(21)何処かの誰か達
ゾンビやサザナミ達がダンジョンで暴れている頃、人間達の国の一つ――、帝国。その首都――、帝都の中心、帝城では赤子が育てられていた。まだ生まれて一年と少し、ようやく立てて歩けるくらいになってきているが、まだ下の処理は誰かに任せなくてはいけない状況。この赤子は転生者であった。ゾンビ(今は怪人)の前世――、疋嶋慎吾のクラスメイトだった男の子が生まれ変わって今は皇帝が抱える妃の一人に産ませた皇子達の一人として城の中で皇子生活を満喫していた。
「あぅ~」
転生皇子はメイドの一人に話し掛ける。もちろん、言葉が伝わる筈もないので呻き声に近い声に気付いたメイドが近づいていく。
「はいはい、殿下、ご用は何でしょう?」
「あ~う(ご飯)」
「おしめではなさそうですね。ご飯ですかね」
「あう」
メイドは転生皇子を抱き上げ、隣室にいた乳母にお乳を与えてもらう。皇子は勿論、興奮せずにコクコクと飲む。お腹がいっぱいになると口を話して満足そうにゲップする。
中身が思春期の高校生だったとはいえ乳母の乳には興奮はしない。淡々と食事を済ませて腹に納める。
「はい、よくのめましたね~」
「う~」
「おねんねですね」
お腹が一杯になった皇子はまた眠る。そこそこに忙しかった日本の高校生活を頭の片隅にやって、悠々自適な赤子生活を満喫している。
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ところ変わって帝都周辺の集落の一つ。ココにも転生者はいた。両親は農夫でその三女として生を受けた女子はこっちはこっちで質素な赤子ライフを送っている。
現皇帝は生活の基盤は平民にあるとして平民への政策を推し進めている。平民へのインフラ整備に、就職の安定性、出生に関してのリスク低減、汚職に手を染め民を害する貴族の排除と各方面に対して精力的に活動している。
この集落ではその恩恵に預かってる。税率を安定させる政策が発表されて、ここ最近では無理なく税を納めて子供をたくさん持てる位には裕福な生活である。そんな生活の中でいる転生赤子は体を動かして運動しながら、自分の人生設計を立てていた。なぜなら、
(暇だ)
暇だからである。そんなこんなでコロコロ転がったり、腕をフリフリしながら将来の事を考える。この世界の事は親が聞かせてくれる御伽噺や年上ぶりたい兄姉たちから聞かせてくれる話を元に大まかに理解している。
(大きくなったら何になろうか。冒険者か首都へ出稼ぎに行くか。冒険者は素質に左右されるだろうな。早い段階である程度の見切りをつけるか)
冒険者の話は兄姉たちが聞かせてくる英雄譚から整理して、大体の事を分かっている。階級で分けられていて、実力と貢献度に見合った階級に割り振られる。
(首都で出稼ぎ。……前世じゃ特に専門的な知識とかは無かったしな。計算位ならできるけど。まぁ、まだいいか、まだ赤ん坊だしそんなに気張らなくても)
将来について思いを馳せてた転生赤子は力を抜いて睡眠に入る。今日も眠い、日は高いがまだ寝れそうである。




