33 全滅
33 全滅
武村は目が覚めると目を疑うような光景を目の当たりした。
ガイア平原が焼け野原となり、兵士が一人残らず焼死体となって見るも無残であった。
地獄絵図の様相……生き残りがいないかと、武村はゆっくりと立ち上がり、歩く。
すると、翼を伴った新島が手を振っていた。生き残りは三人しかいないのかと絶望の余韻に浸る。
「新島……それに翼。生き残ったのはお前達だけか?」
自らが絶対の信頼を送っている盟友に問い正す。
取りあえず、二人が生き残っていたことに幾許かの安堵を覚えた。
特に新島は五つの生命体よりも遥かに高い戦闘能力を誇る。
彼一人の力でやれることは限界があるが、人間最強と称される彼は誰よりも信頼が置ける。
「ああ。生き残ったのは俺達だけの様だ。ガイア帝国軍二十万は全滅した」
新島の震えるような声音に武村は現実をようやく直視し、絶望する。
しかし、何で自分達三人だけ無事なのかが理解できなかった。
二十万の軍勢が灰燼に帰したのはガイア帝国軍にとって詰みの形だと思う。
それに急使から、齎された帝都の惨状……ガイア帝国は崩壊の瀬戸際であった。
ここで失敗したのは鳳凰院紅葉の近衛兵団六万を動かしたのが痛い。
「父上、私たちは帝都に戻らねば。帝都は王土の民の一派に占拠されていると聞きます」
翼は武村に帝都に引き返す事を立案した。やはりと言うか、翼は頭の切り替えが早い。
大勢の仲間を失ったにも関わらず、先手で、次の行動に迅速に移す。有能者だ。
新島も怖い顔を作り、頷く。帝王の血を覚醒したもの同士、通じ合うものがあるようだ。
「翼よ。我々三人で帝都へと向かう。
帝都にはまだ鷹匠銀翼と石頭浩三駐留兵団三千の精鋭がいる。そう簡単には帝都は落ちない」
武村もまだ諦めてはいなかった。一騎当千の自分達がいれば王土の民には易々とは屈しない。
三人は焼け野原を闊歩して言った。博士が使った古代兵器は一瞬にしてガイア帝国軍を葬り去る威力だった。
今頃帝都では指揮を取っている鷹匠銀翼が徐々に王土の民の一派に苦戦を強いられている頃合いだろう。
早く駆け付けたかったが、軍馬も全部焼死したため、走ってガイア帝国の国門まで急がなければならない。
「二人とも! 急ぐぞ! 鷹匠銀翼や鬼瓦訓練教官は名将だが、王土の民の志願兵は一万五千と聞く」
武村は王土の民の一派の兵力の概要を頭の中で弾き出した。
一刻も早く帝都に戻らねばと、武村たち三人は猛スピードでガイア平原を駆けて行った。




