(60)いざ、次の街へ
ここから次の街、織物の街までは結構ある。徒歩で行けば二週間はかかるだろう。まぁ、馬で行けば一週間ぐらいにはなるだろう。ウチの馬はパワーと持久力についてはかなりあるし。とはいえ、街に近い所で変身するわけにもいかないので少し街から離れる。
「よし、準備完了」
「行くぞ!!」
まぁ、俺とコクヨウが馬役なんですけどね。
「荷物を運ぶ苦労が一気に解消されたね」
「今回は遠いからな日数がかかれば、それだけ食費もかさむからこの方が便利なんだよな」
「荷物ならこのバックにいくらでも入るじゃん」
「入っても管理できないだろ、そいつの能力に時間停止があるか分からないし腐るかもしれないなら管理できる量で管理するのが一番だしな」
「それもそうだね」
俺達の尻の方に野宿用の荷物とカモフラ用の食事袋を載せる。希少なモノを持っているとよからぬ輩が来るからな。見た目だけならガキと男が一人の狙いやすい奴等だし。見た目も良いしな、攫って奴隷にするのも悪くはないと考える奴だって出て来るだろう。
「んじゃ、出発前に舐められない様に変身しますか。ノンナちゃんは私の方に来て」
「はい」
「じゃ、貴方には私が乗りますね」
ワカバが俺の方に来た。俺達の戦闘力は高い方だと思うが、ノンナは明確な弱点だ。狙われるて戦闘になるよりは、無駄な争いに発展させない様にするのが先決だ。美女のサザナミを乗せてそこそこの装備に身を包ませれば能力を勘違いして、安全策を取ってくれるヤツらは狙わないでいてくれるだろう。ワカバの方を狙って来ても倒せるから問題はないな。
「そんじゃ、出発しようか」
『おー!!!』
織物の街へ向けて、魔物達のパーティーは出発した。
❖ ❖ ❖
その頃、勢力を拡大し続けるサザナミ達の迷宮は、オリジンゴブリンの縄張りを避け、順調に勢力を拡大させ続けている。そして新たな能力が開花した。
「これは、台座か?」
何処かの街の冒険者と思われる集団が洞穴に入ると奇妙な台座が出現していた。この洞窟は前々から冒険者の休憩所として使っていたが、この様な台座は無かった。休憩していた冒険者の物資は置かれていた事もあるが、この様な奇妙な台座は無かったはずである。
「見て、此処に魔力を通すんじゃない?」
「おお、これか」
「まて、冒険者ギルドに報告が先だろ」
「………それもそうだな、碌な準備もしてないし」
冒険者達は不信な台座の報告に拠点の街へと戻るのだった。




