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第五十一話 襲い掛かってきた!!

「アヤ。起きるんだゾ」

 いきなりわん太が話し出した。

「どうしたの?」


「左右の森の中から人がいっぱい近づいて来ているゾ。コージを呼んだ方がいいゾ」

「え? わん太なんとか出来ないの?」

「悪い人かはわかんないゾ。あと近いから風魔法使うと人もみんなが寝ているテントも飛んじゃうんだゾ!!」


 野盗と決まったわけじゃないからなぁ。

 普通の旅人だったら大変だ。

 でもそれなら森の中からは来ないかな。


 辺りは完全に真っ暗闇だ。新月で月明りすらも全く無い。

 森の中の人なんて全く見えない。


 どうすればいいのかわからないので、わん太から降りてコージさんがいるテントに入る。

「コージさん、誰か来るよ。道の両側の森にいるんだって」


 みんなを起こさないように黙ったままコージさんが、ナイフの入ったカバンを手に取った。

 隣に寝ていたヨッシーさんも起き出した。


 三人でテントから出ると、わん太が待っている。

 怖いので、一番安全だと思われるわん太の背中に乗る。

 コージさんとヨッシーさんが小声で何かを打合せしている。


 コージさんが一人で左の森に入って行った。

「ぐあっ!!」 「誰だっ!!」


 悲鳴が聞こえてくる。コージさんがナイフを投げて戦っているんだ。

 暗闇なのに人の気配がわかるのかな。

「わん太。ちょっと助けてよ!!」


 わん太が急に怯えだした。


「うわぁあああ!! ヤバいんだゾ!!」

「ヤバいって何よ? コージさんが危ないからお願いしてるんでしょ!!」

「違うゾ!! 逃げるんだゾ!!」


 私達だけ逃げるのは簡単だけど。

 野盗が来ているのがわかっているのに、みんなの事を放置するわけにも……


 パオーン!! バキバキバキッ!!!!


 うわぁあああああああ~~~~~!!!

 象が!! 象が放たれた!!

 たぶんヨッシーさんが放したんだ!!


 バキバキバキバキバキッ!!

 ヨッシーさんの命令なのか、いきなり右の森に突っ込んでいく!! 


 無茶苦茶だ!!

 木々をなぎ倒して鼻を振り回して辺り一面を破壊していく!!

 恐怖のあまり悲鳴をあげて逃げ惑う野盗達!!


「馬鹿野郎!! お前らは頭がおかしいのか!!」

 バキバキに森が破壊されて、野盗が怯えて怒鳴っている。

 象から逃れる為に、慌てて飛び出してきた野盗達をヨッシーさんが捕まえてぶん投げていく。

 相手は武器を持っているのに素手で簡単に倒してしまう。

 めちゃくちゃに強い。

 暴れ回る象とヨッシーさんに成す術もない野盗達。


「逃げろ!! 退散だ!!」

 野盗の声が響く。

 あっと言う間に逃げ去ってしまった。


 アーボさんが松明を持って近づいてきた。

「アヤちゃん大丈夫かな?」

「私は大丈夫。コージさんとヨッシーさんが……」

「あぁ。二人とも強いから大丈夫だよ」



 ヨッシーさんは興奮した象の鼻を引っ張ってなだめている。

 コージさんが暗闇から顔を出した。

「アヤちゃんもアーボも怪我は無いか? 誰かが人質に取られたりしたら動けなくなるから、速攻で倒しに行ったんだ。森の中に何人か倒れているはずだ。見つけたら縛っておいてくれ」


 やっぱりコージさんもヨッシーさんも頼りになる。

 頭の回転も速いし、何より強い。


「おーい。おーい。誰かー!! こっち来てくれー!!」

 ん? 遠くから団長さんの声が聞こえる。

「コージさん、団長さんがなんか言ってるよ」

「行ってみよう」


 わん太に乗ってコージさんと一緒に見に行くと、何人かの男と、ヨッシーさんより更に大柄な男が大の字になってひっくり返っている。

 団長さんに杖でボコボコに叩きのめされたらしい。


「団長、こいつらは?」

「夜中に俺が見回りしてたらさ、なんかわけわかんないのがいきなり襲ってきたんだよ。そんでさ、こいつが後ろで一番なんか偉そうに命令してて、親玉っぽいから捕まえてみたんだ。回りの人もたぶん仲間だよ」


 倒れている人達は、全員団長さんに叩きのめされたらしく、立つことすら出来ない様だ。


 倒れている大男の顔をコージさんが松明で照らす。

「団長、おそらく貰った手配書の男だと思います」


 気絶している大男の髪の毛をつかんで、コージさんが無理やり引き起こす。

「おい。お前が野盗のボスか?」

「な……なんだお前は!? 何もしてねーよ!! 俺達はただ歩いていたら、いきなりそこのハゲに叩きのめされたんだ!!」


 わん太がヌッとボスの顔を覗き込む。

「うわあああああ!!! サーカスのオオカミじゃねーか!!」

「オオカミの背中を見ろ」


「ほっ……本物のオオカミ使いか!?」 

「そうだよ。サーカスを見たんだろ? オオカミ使いが一声かけたら……わかるよな? 手か? 足か? どこから食われたいんだ? 正直に話した方が身のためだぞ?」


 え? 私の一声……?


「ちょっ!! ちょっと待ってくれ!! わかった。降参だ。俺がリーダーだ。お前達のサーカスを見て、べらぼうに儲けているのがわかったから、人数集めて金を奪い取ろうとしたんだ。食い殺すのは勘弁してくれ!!」


「リーダーで間違いないな。今はそれがわかれば充分だ。逃げた奴らの事もしっかり思い出しておけよ」

 倒れている男達が全員、縄を持ってきたアーボさんにぐるぐる巻きに縛られて運ばれて行く。


 コージさんがナイフで倒した人達もみんなで全員捕まえたらしい。

 このまま衛兵に渡すんだって。


 コージさんもヨッシーさんも凄かったけど。ボスを捕まえたのは団長さんだった。

 団長さんだって疲れているのに見回りまでしてくれて、責任感もあるし、やっぱり一番頼りになる人なのかな。


「コージさん、団長さんはいつも見回りをしてくれているの?」


「ん? 団長は自分では見回りって言っているけど。本当は不眠症で眠れないから、一人で夜中にウロウロ徘徊しているだけだよ」


「………………」




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