第五十六話 海鮮料理は美味しい!!
「ねぇねぇ」
「なんだオオカミ使い? 俺の事はオヤジって呼んでくれ」
「じゃあオヤジ。えっと、私はアヤ。オオカミはわん太って言うの。なんで私がオオカミ使いってわかったの?」
「アヤちゃんとわん太か。犬みたいな名前だな。KKKに入ったオオカミ使いの少女の噂は広まっているぞ。縦横無尽に暴れ回る巨大なオオカミを手足のように操る少女だって。サーカスやオオカミが来るのを他の街も楽しみにしているぞ」
私は乗っているだけだから手足のように操れないし、別にわん太も暴れないけど。まぁいいや。
孤児だったら悪い人達に何されるかわからないけど、団長さん達の仲間ってわかっていたら変な人は近づいてこないから助かる。
「私達が山を降りている時に見えていたの?」
「もちろん見えていた。デカいオオカミが背中に女の子乗せているのを見て、間違いないと思った。大声で呼んだけど聞こえなかったみたいだな。事情は後で説明するけど、みんなサーカスとしてじゃなく、団長達を待っていたんだ。道からじゃなくて木から木を飛び移りながら一直線に飛んでくるとは思わなかったけどな」
やっぱりサーカスのオオカミ使いってバレていたのか。
海に行くまでに呼ばれているのは聞こえていたけれど、わん太が止まらなかったからしょうがない。
「おやっさん。実際見たなら話は早いが、そのオオカミは木の上を走るだけじゃなくて、いろんな能力が尋常じゃないから。アヤちゃんが制御してくれているからいいけど、怒らせてしまったら最後、俺達でも止められないから漁師達にも気を付けるように言っておいてください」
「そうだな。忠告有難う。気性の荒いのが多いから先に釘だけ刺しておく。まずは宿に案内するよ。カニがいない所で釣った魚や潜って取った貝とかが少しはある。わん太は魚でも食うのか?」
「何でも食べるよ。野菜とかパスタとかお饅頭も食べるよ」
「そうなのか? 変なオオカミだな。いやいやいけねぇ。変なオオカミとか言って怒らせちゃ食い殺されちまう。魚も取りに行かせたからオオカミの分も少しはあるはずだ。今日はゆっくり休んでくれ」
街中を歩き、集会場に向かう。
道中に何かの部品がたくさん並んでいる。
「ねぇオヤジ。あれは何?」
「ありゃ船の部品だよ。俺達の商売道具だ。まぁ大体わかるだろうが、カニの魔物が大発生して、漁港にあった物が何もかもカニに破壊されちまったからこっちで新しいのを作っているんだ」
「あのカニやっぱり魔物だったんだ。川とか池のカニと形は一緒だったよ」
「普通の海のカニはもっと小さくて美味い。あのカニは硬くて不味くて食えないし狂暴で何でもかんでも破壊しやがるんだ。今は海辺近辺には誰一人立ち入り禁止だ」
壊されちゃうから船を陸地で作って、海に運ぶのかな。
たぶん団長さん達にカニをやっつけてもらうつもりだろう。
話している間に集会場についた。
だだっ広くて板張りの床の上に座布団が転がっている。
ここで寝かせてもらえるようだ。
美味しそうな料理が並んでいる。
「みんな疲れているだろう。少ししかないが食ってくれ。今はこれだけしか無いが、明日までにもっと取ってこさせる。酒はしこたまあるからいくらでも飲んでくれ!!」
「オヤジ!! ありがと~!! いただきます!!」
ナオさんが満面の笑みで飛びついた。
「いただきます!!」
私も遠慮なく頂く。
美味しい!! 海の魚は生で食べるものなの?
プリプリのエビや脂の乗ったお魚。貝もたくさん。種類はよくわからないが全部美味しい。普通のカニもあるけど、昼間に見た大量の魔物のカニを思い出すので気持ち悪い。
わん太にあげようかな。
わん太に渡すとバリバリと甲羅ごと齧りついた。大きな魚も頭から飲み込んでいる。
骨が喉に刺さらないか心配だ。
「おやっさん、これはどこで?」
「カニどもの縄張りを外れりゃ少しは取れない事もないんだが、岩場だから船もつけられないし街からも遠い。俺達の飯くらいなら何とかなるが、他の村から買いに来てもらえるほど獲れない。このままやられっぱなしじゃバンブーの街全体を移動するしか方法が無いんだ」
「そうか。カニの魔物なぁ。まぁ言いたい事は大体わかるんで。詳しい話は団長が来てからお願いします。俺もあの山を走って越えるとは思わなかったから正直へとへとだから。魚をつまみに軽く飲んで今日は寝かせてもらいます」
「すまんが頼む」




