(16)怪人とは?
さーて、進化し終わったし、怪人について調べるか。
“サポートさん、怪人について詳しく教えてくれ”
“検索完了。怪人はアンデット系の魔物です。自立した思考能力を持ち。高い身体能力と魔法能力を兼ね備えます。再生能力はアンデットの中では中位です。形態変化の能力、身体操作の能力を持っています、しかし、基本的な形態から逸脱した姿を取ることは出来ません”
“擬態は出来ないって事か。怪人は進化するのか?”
“上昇進化を二回ほど行った後に、存在進化をいたします”
“成程、次の存在進化を目指して頑張りますか”
次の存在進化を目指す。これが今後の目標だ。体を解し立ち上がると、枕にしていたサザナミを回収して、この階層でのレベル上げに努める。
早速、コボルトと鼠が来た。大剣を構えてフルスイングする。避けられたが、問題はない、無防備に近づいてきた奴を体外に射出した骨で串刺しにする。
「サザナミは何になるんだろうな?」
「…………」
「喋ってくれると、俺は嬉しいんだが」
「…………」
無理そうかな。サザナミの進化はデカくなるとか分裂するとかそんな感じだろ。ドラゴンなクエストでもそんな感じだったし。いやぁ、楽しみだ。
「サザナミよ、俺はこの人間の姿の他に、もう一つ怪人の形態をとれるらしい。それを確認してみてくれないか」
「…………」
「よし来た、早速行くぜ。へーん、しん!」
右手を腰のあたりにやりながら、一気に上へ突き出す。その変身ポーズを決めることにより、俺は人間態から怪人態へと移行することが出来るのだ。…………別にしなくてもなれるけど。
それはともかく、強い発光と共に身体が変わっていく。
角が生え、顔も変わる筋肉が膨れ、どんどん肉体が変形しているのが分かる。痛みは無いが、体の中を何かが蠢いてる感じがあって、不快感がある。硬質化した皮膚が鎧のように全身を覆い、最終的に服のような皮膚になった。
顔は分からないが、体を守るように鱗が生えていたり、髪が伸びていると思ったら硬質化して針状になっていたり。アーマーのように体が硬い皮膚で覆われているのも確認できる。さらに、色々機能があるようなので確認がてら探索を開始する。
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確認したが、本当に体に色々な機能が増えている。口の中から熱線が吐けたり、針金の髪を飛ばせたり、掌から可燃性かつ有毒性のガスを放出できる、牙も生えていて折れても直ぐに生え変わる、顎の可動域が広がっている。背中にはスラスターの様なブースト器官もあり、ロケットのように体内で燃焼して移動できる。
なるほど、まさに怪人の様な能力だ。日曜朝の特撮枠に出ても違和感はなさそうだった。
「そろそろ戻るか」
広がった体を人間の型に納めるように意識すると、徐々に体が変形していき元の人間の状態になる。鏡が欲しいな、一回自分の姿を見てみたい。
「サザナミ、俺の顔ってどう? イケメンに見える?」
「…………」
体を横に振りやがったこの水色饅頭。いや、別にいいんだけどよ。
「まぁ、どうでもいいから、長く一緒にいてくれよ」
「…………」
今度はすり寄ってきた。この甘えん坊め。
しかし、顔が見えないのは不便だな、何となく気になるから見てみたいんだが。あー、一度気になりだしたら止まらない。何かどうしようか? いや、こういうときのサポートさんだ。
“サポートさん。水が欲しいんだが、近くにあるか?”
“検索完了。近くに水場はありません。ここは魔法を使って水を出す事を推奨します”
魔法、使ったことはないかな。魔力で武器を強化するみたいな事をやったことはあれど、まんま、魔法を出すって言うのはないな。どうしたら使えるんだ?
“魔法を使うにはどうすればいい?”
“魔法は魔力を使って事象に干渉して任意の事象を起こす技術です。魔力は目的となる属性に魔力を変化させ、その魔力にイメージを投射する事で現象が発生します。魔力は放出した分の魔力を使って発生します。適切な量の魔力を使う事で最適な威力、効率で魔法を運用することができます。魔法は変換した属性に合わない魔力で魔法を使おうとしても属性に合った魔力で想像通りに似せた魔法が発動します”
“…………水の魔力に変換して台風のイメージで魔法を起こそうと思ったら、スプリンクラーみたいになるって事か?”
“そうです。ただ、想像通りに行くわけではありません。別の属性で別のイメージの魔法を発動させれば必要魔力は倍増します”
“同じ属性で同じ魔法の方が魔力の効率は良いって事か。さっきから聞く、属性っていうのはどういうのがあるんだ?”
“属性には火、水、風、土、闇、光の基本六種に加えて、細々した属性が各種あります。それぞれに適性があり、適性の無い人間にその魔法を使うことは出来ません。しかし、どの属性にも適性の無い人間にも無属性の魔法は使えます”
“俺とサザナミの適性は何だ?”
“ご主人様の適性は水、風、土、闇です。怪人の種族特性で土と闇に適性があります。個体名、サザナミは水、光に適性があります。スライムの種族特性で水の適性が付いています”
“上位の属性とかあるのか?”
“未発見の属性はあるかと思いますが。属性自身が変化することはありません”
“俺の基本六種以外の適性は分からないのか?”
“申し訳ありません、私の知識領域外です”
“ああ、最後に一つ。この世界の人間の平均的な力を教えてくれ”
“平均レベルは5。全ステータスは100が平均です。”
今はそれだけか。魔法能力が怪人になって上がったらしいが。うーん、分からないから、実践あるのみだ。質問が出来たら、また聞くか。取りあえず、今はサザナミに魔法の知識を教えてみる。
「…………という訳で、魔法はこうやって使うらしい」
「…………」
掌から水球を発生させサザナミに見せつけると、サザナミは俺以上の大きさの水球を発生させてきた。マジか、俺より先に習得してたか。先を越されたようだ。…………んっ。なんか、気配に引っ掛かった。この階層の平均よりは弱いな。他の階層から入って来たか? いや、俺らと同じ侵入者か。多少の例外を除いて、他の階層の魔物は何故か別の階層に移ることは無いらしいし。
「サザナミ、俺ら以外の侵入者だ。様子を見に行ってみよう」
「…………」
雑納の中に入って来た、連れて行けって事らしい。
よし、行ってみるか。




