(106)いざ、出航!!
とうとう出航の日となった。数か月分の食料と燃料を詰め込んで、全員が乗り込む。
「いざ、出航!!」
エンジンをかけて、ハンドルを握るとアクセルを入れて離岸する。
「動いた~!!」
「動くクルーザーには初めて乗ったよ」
「ワクワクするね」
「ドキドキだよ~」
4人娘は動き出した船に感動して思い思いに外で騒いでいる。俺は操舵室で一人寂しく船を操っている。
まぁ、決まってた事だし、楽しい声を聴くのは俺も嬉しい事だから、不満は無い。が、あっちに混ざりたくも思う。
“サポートさん。出航してどれ位で着くと思う?”
“直線距離で一ヶ月くらいです。天候条件も加味すると二ヶ月で着くと考えられます”
“……あいつ等騒いでいるけど、これで良いのかね?”
“海竜のいる海域では避けた方が良いと思います。海竜は聴覚が鋭敏ですから”
“近づいてきたら注意するから教えてくれ”
“かしこまりました”
じゃあ、気合を入れて運転していきますか。
❖ ❖ ❖
不眠不休で運転して3週間位。俺、アンデットだもんな。そりゃあ夜は位置確認がしにくいが、サポートさんがサポートしてくれて案外順調に進んだ。
航行中は四人娘たちも仲は良好であった。密室に押し込められ続けると、仲が悪くなるっていうけどこいつ等にはあんまり関係ないみたいだな。
「気候は安定しているみたいだから、あと一週間で到着できるかもな」
「んー、船の上も良いけど、やっぱり地上の方が良いよね」
「潮風が気持ちいね」
「んー、髪がゴワゴワする。シャワー浴びたい」
ノンナがぼそりと呟いて髪を搔いている。まぁ、潮風が付いて、ゴワゴワするからな。ただ、真水は貴重だからな、無駄遣いは出来ない。
「まぁ、濡れタオルで体を拭くくらいならいいんじゃない?」
「んー、そうする」
「じゃあ、私が洗ってあげるから、背中お願いできる?」
「うん、ありがとう」
ノンナはコクヨウの提案に乗って、ワカバと一緒に船室へ入っていった。
俺も体を拭きたい。体が腐る事はないだろうが、心情的には清潔でいたい。久しぶりに休んで俺も体を拭くかね。一日くらいは休んでも良いでしょ。船をいったん止めると、錨を降ろしてと、
「俺も休むわ。不眠不休は精神的に疲れた」
「「はーい」」
自分の船室に戻る途中にサザナミが補充した真水を桶一杯分組んで、タオルを一枚持ち自分の部屋に入る。ベッドと簡易的な机しかない質素な部屋だが、長期間住む訳でもないので特に問題は無い。
机に桶を置いて、タオルを濡らして体を拭いていく。やはり、かなり汚れていたようで、垢みたいなカスがポロポロ取れていく。
「やっぱり汚いな。洗って正解だった」
完全な命ではないとはいえ、汚いままでいるというのは心情的には納得できない。それに衛生的にしていないと、疫病のもとになってしまうかもしれない。船上で疫病は地獄だからな、港についたら良く殺菌しておこう。
「あとで、サザナミ達に体調の確認をしておくか」
到着まであと少し、最後まで気を抜かずに行きますか。俺は身体を清めて思考を切り替えると、操舵室に戻ってまた舵を取り始める。




