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第三十話 畑へ行ってみる

「ねぇ。この街も畑仕事している人多いらしいんだけど。わん太手伝ってくれる?」

「大丈夫だゾ!!」


 まぁ畑仕事は大丈夫だろう。

「問題は、絶対に喋っちゃいけないって言うのが一つ。喋る犬だと魔物扱いされるからね。それと何を言われても私以外の人の命令は絶対に聞いちゃダメだよ。」

「なんでだゾ? 畑仕事はアヤより詳しい人が多いはずだゾ」

 もちろんそうだ。でも直接の指示は私が出す方がいい。


「私の命令以外を聞いたら、みんなアンタを欲しがるに決まっているから。私の命令以外は聞かないってしておかないとアンタだけ連れて行かれると思う。私と離されちゃうよ」


 一定時間離れると、また黒い魔物が出てくるだろう。

 この街にあるのかわかんないけど、もしも鉄の檻とかに入れられたらわん太でも出られるかわかんないし。わん太と離れたら私がまた攫われたりしそうだ。私の身の安全も大切だけど、わん太にとっても私の身の安全が脅かされる事は望まないはず。


「よくわからないけど、わかったんだゾ。アヤの言う事以外は無視するんだゾ」

「あと、私の身の安全を第一に考えてね。あんたみたいに頑丈じゃないから叩かれたりしたらすぐに死んじゃうし、攫われたりするかも知れないし」

「それは大丈夫だゾ。アヤの周りに風を吹かせておくから変なのが近づいたらわかるし、場合によったら吹き飛ばすんだゾ」


 わん太と一緒にいる間、途切れた事のない風。

 わん太が寝てる間もずっと吹いているし、風に何かが触れるとわん太は目を覚ますらしい。吹き飛ばして怪我させたりしないかちょっと心配だ。


「それと、何かあったらもうこの街から逃げちゃおう。村の出口以外からでも出られるでしょ?」

「大丈夫だゾ。柵でも壁でも飛び上がれるし、突き破ることも出来るゾ」


「お願いね。逃げ道だけちゃんと覚えておいて。あと口の周り血だらけで怖がられちゃうから洗っておいてね」

「わかったんだゾ」

 作戦会議は終了。そのままわん太の背中に乗って寝る。朝になったら川で血だらけのわん太の顔をなんとかしてもらおう。


 朝ご飯を食べてから再度ラークスパーの街へ入り、南側へ向かう。

 いろんな人がわん太を見ているけどいつもの事なので気にせず進む。


 街の南側は、想像以上の農業地帯だった。

 ナンテン村なんて話にならない。

 この大きな街の食材を引き受けているんだから当然なのかも知れないけど、見渡す限りの田んぼに畑に、牛や馬や豚小屋に鶏小屋。ダチョウっていうのかな? 変な鳥もいる。


 わん太に乗ってウロウロしてみる。途方も無く広い畑だ。

 馬に乗って移動する人もたくさんいる。

 荷物の運搬の為なのか、道も大きく作られている。

 たくさんの納屋や家がある。ここに住んでいる人もいるのだろう。

 大きな市場もある。

 大きな声で競りらしきものが行われている。

 業者さん達が街に卸す野菜を買い付けに来るらしい。

 貴族様達が食べる肉や野菜もここに買いに来るので、高級な馬車もちらほら見かける。


 あまり目立ちたくないので、畑の方に向かう。

 広大な畑なので、人がいないところではわん太に走ってもらう。

 歩いていると日が暮れてしまいそうだ。


 仕事は山ほどありそうだけど、いきなり畑仕事させてって言っても変に思われそうだな。

 いい方法ないかな?


 街の中心から離れ、南に行くにつれて、少しずつ畑が減ってくる。

 ただの原っぱだったり、潰れてしまったのかな? 元は畑でした。みたいな感じの草ボーボーの所が多くなってきた。土地はあるけど人がいないのか、作物が育てにくい土とかなのかも知れない。

「どこも全然いい作物が無いんだゾ。小さいジャガイモしかない。土が悪いんだゾ」

「ダメな土なのかな?」

「俺が耕したらジーちゃん達の畑みたいになるゾ。でっかいジャガイモが出来るんだゾ」

 畑のすみの小さいジャガイモを掘って勝手にかじっている。怒られないかな。


 おじいさんが休憩しているので話しかけてみる。

 荒地の中にある畑。

 服も農具もボロボロだ。見るからに大変そうだ。

 わん太の手助けを受け入れてくれるだろうか?


「こんにちは~」

「こんに……うぉっ。なんだそりゃ? 犬か?」

「犬だよ。わん太って言うの。普段は大人しい犬だから大丈夫だよ」


 精一杯尻尾を振り愛想を振りまくわん太。非常に可愛い。大きいが可愛い。

 自分の容姿を理解している。


「噛んだりしないか? まぁお嬢ちゃんが乗っているんだから大丈夫か」

「私がいれば絶対に噛まないよ。私はアヤ。ナンテン村からおじいさん達と一緒に街に来たんだけど。おじいさん達は街で用事があるんだって。私は暇だから犬と一緒に散歩してるの」

「アヤちゃんか。ワシはケイトだ。犬と散歩って言っても畑しかないし、遊ぶ場所も無いだろう。畑仕事でも見学に来たのかい?」


 あ。いい感じかも? おじいさんと一緒とか嘘ついちゃったけど、孤児が一人でウロウロとか怪しすぎる。野菜泥棒とかと思われてしまうだろう。

 この流れで何とかきっかけを作れれば。


「ナンテン村だと、わん太は畑仕事してるからね」

「ははは。牛も馬も畑仕事手伝ってくれるからね。その犬は何ができるのかな? 大きいし力も強そうだからわん太は充分役に立ちそうだね」


「その辺の荒地耕してあげようか?」

「その辺の荒地も元は畑だったんだけどね。もう土地が痩せてしまって。肥料を撒いてもいい野菜が取れないんだよ。土も硬くなって耕すのも大変だし、耕した所でいい野菜はもう出来ない。雑草以外は生えないよ」


 ふむ。わん太の実力をケイトさんに見せてあげよう!!

 わん太から降りてケイトさんの隣に座る。


「わん太。そこの荒地を全力で耕してちょうだい!!」



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