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第十八話 ご飯を食べて出発

 オジサン達が料理の準備を始めている。


 私の顔のアザを見ても、フーゴさんを含め、誰にも何も言われなかった。


 しばらくすると、ワンタが、大きな鹿を咥えて戻ってきた!!

 これだけあればワンタも含めて全員お腹いっぱいになりそうだ!!


 地面にドサッと降ろす。

 仲間達が鹿に群がる。


「うおおおお!! 大物じゃねーか!!」

「毛皮も上等だ!! 傷も無い!!」


 ワンタが咥えてきたが、牙で穴とかはあいてないらしい。体当たりで倒したのかな。

 ワンタのよだれまみれなのが多少気になる。


「アヤちゃん。これ料理していいのか?」

「うん。これだけあればみんなの分ある?」


「もちろん!! ワンタもお腹いっぱい食えるよ。俺達もなかなかお目にかかれない大物だ!!」


 猟師さん達がみんなで一気に解体していく。川につけて血を抜き、手早く皮を剥ぎ、肉を捌いていく。

 私は怖いのであまり見ないようにする。

 ワンタの背中に乗ってウトウトしていると。


「アヤちゃん出来たよ」

 いい匂いがする。焼いた鹿のお肉とパンとサラダとスープ。

 美味しそうだ。私が降りた瞬間にワンタは大きなお肉の塊に飛びついた。


「いただきます。美味しそう」

「新鮮な鹿肉だから美味しい上に栄養たっぷりだ。俺達もワンタに感謝しなくちゃな」


 みんな笑顔で食事している。フーゴさんも怪我しててもお腹は空いているらしく、頑張って食べている。

 ワンタもがつがつ食べている。普段生肉で食べているはずだけど。

 雑食だって言ってたし。たぶん美味しいんだろう。

 スープやサラダはワンタの分は無いようだ。


 もう夜になってしまった。今日はここに泊めてもらえる事になった。

 みんなはテントの中で寝るらしいけど、私は寝心地のいいワンタの上で寝る事にする。

 心配して中で寝るように言ってくれたけど、テントの中より安全な気がするし、ワンタの中から黒い魔物が出てこないとも限らない。


 お腹もいっぱいになり、朝までぐっすりと眠った。


 朝、いい匂いで目覚める。

 朝ご飯だ。私は手伝いもせずに寝ていて、ちょっと恥ずかしい。


「おはようございます」

「起きたかな。おはよう。犬のベッドで大丈夫だったかな?」


 一度ワンタの上で寝てもらえればワンタベッドの寝心地の良さはわかるだろうけど。

 普通の人は犬の上で寝ようとは思わないだろう。


「大丈夫。旅の途中はずっとワンタの上だよ」

「フーゴは熱が出てダウンしている。朝ご飯が出来ているよ。たくさん食べてくれ」


 パンとサラダと目玉焼き。

 あと、昨日焼いたお肉はたくさんあるから好きなだけ食べてくれと言われた。

 朝からお肉。今までだったら食べなかったけど、ちょっとだけ食べる。

 美味しいコーヒーも入れてくれた。

 ワンタは気にせず大きな塊にがっついている。


 食べ終わったワンタは、干してある皮と大きな角を見ている。

 と思ったら、角を一本咥えてしまった。


「あ。ワンタ。食べちゃダメだよ!!」

 一応ワンタに注意してみる。


「アヤちゃん。犬は動物の骨とか鹿の角を齧って遊ぶから大丈夫だよ」

「でも。いいの?」

「元々ワンタが取ってきた鹿だからね。犬の身体に害があるわけじゃないから大丈夫」


 ワンタはガジガジと齧っている。美味しいのだろうか?


