期末テストに向けて
「お願いだ。俺に勉強を教えてくれ!」
「お前前回も同じようなこと言っていなかったか。しかも今度は勉強するとも言ってたろ」
期末テスト一週間前。部活も休みになりほとんどの人が勉強をし始める。
俺は毎日少しづつしているので心配はない。でも海人は…してないんだろうな。
「何で少しずつでもやらないんだ」
「後回しにしていたらいつの間にかテストの日が近づいてきたんだよ」
俺はため息をつき睨みつける。
「それは俺には関係ないことだ。それにメリットがない。今回はあきらめな」
「わかった。なんでもお前のほしいもの一つ買ってやる」
ほう…。それは確かにメリットだな。高いものでも買ってやるか。
俺はついついにやりと笑ってしまう。
「ちょっと待て、さすがに高いものは無理だぞ」
俺の考えを読んだのか海人は焦りだす。それは何でもと言えるのか。ため息をつく。
「…わかった。次からは自分でしろ、いいな」
「…そういって次も助けてくれそうだけど」
「何か言ったか」
「いいえ何も」
まったく。せめて聞こえないように言えよ。今回は俺にもメリットができたので見逃した。
「じゃあ今度の日曜日俺の部屋にこい」
テストの三日前だが何とかなるだろ。こいつはしないだけで本当はできるやつだしな。
「ふぅー…」
俺は海人のためにノートをまとめていた。こうしておけば自分の復習にもなるし教えるのも楽になる。
さすがに眠たくなってきたな。コーヒーでも飲むか。
コーヒーを持ち換気をするためとベランダに出て風にあたるため窓を開け外に出る。
少し暑いが嫌いな暑さではなかった。
すると隣の部屋の窓が開く。俺はそっと部屋に戻ろうとする。
なぜかって?話しかけられそうだからだよ。
「なぜ逃げるんですか」
ほらやっぱり。俺は嫌そうな顔をしながら戻る。
「まったく人が来るなり逃げるなんて失礼ですよ」
「…でなんかようか」
言い返す言葉が見つからなかったので話題を変える。
「テストに向けて勉強してますか」
「してるけどそれがどうかしたか」
「少し教えてほしいところがあるんですけど」
いやいや、何を言ってるんだ。
川上は前回のテストでは学年トップだ。そんな相手でさえわからないのにわかるわけ…あれここって。
「あーここな」
さっきまでノートにまとめていたところだったのでわかった。
丁寧に教えてやると「なるほど」と頷く。
「ありがとうございます」
「今回は大変そうだな」
「いえわからなかった場所はここだけだったので」
「は?かなりの範囲だったけどもう終わったのか…。」
俺は驚きで少し固まってしまう。
「はい。あとは復習するのみですが」
いったいいつから始めてるんだろうか。さすがというべきなのか。
「藤さんもわからないところがあれば聞いてください。では」
そういって部屋に帰っていく川上。
…俺ももう少し頑張るか。そう思い勉強を再開するのだった。
ありがとうございました。