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(91)たこ焼き、作り

 部屋に入ると金髪碧眼の美青年が待ち構えていた。何というか、信用できない笑みを浮かべている。まぁ、立場が上の人間なんて信用するモノじゃないんだろうけど。


「本日はお招きいただきありがとうございます。生憎と名乗るべき名は持ち合わせておりませんのでお好きにお呼びください」

「私は領主のエリック=ハルバインだ。クラーケンを討伐してくれて大変感謝している」

「いえ、当然のことをしたまでです」

「まぁ、堅苦しい挨拶はここまでにしよう。皆、そこに座り給え。ハーバル、全員分の茶を」


 社交辞令を交わし合うとエリックに席を勧められたので全員がエリックの対面にあったソファに腰かける。かなりの高級品の様で腰が沈む。気持ちいい。

 執事の人が俺たち全員に紅茶を渡してくる。


「自由に飲んでくれ」

「いただきます」


 サザナミが最初に口を付けて飲み込む。特に異常がない事を事前に示し合わせていた合図を出して示してくる。声を出して微笑するだけなので不自然にも感じないはずだ。他は猫舌を装ったり、そもそも手を付けないようにして飲むタイミングをずらしたりした。エリックが毒見を不自然に思う事はない筈だ。


「いきなりだが今回のクラーケン討伐の戦利品何だが。どれなら譲ってくれるかね?」

「この鞭ですね。使うなら相当練習は必要そうですが」

「それと蛸の肉それを使って料理を作るそうじゃないか。良ければそのレシピ俺達にも教えてくれないか?」

「それは、何故?」

「ここでは普通の蛸も良くとれるし、時期によっては蛸の方が多い時期がある。そのうえ処置しても臭みも生臭さも食感も酷い。それが常識だった。それをお前たちは食えるものにできるという」

「………」

「報酬は出そう。味次第になるが、ボーナスもある。どうだ?」

「……お前らはどう?」

「食べきれないし、良いんじゃない?」

「まぁ、大きいですし」

「特には」

「同じく」


 という事で、タコ焼きのレシピを教えることになった。


❖  ❖  ❖


 多分、海上で食える料理、選択肢を増やせるようになんだろうね。港町で組織を作ってる領主らしい判断と言えばそうだな。

 今、俺らは蛸を幾つか取ってきてもらい、調理を始めようとしていた。


「宜しくっス」

「お願いします」


 この屋敷のシェフに料理を教えることになった。まぁ、別に良いのだが。先ずはクラーケンを切り身にして分ける。多分、蛸足として使えるかも? 正直、どうなのか分からない。


「普通の蛸の解体法も説明しますね」

「お願いっス」


 先ずは一瞬で心臓を貫き仕留めて、口を掴んで裏返す。そのまま蛸の内臓をこそぎ落とす。

 そのまま水魔法でぬめりを洗い流す。次に塩をボウルにぶち込んでそのまま蛸も入れて揉み込み、また水魔法で洗い流す。それをもう一度行い、ぬめりを完全に取る。ぬめりが取れた蛸を塩ゆでにする。赤くなったのを取り出し、一口大に切る。蛸の用意ができると、今度は調味料づくりを始める。野菜ベースのソースを作り、タコ焼き用の生地を作る。


「さ、焼きましょうか」

「焼くんですか?」

「ええ、調理道具も用意しているので外で焼きます。行くぞお前ら」

『『おー』』


 シェフを連れて執事さんに料理ができる庭先に案内してもらった。かまどを作ろうとしたら執事さんがグリルを持って来てくれた。グリルの上に半球状の穴が規則正しく空いた鉄板を乗せて、シェフに火を付けてもらう。鉄板が温まったら、刷毛で鉄板に塗り込む。


「先ずは穴に生地を注いでいく、そして穴ごとにお好みで蛸足を投入」


 暫く待ち、生地が焼けてきたことを見極めて、鉄串で生地周りを切断するとそのままひっくり返す。


「おお」


 シェフから声が漏れた。やった事、見た事もない技術だったからだろう。また、焼き加減を見極めて、小さい皿に分けて、別の刷毛を使って索子を塗り込み。マヨをぶっかける。そのまま特製青のり、鰹節をかける。


「完成です」

「これが、タコ料理」

「酢と合えても良いと思うんですけど。こっちが上手い奴ですね」

「なるほど」


 シェフは俺の手順やアドバイスをメモしていく。

 俺は木串を取り出し、タコを貫いてちょっと持ち上げる。


「熱いから気を付けて」


 シェフにあーんと食べさせる。あれだな絵面が悪いな。シェフは顔は整っているけど、男なんだよな。あー、気が重い。


「あふ、はふ、あう」


 ハフハフしてる。初めて食べるとそうなるよな。他も似たような感じになってる。執事さんにも食べさせる。同じ様になった。


「笑えるー」

「貴方が食べさせたんでしょ」

「ソースついてますよ」

「ああ、これは失礼」

「もう出来たのかい?」


 エリック様がやって来た。


「食べます?」

「頂こう」


 エリック様に更に盛ったたこ焼きを渡す。木串も一緒に渡す。

 さっきの一連の流れを見ていたのか、無様を見せない様に少し冷まして口に入れる。やはり貴族、洗練された所作で優雅にたこ焼きを口に運ぶ。歯に青海苔がくっついてる。

 まぁ、喰い終わったら話し合いでもしましょうかね。

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