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第四十八話 アユさんの占い

「もー!! ちゃんと言う事聞いてよ~!!」

「まだまだリンゴが残っていたんだゾ。ここのリンゴは美味しいんだゾ。もっと食べたかったんだゾ!!」


 うーん。飛び降りなかっただけでもよしとするしかないのかな。

 実際お客さんは大喜びだったし、誰も怪我しなかったし。


「ヨッシーさん有難う」

 ヨッシーさんがわん太のほっぺたをグリグリしている。

 怒られているのだろうか。

「うぅ。ヨッシー怖いんだゾ!!」

「じゃあちゃんと言う事聞きなさいよ。最初に3つって言っていたんだから」


 わん太にぶつぶつ文句を言っていると、団長さんが歩いてきた。

「全員倉庫に集合だ。今日の反省会をする」


 反省会。私とわん太はどうだったんだろう。

 午後の部も練習通りわん太は動いてくれなかったし、午前の部なんて私は気絶しちゃったし。

 わん太は言う事聞いてくれないし。みんなはかっこいい演技でビシッと決めていたのに。

 私とわん太はボロボロだったから。反省する点は山ほどあるんだろうな。


 団長さんがコップを手に持つ。

「アヤとわん太の入団と、公演の成功に乾杯!!」

「かんぱーい!!」


 あれ? なんか指導とかあるのかと思ったけどご飯食べてお酒飲んでいる。

 ごちそうが並んでいる。中に大根と豚肉の煮物がある。コージさんがナイフで切っていた大根だろう。


「凄かったよね。飛び降りてもアヤちゃん怪我してないし、私の綱渡りなんかお客さん見てくれなくなりそう!!」

「あんな高く張った綱から火の輪まで飛び込むなんて誰も思わなかっただろうね。お客さん大喜びだったよ!!」


 みんなが口々に褒めてくれる。

 美味しいご飯を食べながらお酒を飲んでいる。

 反省会と言う名の飲み会らしい。


「おめぇなかなかやるな!! お客さんも爆笑してたからな!! 飲め!!」

 ヨッシーさんはお酒が入ると喋ってくれる。

 最後は助けてくれたし。流石動物担当だ。


「団長さん、今日の反省はいいの?」


「反省? 反省する事なんて何も無いよ?」


 反省会って言ったのは団長さんだったけど……


「それよりさ、これからの話だけどさ、こんな感じでサーカスを続けながら大きな街をまわって行くんだ」

「うんうん。そこに私達も一緒にサーカスして回るんだね」


「何十年も続いているサーカスだから。行く街への許可は全て取ってあるし、俺達もそれなりに顔は売れているし信用もある。旅をしながらわん太の身体や石の亀や黒い魔物等の事を聞けるだけ聞いてみるけど、それでいいかな?」


「有難う。サーカスも頑張るね」

「わん太と二人で回るよりはマシだろう。どこかで何かヒントだけでも貰える事を祈るしかないね」

 一歩どころか何十歩も前進だろう。

 旅の途中の居場所が出来ただけでも本当に助かる。


「ナオとアユ。女同士だから、アヤが困っていたらちゃんと助けてあげるんだよ。わん太の都合で倉庫に泊まるのはしょうがないけど、風呂とかはお前達が泊まる宿で入れてやるんだ」


「そうですね。私達の部屋のお風呂を使いましょう。盛り上がっていると遅くまで飲み続けるので、ご飯終わったら先にお風呂行きましょうか」


 アユさんがお風呂に誘ってくれた。ナオさんはまだ飲んでいる。

 みんなお酒大好きだ。

 女性二人はちゃんと宿があるらしい。

 男性陣は宿で寝る事もあるけど、酔っぱらうと倉庫やテント、酒場や道端とかで適当に寝てしまうらしい。


 空を見上げると星が瞬いている。

「星が綺麗ですね。わん太の魔物はアヤちゃんが離れていても大丈夫ですか?」

「数時間とか離れると魔物が出て来るけど、1時間とかなら大丈夫。わん太が畑仕事している時も1時間位は離れているから」


 アユさんの泊まっている宿で順番にお風呂。

「下着を置いておきますね」

 新しい下着も貰えた。

 何かと気にかけてくれるのはありがたい。


 風呂上がりのジュースを頂く。美味しい。

「私はサーカスでは事務的な事しかしませんが。趣味で占いをするんですよ」

「占い?」

「そうですね。私は星占いです。昔教わったことがあるんです。今日は星が綺麗なので占ってみますね」


 占いか。貴女の人生は最悪です。とか地獄に落ちます。とか言われたらどうしよう。

 アユさんが窓から星を眺めながら、何かを考えている。

 大丈夫だろうか。変な事言わないで欲しいな。


「凶星が、近くで、回って、います。大変な事が、たくさん、起きそうです」

 なんで途切れ途切れなんだろう。言いにくいのかな。

 今までも大変だったのに。もっと大変になるのかなぁ。

 嫌だなぁ。凶星が回っているってなんだろ。


「助けて、くれる、星も、アヤちゃんに、ついてます」

 助けてくれる星。団長さん達かな?


「助けを求める、星、もいます、超巨大で、異常な、星が、あります」

 え? なに? 助けを求める星? 異常なの?

 私を助けてくれるじゃなくて、私に助けを求めるってどう言う事だろ?

 なんか不吉だな。そんなのは助けなくてもいいよね。


「今の所、私がわかるのはここまでです。ただの星占いなので当たるも八卦当たらぬも八卦です」

「どう言う事?」

「占いなんて当たっても当たらなくても気にするなって事です」


 ……やっぱりこの人は変わっている。


「私はただの星占いですが、私の師匠は本当に魔力を持っていますので、占ってもらうといい事があるかも知れません」

「本当の魔力を持つ人間なんてアユさんの身近にいるの?」

「私は王族の方を見た事がありませんが、王族の方は魔力を持つと言われています。私の師匠は王族ではありませんが、神殿に勤めています。魔力で占うのを見た事がありますよ」


「師匠はどこにいるの? 私も会える?」

「ルーマの街です。大きな街で、私達と旅していたらそのうち行く事になりますよ」

「師匠に占ってもらったら、何かわかるかな?」

「当たるも八卦、当たらぬも八卦ですね」


 ん?結局どういう事なんだろう。

 わからない。よくわからないけど、助けてくれる星がたくさんいる事を祈っておこう。


 アユさんと一緒に倉庫に戻るとわん太とアーボさんがひっくり返っている。

「アーボさん大丈夫? みんなはどうしたの?」

「みんなどっかに飲みに行ったと思う。勝手に帰ってきて宿かテントかどっかで寝るから大丈夫。団長は不眠症だから夜通し徘徊しているんじゃないかな。」


 団長さん達はどこかへ行ったようだ。不眠症だったらわん太の背中で寝ればいいのに。

 どこに飲みに行ったのかはわからない。ほんとお酒好きだなぁ。

 ナオさんが片づけているので私とアユさんも手伝う。


「うちに入ったら毎日こんな生活になるよ。また明日から宜しくね。おやすみ」

「おやすみなさい」


 わん太の上に乗って寝る事にする。

 明日も頑張ろう!!





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