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第六十二話 出陣!!

 黙ってモクモクと食べ飲みしていたコージさんが口を開いた。

「じゃあアヤちゃんの案を使わせてもらおう事にするね。投げるのは俺が得意だ。任せてくれ」

 コージさんが投げてくれるなら、イソギンチャクの口の中にピンポイントで入るだろう。


「唐辛子はどこに入れたらいい? 魚?」

「魚は投げにくそうだから。入れ物はここの漁師になんかいい物ないか聞いて選ぶよ。10本くらい貰っていいかな?」


 お箸でつまんで10本お皿に入れた。投げやすい物か。私にはわからないのであとの事はみんなに任せよう。

 わん太もガツガツ食べて元気になっているし、一安心だ。


「よし。決戦は明日の昼からに決定だ。特攻部隊は俺、コージ、ヨッシーの3人。武器は各々準備しておいてくれ」

「団長さん、私とわん太も行くよ」

「わん太は小ガニを殲滅してくれたし、もう十分に助けてくれてるけど。まだ協力してくれる?」

「いいんだゾ。魚美味いんだゾ。花がいなくなったら俺も戦うんだゾ」


 花がいなくなってわん太が戦う時、私がいたら足手まといになりそうだけどどうしよう? 私は行かない方がいいかな?


「アーボ、仕事が出来たぞ。俺達とわん太で戦うから、その間アヤを守るんだ。死んでも守るように」

「え? 俺も行くんですか? 危なかったらアヤちゃん連れて逃げる準備だけしておきます。俺は逃げる以外何もしませんから」


 アーボさんも来てくれる事になった。

 コージさんが並々とお酒を注いだコップを持ち上げた。


「よーし!! 士気を高める為にたくさん食って飲んでゆっくり寝るんだ!!」

「カンパーイ!!」


 いつもの風景だ。この人達に緊張とかは無いらしい。


 翌日。

 男性陣は浴びる程お酒を飲んで、泥のように眠り、先ほど目が覚めたらしい。

 みんな水をガブガブ飲んでいる。

 アユさんが重そうに何かを持ってきた。

「団長、置いておきますよ。」


 刀だ。いつもの仕込み杖じゃない本物の刀だ。仕込み杖より長い。

「ありがとう。だけど俺さ、緊張してあんまり眠れなくてさ。なんだか吐き気と頭痛で体調悪くてさ、大丈夫かな」


 どう考えても二日酔いだろう。

 眠れないのは不眠症だからしょうがない。

 飲んだ翌日は毎回二日酔いで苦しんでいる。

 一説によると二日酔いはこのサーカス団の持病らしい。


 朝ご飯は海鮮粥。何が入っているのかよくわからないが美味しい。

 わん太は昨日の残りも全部平らげてお粥も食べている。


 両肩を若い衆に支えられてオヤジが来た。毒は大丈夫なのだろうか。

 見るからに息が荒くて熱出てそうだし顔色も悪い。

「団長、頼んでいる俺がこんな有様ですまん。死んでも一緒に戦うつもりだったがどうやら無理なようだ」


「いや。オヤジ死んじゃったらここの荒くれ共を纏められる人いなくなっちゃうよ。しっかり治して元気になってくれないと」

「有難う。若い衆には、あんたらが協力してくれる今回しかチャンスが無い事は伝えてある。戦いに行けない俺が言えた台詞じゃ無いけど、何とかぶっ倒してくれ」


 オヤジはやっぱり荒くれものを纏めるだけあって責任感も強いのだろう。

 立っているだけで大変そうだ。


 外を見ると、真っ黒に日焼けして精悍な顔立ちの漁師達がずらりと並んでいた。

 各々が棒や銛などの武器を持ち、やる気満々だ。

 私達も準備を終え、みんなで表に出る。


 満身創痍に見えるオヤジが大きな声を上げた。

「お前ら、今日が正念場だ!! あのカニは俺達だけじゃかなわないが、KKKのみんながいてくれりゃ100人力だ!! 団長とコージの指示に従って、命がけで倒してくるんだ!!」


「オヤジ!! やってやるぜ!!」

「休んでいてくれ!! 俺達に任せろ!!」

「海は俺達の物だ!!」


 みんなが大きな声で気合を入れる。

 コージさんがオヤジの横に立つ。

 手を上げてみんなを静かにさせた


「KKKのコージだ。作戦は立ててあるが相手は魔物だ。俺達の思い通りには動いてくれるかはわからない。昨日見てきたが、辺り一面カニの魔物だらけになるから、それをみんなで俺達に近づけないように倒してくれ。イソギンチャク付きは俺達でなんとかする」


 コージさんが説明を終え、みんなで移動。

 私はわん太に乗る。みんなわん太を怖がって近づいてこない。


 海辺に着くと、昨日と同じくわん太が倒したカニの魔物の死骸の山。何百匹いるのかわからない。そして風魔法で巻き上げられて凸凹になった砂浜。


 漁師さん達は声も出ない。チラチラと私達を見ている。

 オヤジからわん太がやった事を聞いているのかも知れない。


「コージさん唐辛子は?」

「これだよ」


 コージさんが取り出したのは、タコだ。タコの頭の中に唐辛子を詰めたらしい。

 だけど足が全部反り返ってボールみたいになってる。


「なんでこんな丸くなってるの?」

「足からゆっくりお湯に入れると綺麗に丸くなるんだよ。この方が投げやすいからね。貴重な唐辛子だ!! 一発で決めてみせるよ!!」


 自信満々だ。何をやっても上手くいかない私には羨ましい。

 海辺でワイワイとみんなで騒いでいると。


「おーい、みんなー。カニが来たよー」

 のんきな団長さんの声に海を見ると、ワラワラと巨大ガニが出てきた。

「前よりデカくなっているし、こんなに殺した後なのにウジャウジャ居やがる!!」

「お前ら気合入れろ!! コージさん達に指一本触れさせるな!!」


 さっきまで青くなっていた漁師も大声を出して士気を上げる。

 戦いが始まった!!


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