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(94)皇子の一日

 俺は帝国の皇子として生まれた。順位は七番目。たいして期待はされないけど、それでも皇族としての恩恵にはあずかれる。難しい立場だけど、したい事はそれなりに出来るって感じ。兄貴たちと比べると、扱いが雑な感じがあるけどまぁ、長子でもないならこの待遇は恵まれてるかもな。


「殿下、どうされましたか?」

「んー、なんか作ってる」

「そうでございますか」


 俺付きのメイドのメラドナだ。多分、今は十代後半の良いとこのお嬢様。加えて、物事にある程度寛容な性格をしている。無茶な実験をしても、守ってくれるし、色んな角度から助言もくれる。先月、建造できたパドルシップもメラドナの助けが無ければ完成しなかっただろう。

 しかも、その船が早速成果を上げてくれた。迷宮攻略で一隻沈められたが、機動力をいかんなく発揮してクラーケンを翻弄しつつ強い冒険者が討伐するまで持たせたという。実験結果はまずまずと行った所だ。

 が、今回の事でしくじったと思ったところは手柄を上げ過ぎた事だ。パドルシップを操って戦果を挙げたのは冒険者と海軍の軍人だ。それについては皇帝にも進言したし、俺の手柄に関しては俺の考えや構想を上手く形にしてくれた研究機関の奴等にも平等に分けたから俺自体の手柄は少なくなっているとはいえ、本来なら皇位継承の順位にも影響が出る程の成果でもある。この世界の軍事力の差を覆し得る発明なのだから当然の話でもあるが。

 けれど、事前に上の兄姉には継承戦は降りると伝えてあるし、皇帝にも母上にも了承は取ってある。途中で気が変わっても良いように、誓約書も作成した。後は降りた事で何処かのタイミングでどこぞの領地へ婿入りすることが決まった。発明に関しても予算を組んでくれるので、それに見合った成果を出せるように今も設計図を引いて考えている所。

 新しい発明品を研究しているとメラドナが話し掛けてきた。


「殿下、そろそろお昼の時間です。休憩いたしましょう」

「ん-、うん、する」


 メラドナに案内されて小食堂に通された。皇族だしね正直、家族全員で食事するなんてことは無い。月に一回有るか無いかで全員揃って夕食会は有る。

 今日のお昼は、パンに、ステーキに、サラダ。うん、脂っこい訳じゃないけど、似たようなのが多いからな。偶にはあっさりしたものを頂きたい。そのうち、食の革命も起こそうかな。


「口についてますよ」

「むっ、んー」


 メラドナが口を拭いてくれた、意外に気持ちいんだよねこれ。

 お昼を食べ終わると、腹ごなしの運動をする。まぁ、剣術の修行を騎士の人に付けてもらってるけど、才能は凡人くらいだろう。それでも自衛位は出来る様に真面目に取り組む。太りたくもないしね、真面目に取り組んで損はない。


「殿下は光るものは無いですが、何と言うか戦いにくいですね」

「褒めてるの?」

「粘り強く戦うというのは大切な事ですよ。そして戦えるというのも大事な事です。いざとなって、足が竦むことが一番いけない事ですしね」


 騎士がアドバイスしてくれる。兄上たちの様な花は無いけど、地道にやれるっていうのは良いな。

 その後は、研究に戻って、夕食食べて就寝した。

 明日も平和な一日になりますように。

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