(99)冒険者達の宴
迷宮から帰った冒険者達は拠点の街で今回の探索の成功を祝って宴を開いていた。
「かんぱーい!」
「「「「かんぱーい」」」」
リーダーの音頭で全員が盃を打ち合う。生き残ったという実感と達成感が彼らを満たして顔を笑顔で染める。
「いや、美味い。生き残ったことがさらにそれを実感させてくれる」
「ほんと、美味い店に入れてよかったよな」
「戦勝祝いがしょうもないと明日に身が入らねぇからな。明日はもう一回二層目の探索を中心にやっていくぞ」
「ほーい」
食って、飲んで、騒いでを暫くやっていると、話題は噂話の方に移った。
「港町の迷宮はどうなったんだ?」
「何とか討伐だとよ。迷宮も消滅して物流も再開されるらしい」
「はー、今回は帝国軍も協力しての討伐だったんだよな」
「ああ、何でも新型軍艦のテストだったらしいな。結果も見事なもんだったようだぜ」
「マジか。見たかったな」
「いや、最後はクラーケンまで出て来たんだし行かなくて正解だったな」
「それに、召集の期間を考えるとどのみち手遅れだったろうしね」
「それもそうだな」
何回も話して出た結論だが、冒険者として大きい事件に関われば箔が着くという物で、終わった話を聞けば行った方が良かったと後悔している人間もいる。
「しかし、クラーケンか。魔銀級じゃないと討伐は難しんじゃないのか?」
「魔銀級なら呼ばれているだろ。それに討伐は出来ていたらしいし、問題が無かったんだろうよ」
「はー、俺らも魔銀級になりたいよな~」
「ようやく金剛級まで上がったんだし。そこに行くのはまだ早いだろう」
「まぁ、しっかり下積みしていくか」
「そういや、風の噂じゃ、黄金級から金剛級に上がって来た奴もいたらしいな」
「魔銀級じゃないのか?」
「軍艦も手伝ったらしいし、それを考慮して一個上がるだけの結果なんだろうよ」
噂話に花を咲かせる冒険者はグイッと灰の中の酒を流し込み酔いを回す。
「此処の迷宮だけじゃなくて、将来的には色んな所を回ってみたいよな」
「じゃあ、あの迷宮でレベル50くらいは目指さないとな。それ位なくちゃ、世界中の迷宮は回れんだろう」
「それもそうか。結局は地道な努力が大切ってことね」
冒険者達の宴は深夜まで続き、全員が酔いつぶれる事で決着した。




