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第三十七話 喋っちゃダメ!!

 寝ているわん太を起こしてご飯を貰おう。


「わん太、起きて!!ご飯貰えるって!!」


「おーい!!起きてー!! 立派な犬だなぁ。大きいし毛並みも綺麗だし、噛んだりしないよね?」

 ナオさんがゴシゴシと撫でてくれている。

「たぶん……私がいる間は大丈夫だと思う」


 こないだ子爵様のとこで棒で叩かれた時は怒っていたかもだけど。

 大丈夫だと思う。ムクリとわん太が起き上がる。


 ご飯はパスタとサラダとスープ。

 凄く美味しい!!


 みんなはお酒を飲んでいる。

 コップに注いでガブガブと美味しそうだ。


「アヤ、俺が作ったご飯はどうだ?」

 団長さんお手製らしい。


「凄く美味しい。お店のより美味しい!!」

「そうかそうか!! たくさんあるからどんどん食べてくれ!!」


 わん太も肉とか果物とかを頬張っている。ライオンや象の餌らしい。


「団長、なんだか倉庫の中に風が吹いていませんか?」

「んー? 隙間風かな? もう古い倉庫だからしょうがないんじゃないの?」

「いや。隙間風と言うか、なんか普通に風を感じますよ?」


 団長さんとコージさんが話している。バレたらどうしよう?


「アヤちゃん、わん太ってなんであんな事出来るの? 綱渡りとか火の輪くぐったりとか。そもそもなんでこんなに大きいの?」


 どこから来たの? 何歳? 犬の種類は? わん太の兄弟とかは?


 みんなから色々質問されるが、私もよくわからない。

 よくわからないし、わん太が喋る事とか風の事とか言う訳にもいかないし。

 どう返答していいか困っていると。


「みんな、質問はそこまでだ。アヤもわからないんだろう。」

 団長さんが助け舟を出してくれた。


 ふいにヨッシーさんが隣に来てわん太の首に太い腕を回した。

 大きい身体、反対の腕には酒樽を持っている。


「よしっ!! おめぇも飲め!!」


 うわっ!! しゃべった!!

 この人は喋らないって言っていたのに。

 酒樽から大きな丼にお酒を注いで、わん太の口に流し込んでしまった!!

 私の口に入れられなくてよかった。

 わん太は大丈夫なのかな?


「こら!! ヨッシー!! お前は無茶苦茶するんじゃないよ!!」

「団長!! 動物担当の俺にはわかるんっすよ!! こいつも飲みたがっているんっすよ!!」


 ヨッシーさんが動物の世話も担当か。でもわん太がお酒飲みたいと思っているとは思えないけど。


 ガブリとわん太が飲んでしまった。

 ペロペロと口の回りを舐めている。


「おお!! いい飲みっぷりじゃねーか!! やっぱ男はそうでなけりゃいけねぇ!! 団長よりいい飲みっぷりだ!! KKKに入団するか!!」


 団長さんが立ち上がった。

「馬鹿野郎!! 俺だって負けてはいられねぇからな!!」


 あれ? なんでわん太との勝負になるんだろ?

 ドボドボと自分の丼にお酒を注ぐ。

「俺の生きざまを見ておけ!!」


 ゴクッゴクッゴクッ……

 並々と注いだお酒を一気に飲み干してしまった。

「ゲホッゲホッ!! ちょっと量が多すぎた!! だけど男には負けられない戦いがあるんだよ!!」


 咳き込む団長さんを見てみんな大爆笑している。

 ダメだ。完全に酔っ払いだ。

 わん太はお酒飲んだ後も普通にお肉を齧っている。

 わん太は身体も大きいし何を食べてもお酒飲んでも平気っぽい。

 団長さんはお酒大丈夫なのかな?


 アーボさんが心配して話しかけてくれる。

「もう酔っ払いはほっといていいよ。ヨッシーさんは普段はほとんど喋らないけど、お酒が入ると喋るんだよ。わん太はお酒平気みたいだね。逆にアヤちゃんが俺達に聞きたい事とかある?」


 おお!! 聞きたい事あるある!! こんなにたくさんの動物がいるんだから、逆にわん太みたいな大きな子犬とか、魔物の事とか、動物の病院とかなんか知っているかもしれない。


 わん太みたいな犬っているのかな?


「えっと。聞きたい事はたくさんあるの。ここってたくさん動物いるけど、人間の言葉を話す動物って見た事ある?」


「人の言葉を話す? あー。あるある!! ヨッシーさん前飼っていましたよね?」


 え? 見た事ある?しかも飼っていた?

「このサーカスで飼っていたの?」

「いや、ヨッシーさんの実家にいたはずだけど。ヨッシーさんよりよく喋りますよね?」


「てやんでぇ馬鹿野郎!! 俺だって喋る必要があれば喋るんだよ!! 必要がねーから喋らねーんだ!! 喋ればいいってもんじゃねー!!」


 なんだか若干キレてる? しかしそれどころじゃない!!

 わん太と同じく話が出来る生き物が他にもいる!!


「えっと。もしも……わん太が喋ったらどう思う?」

「どう思うも何も、わん太だって飯も食うし酒も飲むし、そりゃその気になりゃ喋るだろ!! もう一杯飲むか?」

 わん太がヨッシーさんにお酒を飲まされている。

 その気になりゃ喋るってどんな犬だろう。めちゃくちゃだ。


「アヤちゃんゴメン。ヨッシーさん酔っているだけだから気にしないでね。わん太が喋るわけがないのは俺達もわかっているから」


 みんなヨッシーさんとわん太を見ながら笑っている。



「喋るんだゾ」



「………………」



 ピタッと笑い声が一瞬で止んだ。

 全員が凍り付いた。


 数秒後、もう一度

「俺だって喋るんだゾ!!」



 あちゃー。喋ってしまった。

 わん太も酔っぱらっちゃったのかな?

 団長さん以外の全員が一気に壁際まで飛び下がった。

 お皿がひっくり返って中身がこぼれる。


「アーボ……腹話術はよせ」

「コージさん、俺じゃ無いっす」

「じゃあ、わん太が喋ったのか? まさか魔物か?」



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