 しばらくすると、角を置いてワンタはどこかへ行ってしまった。

 たぶん水を飲みに行ったのだと思う。

 戻ってきたらまた齧ると思うのでとりあえずそのまま放置しておく。


「俺達はしばらくここで狩猟しているけど。アヤちゃん達はこれからどうする?親はどこにいるの?」

「親はいないの。私とワンタはおじいさんの村に行く途中。ワンタが一緒だから大丈夫」


「その犬だけなら賢いし強そうだから大丈夫だとは思うけど。アヤちゃんは子供だから心配だな。飯が無くなったんだよな。フーゴのお礼もあるし、鹿も食わせてもらったからいくらでも持ってってくれ」


「有難う。ワンタは自分でなんか獲って勝手に食べるから。私の分だけお願いします」


 たくさんの食材を貰った。有難く頂いた。


「角はワンタのおもちゃになりそうだけど。鹿の皮はどうする?乾かしてなめす必要があるから、使うにしても、売るにしても時間がかかるよ」

「うーん。皮の加工なんて出来ないし、買ってくれる人もわかんない」


「俺達で買わせてもらおうか?」


 お金はマジックバッグに山ほど入っているけど、大金貨なので怪しまれちゃって使えない。

 使う度にやたら犯罪に巻き込まれるし。ワンタが助けてくれなかったら私が殺されていただろう。

 ここで大金貨を細かく両替してもらってもいいけど、大金貨を持っている理由は結局説明出来ないし。


「お願いします。なるべく細かいお金で貰えると助かる」


 皮の袋にジャラジャラと入れてくれた。食料も紙や布に包んだ物と瓶詰をたくさんくれる。


「鹿は傷も無いし、大物だった。フーゴの件もあるしちょっとおまけしておいた。重いけど大丈夫か?金貨の方が持ち運びやすくないか?」

「大丈夫。ワンタの首輪にかける。ありがとう」


 重い。中を見ると小銀貨、銅貨がたくさん入っている。あとでマジックバッグに入れかえればいい。


 喋っていると、足を引きずりながらフーゴさんがテントから出てきた。

「アヤちゃん。寝ていてすまない。昨日から熱が出て、ちょっと調子が悪いんだ」


 無理をしたからなのか、フーゴさんは熱を出してしまったらしい。

 無理に出てきてもらって申し訳ない。


「いえいえ。美味しいご飯をご馳走様。皮も高く買ってもらったの」

「こちらこそ助けてもらった。感謝している」


 ワンタが戻ってきた。口に大きな鳥を咥えている。


「ワンタ。もう出発だから鳥はいらないよ」


 わかっているのかわかってないのか。なんで鳥なんか捕まえてきたんだろう?


「ワンタは凄いな!! 猟銃があっても鳥を狙うのは難しいんだ。どうやって捕まえたんだ? 有能な猟犬だ。もしもアヤちゃん達がおじいちゃんの所から出ることがあれば、俺達と一緒に猟師やらないか? もちろん猟銃の使い方も狩りの仕方も教えるよ」


「猟師? 私も仲間に入れてくれるんだ。大人になったら考えておくね」


 猟師か。たぶん私に猟なんか出来ないだろうけど、私のアザを見ても普通に声をかけてくれた事が素直に嬉しい。


「ワンタ。もう鳥を食べている時間はないし、食べ物も一杯貰ったから。フーゴさん達にその鳥は食べてもらうよ」


 ワンタが口から鳥を放した。鹿の角を二本とも咥えて持ってきた。おやつに食べるのだろう。

 ワンタが地面に伏せたのでお金と食料を首輪に引っ掛けて背中に乗る。


「鳥はみんなでお昼に食べて。私達は出発するね」

「本当にいいのか?これも買い取りたい位だが」

「大丈夫。鳥はいくらでもワンタが取ってくるの。みんなで食べて。色々有難う」


 お礼を言ってワンタが出発する。

 ワンタは大きいからちょっと怖がられたけど、私のアザを見ても一切嫌な顔をしなかった。

 また会えるといいな。


 山を迂回し、おじいさんの家に向かう。

 重い荷物もお金も角も全部マジックバッグに入れる。


「ワンタさっきなんで鳥捕ってきたの?」

「ジーちゃんにお土産持って帰ろうかなって思ったんだゾ」


「何日も咥えてたら腐っちゃうよ」

「もうそんなに遠くは無いんだゾ。今日中に着くゾ」


 あら。せっかく大金貨より小さいお金を貰ったのに。

 まぁお金はまた使う事もあるだろうし。邪魔にはならないからいいんだけどね。



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