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第四十一話 サーカス入団

 倉庫に戻ったが、既に夜中だ。

 わん太はお腹がすいたのか倉庫に残っていた物をガツガツと食べている。


「全員明日に備えて寝ろ。ヨッシー、お前はしばらく休みだ。楽しみにしてくれているお客様には申し訳ないが、怪我が治るまでは出演させられない」


 ヨッシーさんはアユさんに治療をしてもらっている。


「それは消毒用です!! 飲まないでください!!」

 アユさんが叫んでいる。

 何をやっているんだろう?


 わん太と私のせいでみんなに迷惑をかけてしまった。

「ごめんなさい。団長さん、あの……わん太で良かったら、ヨッシーさんの代わりに似たような事出来ると思うんだけど」

「え? わん太なぁ。今日見たお客さんがもしかしたら期待しているかも知れないけど。いいのかな」


「いいんだゾ。俺だってサーカス出来るんだゾ」

 モグモグと残り物を頬張りながらわん太が喋っている。


「ナイフとかの、今日壊れちゃった物も弁償しなきゃいけないし、大金貨がたくさんあるから壊れちゃった物はお金で弁償する。ヨッシーさんの代わりはわん太に綱渡りと火の輪くぐりしてもらう」


「いやいや。俺のナイフやマットは別にいいよ。団長の刀も別にいいですよね?」

「もちろん俺達だってリスクをわかっていてやった事だからな。弁償なんて言う訳が無い。ヨッシーも俺達も、怪我の可能性を承知の上で戦ったんだ。アヤに弁償だのどうこう言うのは筋が違う」


「大金貨たくさんあるよ」

「いや。お金の有無の問題じゃないし、そこはアヤちゃんが気にする事じゃない」


「コージの言う通り、道具や刀は承知の上だ。ただ、一つ提案がある」

「提案?」


「アヤはわん太の身体を戻す方法が見つかるまで旅を続けるんだよね?」

「戻してあげないと、わん太も大変だし」


「旅をするにも、道中は野盗も魔物もいる。子供と犬だけで旅をするのは難しいんだよね?」

「うん。攫われそうになったり殺されそうになったり。お金取られたりする」


「そこで、俺達のサーカス団に一時的に入団しないか? 子供と犬だけで旅を続けるよりも、俺達と一緒の方が楽に旅を続けることが出来るだろう。二人の旅の手伝いをさせて貰おう。その代わりと言っては何だが、わん太がサーカスに出演してくれれば、サーカスも評判になって、お客さんもたくさん見に来てくれるはずだ」


 サーカス入団!? 一緒に旅が出来るの!? 願っても無い話だ!! 

 旅で一番困るのは大人の人がいない事だ。

 お金が山ほどあっても使えないし。いろいろ説明も大変だし。いちいち嘘つかなきゃいけない。

 サーカス団に入れてもらえれば、何かを聞かれた時にサーカスの一員って言える。

 事情もいちいち説明しなくていい。


「私は何も出来ないけど、わん太の上に乗っているだけなら出来るから。団長さんお願いします。あんたもいいよね?」

「いいんだゾ。俺もサーカスしたいんだゾ。ヨロシクだゾ!!」


「こちらこそよろしく。今日はもう遅い。細かい話は明日にしよう。アヤはここでわん太と寝るんだね。鍵もかけているし、不審者は来ないだろうけど、気を付けて。アーボ、今日はお前もここで泊まれるか?」


「大丈夫です。アヤちゃんよろしくね」

 今日はアーボさんが一緒に泊まってくれるみたい。



「お前の布団はマットでいいな。アヤの布団は後で持ってこさせるから」

「私はわん太の上で寝るから大丈夫。いつもそうしているの。わん太が暖かいから大丈夫」

「うーん。予備の布団あるから持ってきた方がいいと思うけどな。わん太は宿に入れないから、うちにいる間は倉庫とかテントで寝る事になりそうだし。」


「俺はマットで大丈夫です。わん太もヨロシクね。俺もちょっと乗ってみていい?」

「いいんだゾ」

 アーボさんがわん太の上に乗る。


「うわっ!! わん太の上めっちゃフカフカですよ? 極上のベッドよりもっとフカフカです。雲の上で寝ているみたいですよ?」

「うん。布団よりもわん太の上の方が寝心地いいかも」

「俺もわん太の上で寝たいくらいフカフカですよ!! 不眠症の団長にはぴったりですよ!!」

 アーボさんがわん太に頬ずりしている。


「わん太の上で寝たら不眠症が悪化しそうだよ。寝たいならアーボは寝ていいよ。わん太から魔物が出てきてアーボが食われたら面白いかも知れない」

「あ……やめときます。わん太ベッドはアヤちゃん専用で」


「あー。最後に一つだけ。俺達6人はもういろいろな事を知ってしまったが、見習い達の前ではわん太はただの大きな犬と言う事にするがそれでいいかな?」


「大丈夫だと思う。人前で喋っちゃダメって事だよね? わん太大丈夫?」

「大丈夫だゾ。ジーちゃんにも人と喋っちゃダメって言われているんだゾ」

「よし。わん太はここでは普通の犬と言う事だ。アーボ。あとは頼んだぞ。なんかあったら俺かコージに連絡するんだ」

「わかりました。お疲れ様でした」


 アーボさんはマット。私はわん太の上で寝る事にした。

 倉庫とは言え、屋内はやはり落ち着く。

 今日はいろいろな事があった。

 まさかサーカス団に入団させてもらうとは思わなかった。

 明日からは私も頑張らないと。




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