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第十五話 街の終わり

 ガシャーン!!

 魔蝙蝠がお店のガラスを割った!!

 ガラスを割り、中に入った。店の中で何かを狙っているのか。

 大きく硬い身体。ガラス位は割ってしまうし、動物や人間をエサとして狙っている。

 クルクルフラフラと飛び回るので、石などを投げても狙いがつけづらく当たらない。


「さっきの人は蝙蝠を買ってくれるって言ってたゾ」


 銅貨10枚。ここで手に入れたお金だったら、誰にも何にも言われないだろう。

 それどころか、魔蝙蝠を減らした事で、感謝されるかも知れない。


「ワンタ。あの魔蝙蝠を落とせる?」


 ヒュウウゥゥ……


 大きくゆるーい風が吹き出した。

 蝙蝠の居場所を探っている。


 いきなり上空を飛んでいた数匹の魔蝙蝠がキリモミ状態になり、地面に叩きつけられた!!


「落としたんだゾ」


 まだ生きている。地面でジタバタしているが、上空から地面に叩きつけられているので飛び上がる事は出来ないようだ。


 落としたのはいいけど、どこにどうやって持っていけばお金になるのかを考えていると、先ほどから魔蝙蝠を狙っていた男達が、競い合ってとどめをさせ、魔蝙蝠の死体を奪っていってしまった。


「あの……その蝙蝠は私の……」

「なんだてめぇは!! 何をわけわかんねぇ事言ってんだ!! 突風で落ちてきたのを俺がとどめさせたんだろうが!!」

 確かに、ワンタが起こした風とか思うわけがない。

 普通に考えれば当たり前だ。

 ここでは何をやってもダメだ。


「もういいんだゾ。この村は俺達には合わない村なんだゾ」


 そうなのかも知れない。

 ここで食料を買おうと、ただ無駄な時間を浪費するだけなら、お腹を空かせてても先に進んだ方が賢いはず。


「ワンタ。この街を出よう」


 黙ってワンタは歩き、街から出る為、朝とは違う警備員に通行証を見せようとポケットをまさぐる。

 またなんかいちゃもんつけられてお金を取ろうとして来ると思ったのか、通行証を出す前にワンタはダッシュで素早く走り抜けてしまった。

 後ろで警備員が何やら喚いているが無視してそのまま川沿いに来てしまった。


 ここはさっきの洞窟の近く。もう嫌な予感しかしない。


「腹が減ったんだゾ」


 はぁ。やっぱりね。


 私の分はちょっとだけパンとお菓子が残っているが、仮にワンタに全部あげても全然足りないだろう。動物を捕まえようにも、この辺の動物は魔蝙蝠が食べてしまったので、極端に少ない。


「もうしょうがないんだゾ」


 うん……しょうがない。

 ワンタが食べたい物はわかっている。食べ物はそれしかない。

 私を乗せたまま勝手に歩いていく。

 思った通り、水の上を走り抜け、洞窟の手前に辿り着いた。


「諦めるけど、私の前では食べないでよ!!」

 一応言っておく。


「わかってるんだゾ。ここで待つんだゾ」


 ワンタから降りる。私の周りの風が強くなった?

 上に向かってぐんぐん吹いている。

 どうするつもりなんだろう? 洞窟の中で食べてくれると思ったんだけど。


 ワンタが洞窟の中に入って行った、

 突如、洞窟の中から物凄い勢いの風が吹き出した!!


「いやあああああああああ!!!!!!」


 ありえない。

 ワンタが洞窟の中から物凄い風で蝙蝠達を吹き飛ばしているんだ。

 全部食べるわけじゃないので面白半分に追い出しているんだろう。


 何千匹? 何万匹かも知れない。魔蝙蝠が洞窟から飛んでいくのが見える。

 飛んでいくと言うか吹き飛ばされて行く。

 もう気持ち悪いにも程がある。

 私を襲ってくるかも知れないと思ったが、ワンタが私の回りに吹かせている風が強すぎて、魔蝙蝠は私には近づくことが出来ない。


 魔蝙蝠は、危険を感じたのか、洞窟からあちこちに飛び去って行った。

 どこに消えたのかはわからない。


 しばらくすると、全身水浸しのワンタがあらわれた。

 おそらく蝙蝠を食べて血がついたので水に飛び込んで全身を洗ったんだと思う。。

 自分の身体を風で乾かしている。


「美味かったんだゾ!! アヤもパン食うんだゾ!!」


 満腹になったのかワンタはご機嫌だ。


 だけどいらない。もうご飯なんかどうでもいい。

 食欲が無くなった……


「とりあえず一刻も早くこの洞窟から離れて!!」

「なんでだ? 大丈夫だゾ!! 洞窟の中で俺がマーキングしてやったんだゾ!! あいつらもう洞窟に戻れないゾ!!」


 え? マーキング?

 確か犬とかは自分の縄張りを示すためにオシッコかけたりするって聞いた事はある。

 あの魔蝙蝠はどうするんだろ?


 というか、そんなの全くどうでもいい。魔蝙蝠が戻ってきても来なくても、とりあえずここから離れたい。


「もうそんなのどうでもいいから、早くここから離れてほしいの」

「飯はいいのか?俺は三匹食ったんだゾ!! 水も飲んだしお腹一杯だゾ」

「もう食欲が無いの。お願いだから早くここから離れて」


 ワンタに乗り、次の村か街へ向かおう。


 ワンタとアヤは洞窟から離れ、アヤに急かされて、もの凄く急かされて、ジーちゃんのいる村へ向かって、もう夜なのに小走りで走る羽目に。

 いつもなら寝ている時間帯だ。

 移動時だって普段はノソノソ歩いているのに。

 なんでこんな夜中に走る羽目になってしまったんだ。


 そして、洞窟と言う住処を追われ、行き場を失った魔蝙蝠達はどこへ行ったのか?




 ムスカリ街。

 もう日は暮れて、みんな寝静まったころ。


 洞窟を追い出されて、飛び去った魔蝙蝠が住処を求めて街に襲来!!

 住処だった洞窟はワンタが自分の縄張りだとばかりにマーキングしてしまったので魔蝙蝠達は戻ることが出来なくなってしまった。


「なんだ!? なんで夜中に!? 魔蝙蝠の大群が来やがった!!」

「逃げろ!! って逃げるったってどこに逃げれば?」

「どこでもいい!! 早く逃げろ!!」


 寝ている住民の家のガラスを割り、中に入り込む。

 薄い壁を壊そうとガンガンぶち当たる。

 もちろん役所もお店も病院も関係無しにどんどん入り込む。


 逃げ惑う人々。魔蝙蝠は我先に建物の中に入り込み、部屋の中、屋根裏、軒下や、日の当たらない部分を占拠していく。


 悲鳴をあげて逃げ惑う人々。


 誰かが呟いた。





「もうこの街は終わりかも知れない」







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