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第十九話 ナンテン村

 フーゴさん達と別れてモクモク山をぐるりと回る。

 山自体が大きいので迂回するのに時間がかかる。

 おじいさんの村へ向けて、ひたすら歩き続けている。


 多少山を登ったり下りたりするので起伏が凄い。疲れそう。

 まぁ歩き続けるのはワンタで私は乗っているだけだ。


 お昼を過ぎ、食事を取る。そして夕方前。

 モクモク山の裏側に小さな村があった。


「着いたんだゾ」

 入り口に看板がある


【ナンテン村】


「なんてんむらって読むんだゾ」

 ワンタが教えてくれる。どんどん村の中に入って行く。


 畑仕事をしているおじいさんがいる。

 ん? なんだあれ? 野菜!?

 畑の野菜が大きい!!!!!


 私が見た事のある白菜や人参の倍以上ある!!

 何この畑!? 何かがおかしい。


「おおっ!! ワンタ!! どこ行っていたんじゃ!! そのペラペラのカバンはなんじゃ? おおおお!! ワンタの背中に女の子が乗ってる!?」


 これがワンタの言っていたジーちゃんだろうか?

 ワンタは全力で尻尾を振っている。おじいさんに会えて嬉しそうだ。


「こんにちは。アヤって言うの」

「アヤちゃんか!! ワシはゲンゾーって言うんじゃ。何でワンタに乗ってるんじゃ? どこから来たんじゃ?」

「うーんと。話せば長くなるんだけどいいかな? いろいろあってワンタに乗せてきてもらったの」


「ふむ。とりあえず、ワンタが無理やり連れてきたとか言う訳じゃないんだな。話が長くなるならうちで飯でも食いながら、ゆっくり話すといい!! みんな~ワンタが帰ってきたぞ!!」


 ワイワイガヤガヤと村の方が集まってくる。年配の方しかいないが、みんなシャンっと腰も伸びていて声も大きく、笑顔で元気そうだ。


 おじいさんの家にお邪魔させてもらう。

 家の隣に大きい納屋があって、中には仕事の道具と巨大な野菜がたくさん入っている。

 美味しいご飯を頂けそうで嬉しい。


「バーさん、ワンタが女の子乗せて帰ってきたぞ。アヤちゃんじゃ!! とりあえず風呂と飯にしてやってくれんか?」

「はいはい。ワンタ。どっか行ったと思ってたら女の子連れてきて。私はおじいさんの妻でトバリって言うの。アヤちゃん大丈夫だったかい?」

「うん。いろいろあって大変だったけど。ずっとワンタが守ってくれていたから大丈夫」


「大変な事? ワンタが守ってくれたのかい? 話は後で。先にお風呂にお入り。その間にご飯作っておくからね」


 お風呂を沸かしながらご飯を作ってくれる。

 顔のアザを見ても誰も何も言わない。


 おじいさんの家の壁、鴨居の上にたくさんの文字が書かれた紙が貼ってある。

【家内安全】【健康長寿】【火迺要慎】


 読めない。なんだこれ?


「おじいさん。あの紙は何?」

「あれは御札じゃな。この家を守って貰える様に。健康でいられますように。火事になりませんようにって言う願いが書かれているんだよ」


 ふむ。お守りみたいな物かな。


「ちょっとワンタと村の中見てきていい?」

「いいよ。お風呂沸かしとくね。30分くらい経ったら戻っておいで」


 ワンタは何しているのかと探すと……畑仕事!?

 犬が畑を耕している!!

 大きな前足で畑を掘り返している。

 畑はどんどん掘り返され、フカフカの土になっていく。


 畑の上で燃やされていた雑草や野菜くずみたいな物も粉々にされて土の中に混ぜられていく。

 この畑の持ち主らしいおじいさんが話しかけてくれる。

「君はさっきワンタに乗っていた子だね? 村に遊びに来てくれたのかい?」

「アヤって言うの。遊びに来たんじゃないんだけど。ワンタと一緒にこの村まで辿り着いたの」

「ふーん。なんか理由があるのかな?この村は人里から離れているけど、ワンタのおかげで豊かな村なんだ。アヤちゃんがいいのならゆっくりしていくといいよ」


 私の顔を見ても嫌な顔一つせず、みんな普通に接してくれる。

 ワンタのおかげで豊かな村とは何だろう?


「ねぇ。なんでこの野菜こんな大きいの?」

「何故だろうね? ワンタが耕した畑の野菜は全部大きくなるんだよ。耕した畑に種を撒いて放置しているだけでびっくりするほど大きい野菜が大量に出来てしまうんだ。味も濃くて美味しくて食べると健康になる」


 畑の中を見ると、カボチャの蔓の上にトマトが生っている!?

 トマトとカボチャって同じ物なの!?


「あれは何?カボチャからトマトって出来るの?」

「あれは接ぎ木だよ。カボチャの台木にトマトを接いだんだ。昔から行われている野菜の作り方で大きくなるし病気も少ないんだよ。台木と穂木、お互いの良い所だけを取ったような野菜が作れるんだ」


 よくわからないけど。植物は不思議な事が出来るんだ。

 カボチャとトマトって別の野菜なのに。

 動物だったら人間同士でも他人の手足なんかくっつけられないと思う。


「わん太が耕した畑だから、普通に種だけ撒いてても立派な野菜になるんだけどね。でもワシらも昔からやってきたやり方だし、もっと美味しい野菜になると信じてやっているんだ」


 確かに美味しそうな野菜にも見えるが、巨大すぎて野菜と言う感じがしない。

 みずみずしくて色鮮やかで超巨大。食べたら美味しいのかも知れない。


「あんな大きい野菜が大量に出来たら食べきれないんじゃないの?」


「人間だけじゃ食べきれないよ。ワンタも野菜食べるし、鶏や牛や馬も豚も野菜を食べて育つんだけど。鶏は卵をたくさん産むようになるし、牛も馬も健康で、肉にしても美味しい肉になるし、牛乳もたくさん出るようになる。街の方から大量に買い付けに来る人もいるんだ。ワンタは農業の神様じゃないかって思っている。向こうに牛がいるから見てくるといいよ」


 指差された方向に大きな牛小屋らしきものがある。


「モオオォ~モオオォォ~」


 牛だ!! 大きい!! ワンタよりもっと大きい!! 牛小屋? 牛舎と言うのだろうか。牛肉になるのか牛乳になるのか畑仕事するのかはわからない。全部かも知れない。

 牛小屋の中にたくさんの牛がいる。

 一角に【わん太の家】と書かれている?


 わん太って漢字まであったんだ。

 わん太の家ってなんだろ? わん太はここで寝るのかな?


 そろそろご飯出来たかも。おじいさんの家に行こう。

 畑を耕しているわん太を呼ぶ。


「わん太~おじいさんの家行くよ~」

 いろいろな説明を一人で出来るとは思えないので、わん太には畑仕事を中断してもらい、わん太にまたがりおじいさんの家に向かう。


「アヤちゃんはお風呂にお入り。わん太のご飯はこれだよ」


挿絵(By みてみん)


わん太

「ジーちゃん達の手伝いするんだゾ!!」

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