(93)港町からの旅立ち
エリック様に伝えたからって訳でもないけど、そろそろ別の場所へ向かうか。交流も復活するみたいだし。海を渡って何処かへ行くのもいいかもな。
「皆、何処に行きたい?」
「海を超えたい」
「なんかあるの?」
「調べた限りじゃ、和食が食べられるところがあるらしい」
「ふーん。行ってもいいが、お前ら自分のナリを分かってんのか?」
「大丈夫だよ。差別とか偏見も少ない所らしいし」
「ならいいか」
そんなによさげな所なら行ってみるか。資金は溜まってるし、食料はまだ余裕がある。渡航費に関しては魔道具をエリック様に売ったので何とかできるか?
「じゃあ、行くか。準備しろ、サザナミ」
「何処に?」
「そりゃあ、渡航用の船のチケットを売ってるところだよ」
思い立ったが吉日だ。サッサと出発するか。
❖ ❖ ❖
冒険者ギルドで発券場の場所を聞くと港にある売店みたいなところを紹介された。ここが、チケット売り場か。そしてそこにいた厳ついオッちゃんに話し掛ける。
「どうも、冒険者ギルドの紹介できました」
「おう、冒険者証を見せな」
最近上がったこの綺麗な証明書を提示する。
「金剛級か。最近昇格したってやつを聞いたな」
「俺です」
「そうか。で、何処に行きたい?」
「水ノ国行きの船のチケットを下さい」
「水ノ国……。出航数が少ないんだよな。次回の出航は、ええと、おお、運が良い。二週間後に出るみたいだ」
「じゃあ、そこで」
「あいよ。出航は二週間後の午前の鐘が二回鳴ったらだな。護衛依頼も同時に受ければ、乗船料は少し割引だぜ」
「いや、金には余裕があるから、そのままで」
「羨ましい限りだ」
おっちゃんに言って船室を二部屋とる。収容人数は大人で二人だけらしいので、流石にチビが大半とはいえ、あの人数をその一部屋に納めるのはキツイ。
「じゃあ、この札を持ってろ」
「これを乗せるときに渡すのか?」
「ああ、乗るときに見せて、降りるときに渡すんだ」
「なるほどね」
おっちゃんから札を受け取ってバックの中に入れる。じゃあ、今日は一旦帰るか。




