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第四十七話 リンゴキャッチ成功!?

 コージさんがリンゴを片手にウロウロしている。立ち位置や投げるタイミングを考えているのだろう。


「わん太。準備はいいかな? 本番前に一度、アヤちゃんは乗せないで練習するよ。まずは玉乗りで登場。団長の紹介の後、象の背中から綱へ移動。綱の上で軽くパフォーマンスして、その後、俺がリンゴを投げるから、口でキャッチして食べる。終わったらまた象の背中から地面に降りて玉乗りで退場だ。今は象がいないから、そこの台から綱に移動してくれ」


「私も一緒に練習する。団長さんにもどうすればお客さんが喜ぶか考えるように言われているから」

「そうかい? じゃあ練習するよ。リンゴ3つ行くからわん太もアヤちゃんも本番のつもりで。ただ、練習でも本番でも落ちない、怪我しないって言うのが一番大事だからね。キャッチに失敗してもいいから落ちないように」


 コージさんから助言をもらって、わん太と練習に挑む。

 玉乗りも綱渡りも、わん太にとって朝飯前の芸だろう。

 二本足で玉乗りするわん太の頭に仁王立ちしながら腕を組んで胸を張る。

 ナンテン村の人が見たらなんて思うかな?

 コージさんの合図で頭から背中に移って、わん太が綱へ移動する。


 綱渡りしながら、コージさんからのリンゴを待つ。

 わん太は待ちきれず綱の上をウロウロウロウロ。

 コージさんから顔の近くに1つ目のリンゴが投げられる。パクッ。シャクシャク。

 2つ目はちょっと離れた所に飛んできたけど、わん太は簡単にくわえて飲み込んでしまう。

 3つ目はかなり離れた所に飛んできたけど、投げる前からわん太が予想していたのかススっと移動して食べてしまった。

「どこに投げて来るのかわかるの?」

「コージの回りに風を吹かせているからどこに飛んで来るかわかるゾ」


 私にはよくわからないけど、コージさんの動きもわかるのかな。

 演技が終わると、ちゃんと台から地面に軽やかに飛び降りた。

「オッケーオッケー!! 完璧だ!! 本番もリンゴ3個だから。3個食べたら降りてきてね。この調子で本番も行くから。アヤちゃんもわん太も頑張ってね」


「わかったんだゾ。頑張るんだゾ!!」

「私も頑張るね!!」



 団長さんを先頭に、全員が集まる。

「準備出来たか? 午後の公演もチケットは完売だ。全員気を引き締めて怪我の無いように!!」

「はい!!」


 午後の部の公演が始まる。


 午前の部と同じように音楽に合わせて全員で入場する。

 私とわん太が出た瞬間、またもや大歓声が起こる。


「オオカミ~!! 足短いんだから無茶すんなー!!」

「少女は大丈夫なのか? 生きてるか~?」

「午後は何するんだよ? 象と戦うのか?」


 象とは戦わない。象以外とも戦わない。


 そして団長さんの挨拶。

 コージさんとナオさんの空中ブランコからスタートする。


 次は上手く行くだろうか。

 玉乗りも綱渡りも平気だ。ちゃんと練習もした。

 大丈夫なはず!!


 みんなの演技は次々に進む。

 お客さんは大喜びだ。

 コージさんのナイフ投げが終わり、ライオン達の火の輪くぐりが終わり、コミカルな音楽が流れ始める。

 ライオン登場時は勇ましい音楽なのに、オオカミと私は何故コミカルな音楽なのかな?


「さぁさぁみなさんお待ちかね!! 午前の部ではほんの少しだけ暴走してしまいましたが、午後の部は新たな演技を見せてくれます!! 北極から来たオオカミの子供と、オオカミ使いの少女の登場です!!」


 大きな拍手と大歓声の中、頭の上に仁王立ちの私と二本足で玉乗りするわん太が登場する。

 お客さんに顔を見てもらう為に場内をぐるりと一周回った後、わん太が綱の上に移動する。

「さてさて!! オオカミは不安定な綱の上で、コージの投げたリンゴをキャッチできるのか!! しかも背中にはオオカミ使いの少女が乗ったまま!! オオカミを自由自在に操る事が出来るのか!?」


 速いテンポの音楽に変わる。

 トランペットの音を中心にしたかっこいい音楽だ。

 象の背中から綱に乗り移ったわん太が音楽に合わせてぴょんぴょん動いている。

 身体の大きなオオカミが綱の上を歩いただけでもお客さんは充分喜んでくれているようだ。


「実はこの子供のオオカミは食いしん坊で、美味しい物には目がありません!!綱渡りしながら美味しい物が飛んで来たら!? どうなるかをご覧下さい!!」


 コージさんがリンゴの乗った荷車を引いてきた。

 ナイフ投げと同じように、シンバルの音と共にコージさんがリンゴを投げる。


 シャーン!!  パクッ


 シャーン!!  パクッ


 シャーン!!  パクッ


 綱の上を軽やかに移動するわん太。3つとも成功!!

 みんな大拍手してくれている。


「わん太。成功よ。飛び降りちゃダメよ。ちゃんと象から降りてよ」


 ……降りない。まだ食べたりないのか、もしくは注目されたいのか。

「わん太、降りよう。もうリンゴ終わりだよ」


 ……降りない。下でコージさんも戸惑っている。


「食いしん坊だから、次のリンゴを待っているみたいだけど、もう終わりだよ~!!」

 コージさんの声が聞こえる。お客さんは笑っているけど私は笑えない。


 ヨッシーさんが歩いてきて、リンゴを掴んだと思うと、象の背中の真上に高く投げた!!

 反射的にリンゴに飛びつくわん太。象の背中へ着地。

 そのままの勢いでもう一つ、ステージの真ん中に高く投げ上げる。

 ステージの真ん中できっちりキャッチ成功!!

 ヨッシーさんに首の後ろをつままれて、裏へ戻されて行く。


「以上!! 食いしん坊のオオカミでした~!!」

 お客さんは大喜びで午後の部は終わった。




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