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第五十五話 バンブーの街へ

 巨大なカニから逃れ、バンブーの街の住宅街らしき所に戻る。


「おーい!! オオカミ使い!! こっちだ!! こっち!! 大丈夫か?」

 やっぱりオオカミ使いって呼ばれている。

 私の事を知っているのかな?

 ごつい男の人達が話しかけて来るが、わん太を怖がって近づいてこない。


「大丈夫」


 短く一言だけ答えた。遠くからコージさんとナオさんがヨタヨタと走ってくる。

 二人とも一気に山を走って越えてきたようだ。フラフラだ。

 たぶんわん太が逃げたから追いかけてきてくれたんだと思う。


「アヤちゃん大丈夫? わん太!! 逃げちゃダメでしょ!!」

 ナオさんに注意されている。

 人前なので悪かっただとかごめんとかって喋り出さないか心配だ。


「ごめんなさい。海で泳ぎたくて待ちきれなかったの」

「アヤちゃん達が無事でよかった。海まで行ったのか? さっきおやっさんに話を聞いたんだが、なかなか大変な事になっているみたいだな」

「もしかして……カニの事?」


「そうだ!! カニがいるから海に近づくなって言っていたんだ。カニに遭遇したのか? よく無事だったな!! そのオオカミは子供みたいな容姿だけど強いのか?」

 太い腕を組んで、鉢巻をしている真っ黒に日焼けしたおじさんが話しだした。

 図鑑に出てきたゴリラの様だ。わん太を怖がらずに近づいてきた。


「カニは何匹か倒したよ。だけど疲れすぎてオオカミも私もちょっと弱っているんだ。どこかにお水無い?」

 おじさんに案内してもらい、お水を飲める川に案内してもらった。

 わん太と一緒に水を飲ませてもらう。


「コージさん、団長さん達は?」

「荷物も人数も多いし、動物達もいるから。みんなは予定通り明日の昼頃到着だよ。俺とナオだけ走って追いかけてきたんだ」

「ごめんなさい。止まらなかったの」

「いや。無事ならいい。二人で走って行った後どうなった?」


 わん太がサーカスから逃げた後の事情を説明する。

 山を越えてそのまま海辺まで走って行ったら、山登りでわん太は疲れて弱っていて、喉が渇いて海の水飲んだら余計に弱ってしまった。

 何故か海辺にあった船とか小屋とかが全部壊されていたけど、動物とかが動く気配はないから日差しを避ける為に、損傷の少ない小屋で寝ていたら、知らない間に巨大なカニに囲まれていて、わん太が何匹か倒したけどたくさんいたので逃げてきた。


「やっぱ増えているのか。漁場近辺をあいつらに占領されちまったんだ。漁が出来なくなって困っているんだよ」


 ゴリラみたいなオジサンが頭を抱えている。

「おやっさん、俺とナオだけ一日早くなったから、とりあえず宿を頼んます。オオカミは女の子と長時間離れると制御が効かなくなって暴れ出すから、一緒にいる必要があるので。屋根のある大きな建物があれば寝床に貸してもらえますか?」


「オオカミが暴れ出す? 大丈夫なのか? 俺達もお前らに相談があるんだ。今更ジタバタしてもすぐに何とかなるわけでもないし、詳しい話は団長が来てから説明させてもらう。寝床なら街の集会場が開いている。オオカミでもライオンでも入れてくれ。」


「おやっさん有難う。この様子じゃナオの楽しみにしていた魚介類はお預けっぽいな」

「オヤジ~!! 私が来るのに魚が無いなんてありえない!!」

「いや。ナオさんすまねぇ。ナオさん達が来るまでに魔物をなんとかしようと頑張っていたんだけど面目ねぇ。さっき若い奴に取りに行かせたから少しは用意できるはずだ」


 コージさんとナオさんはオヤジと呼ばれる人と顔見知りらしい。

 話を聞くと、ゴリラみたいなオヤジは、この街の漁師を束ねる親分的な存在。

 気性も激しく、荒くれ者が多い猟師は貴族や町長では逆にねじ伏せられてしまうので、オヤジがみんなを仕切っているらしい。本名はわからない。みんなオヤジかおやっさんと呼んでいる。


「ねぇねぇ」


「なんだオオカミ使い? 俺の事はオヤジって呼んでくれ」



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