第六十四話 祝勝会!!
「今日は疲れたから、明日の公演は休みにするよ」
団長さんの一言で明日のサーカスは休みになってしまった。
昼間の戦いは壮絶だったし怪我した人も出ているからしょうがない。
団長さんがカニのボスを仕留めた後、みんなで他のカニも大半叩き殺してしまった。
数匹は海に逃げてしまったようだ。
今朝二日酔いでフラフラしていたのに、夜になると元気になる。
カニの魔物を倒した祝勝会という名の宴会が開始された。
昼間頑張ったから自分へのご褒美だとか酒は薬の代わりだとか適当な事を言っている。
ここは集会場じゃなく宴会場に名前を変えた方がいいと思う。
私は特に頑張ってないけど魚は美味しいのでたくさん食べよう。
わん太は海の男に次から次へと食べ物を貰っている。
みんな最初は怖がっていたけど実は大人しいのがわかるとみんな寄ってきた。
誰もがみんな満面の笑みでお酒を飲んで騒いでいる。
怪我人もたくさんいるけど。お酒飲んで大丈夫なのかな。
話題は今日の戦いで持ち切りだ。
「やっぱお前らは凄いわ。俺達も海の男だ何だと偉そうな事言っているけど、あの化け物に立ち向かう事すら諦めていたんだからな!! ヨッシーが素手で大ガニ殺しまくっているのを見て震えたぜ!!」
「俺はこの目で見ていたんだ!! 海から上がってきたコージがイソギンチャクを爆発させた後、団長が巨大ガニの口に刀を突っ込んだ瞬間を!! まるで閃光のようだった!!」
「その前にみんなで砂浜に入った時、俺達全員失神しそうになったんだぜ!! 砂浜一面が魔ガニの死骸で埋め尽くされてやがった!! オオカミとオオカミ使いで皆殺しにしたらしいぞ!!」
皆殺しはわん太がやったけど、オオカミ使いは市場でお菓子を食べていた。
何もしていない。
個人的には一番恐ろしい人は、魔物相手なのに素手で戦うヨッシーさんだと思う。
オヤジが私の横に来た。毒が抜けたのか朝よりはだいぶマシな顔色になっている。
「アヤさん。わん太さん。有難うな」
「アヤでいいよ。オオカミはわん太。おとなしいよ。大丈夫」
「じゃあ。アヤちゃんで。海岸に出た時はこの世の終わりかと思ったぜ、1匹でも手ごわい魔物なのに、一面に死体が敷かれていた上に、何故か砂浜の形まで変形していたんだからな」
「わん太も一昨日やられていたから。おかえしにやる気満々で頑張ったみたい」
「せっかく来てくれたのに、こんな事に巻き込んでしまって申し訳ない。お詫びと言っちゃなんだが、明日一緒に船に乗らないか?」
船は全部カニが壊しちゃったはずでは?
でも乗れるなら島にも行きたいし、生きている魚も見てみたい。
「壊れてない船あるの?」
「陸で作っていた部品あるだろ? あれを海まで運ばせたんだよ。今船大工が大急ぎで組み上げている」
「有難う。私は向こうに見える島に行ってみたい。わん太も泳いで島に行くって言っていたの、船に乗せてもらうね」
わん太は間違いなく明日泳ぎに行くはず。
私も島へ行けるかも知れない!! 楽しみだ!!
他のメンバーは絶対二日酔いだ。私だけ行かせてもらおう!!
「そこで一つ頼みがあるんだ。船につける名前を貸してくれないか?」
「名前?」
「今作っている新しい俺の船にアヤ丸って名前を付けさせてくれ。カニの魔物相手に無双したオオカミ使いの名前を是非貸してほしい。」
アヤ丸……あやまる……謝るみたいでかっこ悪い気がするけど、わん太丸よりはマシだろう。
「アヤの名前でよければいいよ。美味しい魚たくさん獲ってきてね」
「そうか。じゃあ早速書いてくるよ!! 明日朝早く迎えに来るからな!! 」
どこかへ行ってしまった。自分で船に名前を書きに行ったのかな?
朝早くか。起きられるかな。
団長さんがみんなの前で騒いでいる。
「イカを絞める時は眉間!! カニを絞める時は口に刃物を突っ込むんだ!! 魚介類の事は俺に任せてくれ!! 寿司屋のシンちゃんとは俺の事よ!!」
団長さんサーカス団じゃなくて、お寿司屋さんだったんだ。
囲んでいる男達からも歓声が上がる。
あのカニを倒せるお寿司屋さんは団長さんだけだろう。
「俺達みんな待っていたんだよ!!あんな化けガニ倒せんのはKKKの団長しかいねーよ!!」
「なんのなんの!! カニなんて楽勝だよ!! 俺はドラゴンも殺した事あるんだよ!! ドラゴンスレイヤーシンちゃんとは俺の事よ!!」
お寿司屋さんじゃなくてドラゴンスレイヤーだったのか。
でも団長さんの事をシンちゃんって呼ぶ人は誰もいない。
ナオさんはバンブーの村で大人気だ。
まるでお姫様の様に周りの男が甲斐甲斐しくお酒を注いでいる。
海鮮を山ほど頬張りながら幸せそうにしている。




