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第四十話 サーカス団VS黒い魔物

「コージさん。わん太が大蛇と一緒に入った呪われた森って何?」

「森なぁ。あそこは人も動物も入れないから全然解明されないんだ。まともな動物は入らないだろうし、植物は異形らしいし。団長行った事無いんですか?」


「俺もみんなが知ってる事しか知らないよ。世界中にあって。段々広がって行ってて、小さくなる事は無い。森に飲まれた村や街は当然人が住めなくなる。内部は空気自体が腐ってて入ったら死んじゃうんだって」


「やっぱそうですよね。人が入れない以上周辺からわかる情報しか無いですから。わん太は強いから中に入れたけど。中でえらい目に逢ってるんだし。何があるかわからない。あんま入らない方がいいよ」


 段々広がって行ってるのか。

 何で広がるんだろう? 小さくなることは無い?

 真ん中には何かがあるのかな?

 まぁ考えてもわからないだろう。


 その後もみんなで亀や唐辛子やわん太の事や私の事を色々話したけど、誰も知らない事ばかりだった。


 そのまま数時間が経過したと思う。

そろそろ眠くなってきたなぁ……と思っていたら。


 ビュウウゥ~~~~


風が強くなってきた。



「みんな。気を付けて。わん太が帰ってきたと思う」

 アーボさんが大きな木の上に登った。

「まだ見えません」


「よし。全員準備しろ。ヨッシー行けるか?」


 黙ってマットを広げ、みんなの前に立つ。

 後ろではコージさんが腰に差したナイフに手をかけている。

 私もすぐに飛び出せるように準備する。

 

団長さんは……目を瞑っている?


 ビュオオオオオオオオ!!!!


「来ました!! 真っ黒でデカいです!! わん太に巻き付いています!! ヤバいヤバい!!」

 アーボさんの声が震えている。


 来た!! やっぱりまた黒い魔物が巻き付いている!!

 わん太も錯乱しているのか風が吹きまくっている!!

 既に魔物に噛まれて血まみれだ。

 どうしよう。怪我人は出て欲しくないけど。


 言われた通り大きな木の下でわん太が止まった。ヨッシーさんが猛ダッシュ!!

マットを広げて前から黒い魔物の頭を抑え込んだ!!

 それと同時にコージさんが持っているナイフを投げ、黒い魔物に命中!!

 ナイフが魔物に突き刺さる!!


コージさんは更に追撃!! ナイフをどんどん投げる。

わん太も魔物も動いているが、コージさんのナイフは百発百中だ。

 全てのナイフが魔物に突き刺さった。

 

 ヨッシーさんは魔物をわん太から引きはがそうと、抑え込んだ頭を思い切り振り回す。

 しかし丸太のようなヨッシーさんの腕でも魔物を引きはがす事が出来ない。

 それどころか魔物が暴れるとマットが見る間にボロボロになっていく。

 ヨッシーさんは素手で魔物の頭を抑え込んでいるのと変わらない。

 

 刺さったナイフはどんどん地面に落ちていき、魔物についた傷が修復されて行く。


 やっぱりダメだ。と思った瞬間、私の横を風が通り抜けた。


 団長さんの持っていた杖が刀に変わっていて、一発で黒い魔物の首を刎ねた!!

 ヨッシーさんが掴んでいた首をマットごと遠くに放り投げた。

 魔物を殺した!?


 頭が無くなり、胴体だけになった黒い魔物が消えていく。

 放り投げられた頭も土の中に消えていく……


 団長さん達が一斉にわん太から離れて距離を取った。

 まだどうなるかわからない?


 魔物の首が投げ飛ばされた。そして消えていった?

 わん太は助かったのかな?

 

そう思ったのも束の間!!

 またもや黒い魔物がわん太の中から出現し、わん太に巻き付いた!!

 首も繋がり怪我も治っている? 完全復活している!!


 暴れ狂うわん太と魔物。


 もうナイフは無い。マットはズタズタでヨッシーさんの上半身から血が出ている。

 団長さんは刀を構えている。


「アヤ!! もう無理なんだゾ!!」


 ダメか。首まで落としたのに。即座に完全復活してしまった。

 これ以上はもう怪我人どころか死人が出ちゃう。


「わん太!!」


 木の近くで頑張って耐えていたわん太を呼び寄せる。

 

「アヤちゃん!! 危ない!!」

 口々にみんなが叫ぶが、大丈夫なはず。今回も絶対大丈夫!!

 目を瞑り、大きく両手を広げる。

 微かに指先に何かが触れた感触があった。



 ボシュッ!!



 目を開けると、血まみれのわん太が倒れている。

 苦しそうにハァハァと息をしている。

 傷は見る間にどんどん治っていく。


「アヤ、わん太、大丈夫か?」

 団長さんが心配して走ってきた。


「私もわん太も大丈夫」

「俺は大丈夫じゃないんだゾ。痛いんだゾ」

「私がそばにいれば魔物は出てこられない」


コージさん、アーボさんも来てくれた。

 ヨッシーさんは血まみれだ。

 ナオさんとアユさんは放心状態で動かない。


 見る間にわん太の怪我が治って行く。

 黒い魔物は私がわん太のそばにいる間は出てこれないはず。


「血を洗うんだゾ」

 ヨロヨロと川に向かって歩いていく。

 ヨッシーさんもフラフラだが川に向かって歩いている。

 続いてナオさんとアユさんもヨッシーさんの元へ向かう。


「大丈夫なのかわん太? でも既に怪我が治っているよ。どうなっているんだ?」

 アーボさんがわん太についた血をジャブジャブと洗ってくれる。

 隣でヨッシーさんも怪我した身体を洗っている。

 筋肉隆々のヨッシーさんだからなんとか動いているけど普通の人間だったら間違いなく致命傷だろう。ヨッシーさんが担いでいたマットはズタズタで原型を留めていない。


「団長、見てください。魔物に刺さったナイフです」

「ボロボロだな。完璧に捉えたと思ったが、俺の刀もこの有様だ」


 見ればナイフも刀も刃が溶けたと言うか欠けたと言うか、ボロボロになっている。

「団長さん、刀なんか持っていたの?」

「いつも持っている杖は仕込み杖だよ。いざと言う時は刀に出来る」

「こう見えて団長は剣の達人だ。でも団長の剣が通じないならお手上げかな。ヨッシーさんが首をぶん投げた時は勝ったと思ったんだけどな」


「こう見えては余計だよ。達人のオーラが出ているだろ? この仕込み杖だって、安物じゃないんだけどね。そうそう欠けたりする物じゃ無いはずだけど。あの魔物は強すぎる。アヤがいてくれなければ全員殺されていた可能性もあるな」


 刀もナイフもマットも、もう使い物にならないだろう。

 ヨッシーさんに至っては怪我をしてしまった。どうしよう。


ヨッシーさんとわん太が川から戻ってきた。

「よし、一応全員無事か。一旦戻るぞ」

「はい」


 一旦倉庫に戻るようだ。




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