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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

セツナとキラリ

作者: 海音²

思い付きです!

「セツナーー!!」


 純白のミリタリーワンピースを身に纏った黒髪の少女が直剣を振り下ろす。


「キラリーー!!」


 漆黒の軍服を身に纏った金髪の少女は、刀を振り上げた。


 ガキィーン!!


 勢いよくぶつかり合い、その反動を利用して2人共後ろへ飛び、距離をとった。もう、何度戦ったことだろう……2人は、お互いの手の内を全て知っていた。背後にはそれぞれの味方の軍が、2人の戦いを静かに見守っている。


 2人は今日こそ()()をつける為、武器を握り直し、再び駆け出した。


 ───────────────────────


 新日本歴763年日本は富士山を境に西と東に別れた。そしてその日私達は敵同士になった……

 私とセツナは、両親の会社の関係でよく一緒に遊んだり、旅行に行ったりしてた。

 その日も私の家族とセツナの家族一緒に温泉旅行に行ってた。お土産を見たり足湯に入ったり、私達は普段身近に無い物に浮かれて、はしゃいで楽しんでた。

 お土産売り場を覗いて私達は橋向かいのお店を見に行こうとしてた。でも私は、カバンに着けたストラップが無くなってるのに気がついて、お土産売り場に戻った。時間にしてわずか数分……それが私達の運命を決めてしまったのだ……私達家族は二度と一緒にいれなくなった。

 

 ───────────────────────


 何度斬りあったか分からないぐらい、私達は戦場で戦った。手は女性らしい柔らかい手とは程遠く、マメが何度も潰れ、ゴツゴツした男みたいな手になってた。オシャレやお化粧だってした事ない……そんな暇があれば、次生き残る為に鍛錬を続けた。

 きっとあの子も同じなんだ……だから私達は決着がつかない……お互い意地の張り合いなんだ。お互い思ってる事はきっと同じ……


 ガキィーン!

 またお互いの武器がぶつかりあった。もう……終わりにしたい……何度頭で考えたことだろう。あの子も、顔を歪ませ苦しそうで、早く楽にさせてあげたい。


「いい加減諦めたらどうよ!セツナ!」


「勘弁してや!キラリこそ、もうええやろ!」


 私は彼女を思いっきり蹴り飛ばした。いきなりの蹴りに対処出来ず、彼女は地面に倒れ込んだ。ごめんね……でもコレで終わらせてあげる!


 私は倒れた彼女めがけて思いっきり剣を振り下ろそうとした。その瞬間、近くに1発の銃弾が地面に当たった。私はそれに一瞬反応してしまい、視線を逸らし僅かに軌道がズレてしまった……


「ごふっ……セツナ……」


「キラリ……かはっ!」


 私は彼女にお腹を突かれ、私の振り下ろした剣も彼女のお腹に突き立ててた。私はあまりの痛さに立ってられず、貫かれる形で彼女の上に倒れ込んだ。


「ほんと……セツナは強情ね……」


「キラリこそ……」


「「(うち)セツナ(キラリ)を殺した罪を背負うつもりだったのに(やったんやけどな)」」


 身体が冷たくなってくのを感じながらも、やっぱり同じこと考えてたんだと思ったら、自然と笑ってしまった。目の前の彼女も同じようでうっすらと笑みを見せていた。あぁ……そうだった、最後にちゃんと返しとかないと……

 私は薄れゆく意識の中彼女に伝える為、口を開いた。


「そうだった……最後に……返しとかないとね……()()()


「ウチも……同じことを……考えとったんよ……()()()


 私達は……最後の最後でやっと元に戻れた……もう……何も見えないけど……最後に……


((どうか……キラリ(セツナ)と……幸せな日々を過ごせる世界が……ありますように……))


 ───────────────────────


「え?」


 私はふと足を止めて辺りをキョロキョロと見渡した。なんか今声が聞こえたような……

 私が突然立ち止まったから、横に居た黒髪の女性が首を傾げながら尋ねてきた。


「なんか忘れもんでもしたんか?」


「いや……なんか今、声が聞こえたような……セッちゃんなにか聞こえなかっ……た?って、セッちゃんなんで泣いてるの!?」


 私の顔を見ながら、雪菜(セツナ)……セッちゃんが突然大粒の涙を流していた。セッちゃんも、私に言われて初めて気づいたみたいで、慌てて両袖で涙を拭ってた。


「あれ?変やな……星凜(キラリ)の顔みたら……涙が止まらんのよ……ちょっと待ってな……すぐ止まると思うから……」


 そう言いながら、何度も涙を拭ってたせいで袖の先は、かなり濡れてた。私も、そんなセッちゃんを見てたら涙が零れ、気がついたら2人して抱きしめ合いながら泣き続けた。


 セッちゃんの感触や体温を感じ、それに傍に居る事が、凄く幸せに感じ、一緒に居て当たり前なのに、この時ばかりは、何故かとても長い間離れ離れになってたけど、やっと一緒になれた。そんな気持ちで一杯だった。

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