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15 鷹匠一族

 15 鷹匠一族



 大総統の御令嬢までもが、究極生命体の毒牙に掛かっていた事は翌日の新聞に報じられた。

 新聞の見出しには『鷹匠家の闇』と大々的に載り、大総統の権威は失墜した。

 麗花が罪に問われなかったのは騙されてカプセルを無理やり、飲まされたという。

 武村たちは敢えて偽の情報と共に新聞社に提供したことで麗花の身の安全を守る事が出来た。

 しかし、ガイア帝国筆頭の名門貴族である鷹匠家の権威が失墜することは免れなかった。

 これまでガイア帝国一の名家、鷹匠家は悠久なる歴史と共に歩んできた。

 祖先は家紋が不死鳥の尾羽であることから、不死鳥の使いという伝承がある。

 ガイア帝国建国以前からの功臣の一族として繁栄。

 今や世界統一国家であるガイア帝国であるが、始まりは小さな部族であった。

 鷹匠家はその時から有力な武家であり、先見の明がある当時の当主が、

 先行投資として部族ガイアを支援し、ガイアの族長の娘であった桜華と契約を結ぶ。


『鷹匠の血脈と交わり、永遠の千年帝国を築くが良い』と。


 力に目覚めた桜華は瞬く間に世界を制した。

 建国以来の功臣の一族となった鷹匠家は一族代々、外戚として権勢を欲しいままとした。

 これが鷹匠家の輝かしい歴史があるが、歴代随一の当主と言われた鷹匠翼徳の代で影が見え始めた。

 鷹匠翼徳は鷹匠家の宗家の嫡男として生まれ落ち、鷹匠一族の当主と成るべく、幼き頃より、あらゆる英才教育を施されて育った。

 翼徳は鷹匠家に生まれ落ちた重圧に苦しめられて成長。

 持ち前の血統の良さと努力で見事、十八歳という若さで将軍となり、

 父が早くに死去したことにより、家督を継ぎ、皇帝陛下の娘である皇女殿下を娶った。

 傍目から見れば順風満帆で誰もが羨む程であったが、翼徳は絶えず重圧に苦しめられていた。

 皇女殿下は皇族としてのプライドが高く、翼徳は逆らえなかった。

 そんな時、皇女殿下との間に息子が生まれた。自らの名前を一字取って、銀翼ぎんよくと名付けた。

 翼徳はこの時から厳格な父親という社交性仮面を被った。

 翼徳にとって眼に入れても痛くない可愛い我が子であったが、息子を甘やかすと言う事はしなかった。

 翼徳自身も厳格な父親に厳しく育てられたため、何時いかなる時も厳しく接した。

 息子は父である翼徳に認められたいという欲求が強く、修錬を重ねた。

 武芸百般を極めるに至り、二十歳そこそこであっと言う間に大将軍に上り詰めた。

 息子は天才だった。認めたくはないが、その才能は翼徳を上回っていた。

 息子が、大将軍となった頃、正妻である皇女殿下が元々、身体が弱かったこともあって亡くなった。

 その寂しさは何とも言えなかった。我が家に光が消えた……そんな一抹の寂しさだった。

 悲しみに暮れていた時、転機が訪れる。ある日、翼徳が農場を視察した時だった。

 体中に電撃を受ける程の衝撃を受けた。ボロキレのような出で立ちで細い腕で桶いっぱいに水を汲む女。

 恐らく、最下層の農民、農耕奴隷であろう。薄幸な運命を彼女が辿るのをこの時、感じた。

 馬から降りて翼徳は彼女に声を掛けた。突然呼び止められた彼女は酷く怯えていた。

 貴族の格好と厳格な出で立ちで、彼女との壁を感じた。

 カグヤと名乗った彼女は今にも倒れそうな程、痩せ衰え、生気が無かった。

 このまま放っとけば、カグヤは死ぬだろう。思案した挙句、カグヤを引き取った。

 それから数年した後、身分を買い与え、加具夜を後妻に迎えた。

 それを息子から強く反対されたが、翼徳は無視した。だが、カグヤもすぐに亡くなった。

 翼徳が助けても彼女は薄幸な運命を辿った。

 運命は変えられないのかと思い悩みつつ、カグヤの忘れ形見である麗花を育てた。

 不思議な娘であった。厳格であった自分が、麗花を甘やかして育てている事に。

 カグヤの面影を残した麗花には厳しく出来ない自分がいた。

 恐らくカグヤの幻影を追っているのだろう。

 麗花にはカグヤが、農耕奴隷であった事を秘密にしていた。

 周囲にもかん口令を敷き、母親は貴族の娘であると麗花には言い聞かせていた。

 そしてある日、麗花は究極生命体となった。

 結果的に解毒剤が奇跡的に手に入り、麗花は人間に戻れたが、鷹匠家の権威が失墜する事態となった。

 翼徳は翌日の新聞を見て、ガイア帝国軍の最高司令官である大総統の座を降りる事を決めた。

 後任を誰に託すかも翼徳は決めていた。その人物とは戦士団の長、武村に他ならない。

 本人にも前に言ったが、武村ならば、五百年にも及ぶ戦いに終止符を打つことが出来ると確信していた。

 決断を下した翼徳は新聞を部屋のテーブルに置いて、武村にその旨を話に向かった。

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