちで、寂しそうにしていた。ふとしたことで、その子と話をするようになった。たちまち2人は仲良くなった。家も近くて、毎朝一緒に学校に通った。クラスも一緒で、席も隣だった。休み時間はいつも一緒にいて、トイレと着替え以外はいつも一緒。一緒に帰り、放課後はお互いの家を行き来した。2人はとっても仲良しだった。このままずっと2人は一緒だと思っていたし、そうなると確信すら持てた。
ある日、近くに男が越してきた。
その日を境に不穏な空気が流れた。いつも視線を感じる。その子が狙われている気がしてならなかった。日に日にその不安は濃くなっていく。
ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ殺すダメだダメダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ殺すダメだ殺すダメだ殺すダメだ殺すダメだ殺すダメだ殺すダメだ殺すダメだダメだ
気づいたらその男の家に侵入していた。
男は居間の籐椅子に腰掛け何やら手にしたアルバムの様な物をめくっている。こちらには気付いていない。
後ろから気配を殺して近づく。ふと、男の眺めていたアルバムのような物の中身が目に入った。
ぎょっとした。
最初は何か分からなかった。子どもの写真だった。子どもは縛られその歪んだ顔には恐怖を浮かべている。隣のページには無数の写真。それが身体の一部を撮影したものと理解するまでに時間がかかった。切り取られている。
身体が硬直して動けなかった。
「おいしそうだろ」
心臓が飛び出るかと思った。
目の前に座っていたはずの男が背後から肩をぎゅっと掴んでピッタリと身体をくっつけていた。肩を掴む指の爪は不自然なほど鋭利に尖っている。まるで猛禽類や肉食動物のような鋭い爪だ。
「君からは特別な香りがする」
男に首筋を舐められて身体中を寒気が走った。
身体をビクッと震わせると男は満足そうに笑い、机の上のアルバムを指さした。するとアルバムのページがパラパラとめくれた。
最後のページが開くと、そこにはあの子がいた。
隣のページには、無惨に切り取られたあの子の身体が1枚1枚丁寧に貼られている。
ショックで頭が真っ白になった。
続いて今まで感じたことのないような怒りが湧き立つのを感じた。
「おいしかったぞ、お前の大切なあの子」
自分の中で何かが爆発した。
気づくと男の頭を殴り飛ばしていた。男の頭部の上半分が弾け飛んだ。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
男は頭部の上半分がなくなった状態で不気味に笑っている。
「お前は誰も守れない!誰も守れない!」
男が狂ったように笑っている。
その顔を何度も何度も殴った。次第に男は何も言わなくなり倒れた。床一面血の海になっていた。
肩で息をしながらふらふらと立ち上がる。
しかし力尽きてその場に倒れた。床の血の海の中で笑っていた。
「俺は、化け物だ」
目を覚ますとこまちの顔があった。




