(23)迷宮森林ステージ
俺たちが扉を開けるとそこは森だった。普通ならここで外に出れたと思うだろう。しかし、サポートさんとまだ繋がらない。下層に行くに連れて通じ難くなっていくと考えるとここもまだ迷宮だと考えられる。
「ここは外?」
「生き物の気配はしませんね、周囲には何もいないようです」
「ガウッ」
モンスター三人娘も訝しそうにしている。何となくここは外ではないと察しているらしい。
「どうやらまだ迷宮みたいだぜ」
「ガウ〜」
「コクヨウが疲れてるみたいだし近くで休憩するか」
「はーい」「ガウッ」「はい」
近くにあった大きめの木に寄りかかり、少し休憩する。と言っても休憩が必要なのはワカバとコクヨウだから俺とサザナミはストレッチしたり魔法を修得しようとしていた。
❖ ❖ ❖
十分に休息を取ると、俺達は森の中を進む。方位磁石も無いので(あっても使えなかっただろうが)方位もわからないが、完全に勘で進む。
するとサザナミから質問があった。
「進むのは良いけど、食料はどうするんです?」
「…………あっ!」
「忘れてたんかい」
「実際、どうしようもないかもしれませんしね」
「歩いているけど、全然魔物に遭遇しないからな。……最後の手段でその辺の木でも食べるか?」
「………考えておきます」
「ガゥ」
にしても、大分歩いてるけど本当に木しかない。どうなってんだ?迷宮の中ならそろそろ当たってもおかしくはない筈なんだが。
「風が吹いてるみたいですね」
「ああ」
「さっきから木もザワザワと」
「ガウ」
「………おかしいですね」
サザナミがなんか言い出した。頭でも打ったのだろうか? スライムに打撃が聞くのかは知らないが。あっ、痛い、蹴られた……。
「迷宮は閉鎖空間でしょ。その中で風が吹いて木々がざわめいてるなんて不自然でしょう」
「空気が循環してるんじゃない? 光と空気はある訳だし植物の光合成させるなら循環させた方が効率が良いと思うし」
「そうなの?」
「いや、適当言った。いてっ」
適当な事言ったらサザナミに蹴られるようになった。身長的に、膝の裏に来るから感覚はないが体勢が崩れるのでやめて欲しい。
「取りあえず、サザナミは迷宮内で空気が流れていることを不自然に思っているって事?」
「うん」
「そうなると、森の中に何かがいると考える方が適切か」
「鑑定で確認してみれば?」
「それもそうか」
サザナミと背中合わせになり、森の木々を端から鑑定で確認していく。
【木】【木】【木】【トレント】【木】【トレント】【トレント】【木】
なんか混ざってる。引っかかった奴をよく見ると、顔みたいな模様がある。その顔が口をパクパクしたりして動物みたいだな。
「マジでいたな。………という事は、通ってきた道を変えられてる可能性があるな」
「してるでしょうね」
「出口に下がるのは無理だし。扉はくぐったら消えたんだから気にしても無駄だろう」
「そうですね」
「左から四番目と六、七番目がトレントっていう魔物だ。コクヨウはサザナミとやってくれ」
「後ろは右側の四番目と七、八番目がトレントです。いくよ、コクヨウ」
「ガウッ」
こちらが気付いたが、トレント達がこちらに攻撃する事は無いようだった。近付くと攻撃されるかもしれないので、遠距離から骨マグナムで顔を貫くと絶命したようで光の粒子になりあとには林檎のような果物が残った。コクヨウ、サザナミの方も全て倒し切ったようだった。取り敢えず、トレント達が落とした果物を全員で回収。
「林檎、ですかね」
「形はな」
叩き割ってみると、中身は紅白のしま模様。これは食える、のか? サザナミに食べさせてみよう。
「はい、あーん」
「………っん、あー」
うーん、子供に餌付けしている気分。………似たようなものか。
「どう? 毒は無さそう?」
「………なんとなく美味しい。毒はなさそうかな?」
「じゃあ、俺も」
「私も」
「ガウッ」
それから全員でしま模様林檎を食す。
「美味しい」
「ガウッ」
「味しないから分かんない」
死体だからか俺だけ味覚を感じない。前世から食事は楽しみだったのにこっちに来てからそういうのが減った気がする。残念だ。いつか味覚が復活してくれる事を願って、しま模様林檎を食す。




