久しぶりの料理
「さてどうしようかな」
今日は買い出しの日。いつものようにカップ麺を眺めている。
これは先週食べたし、うーん。これとこれにするか。
何を食べるか決めるとレジに向かう。料理しろ?前にも言ったように面倒だ。
レジには結構並んでいた。これに並ぶのか。少しお菓子でも見に行くか。
「こんにちわ」
声のほうを見ると川上だった。
「…こんにちわ」
いつもは挨拶だけだがまさか外で普通に話しかけられるとは。
川上は俺のかごの中を覗き込むとため息をつく。言いたいことがなんとなくわかった。
「なんだよ。別にいいだろ」
「だからってそんなものばかり食べていると体壊しますよ。この前料理作った時だって片付けるためにゴミ箱のぞいたらそれのごみしかありませんでしたよ」
それは俺の勝手だと言いたかったが、俺の心配していっているので言い返しずらい。
「まったく…。嫌いな食べ物ありますか?」
「特に何もないけど。どうしたんだ急に」
「今日私の部屋に来てください」
「は?」
こいつは何を言ってるんだ。
「料理を作りますから今日はそれを食べてください」
ああーなるほどな、とはならない。こいつはあほなのか。
俺の体を気にするのは優しさからだろう。だからって料理まで作ろうとするか普通。
「別にいらん」
「多めに作るので一人じゃ食べきれません」
「じゃあ少なめに作ればいい。それに俺が襲うとは思わんのか」
「その時は刺すので安心してください。でもそんなことしないでしょう」
「しないけど」
対処の仕方が怖すぎだろ。なんだよ刺すって。しかも刺すって単語のとき目がマジだったし。
「…わかった。じゃあせめて俺の家にしてくれ」
「わかりました」
はあ、また俺の家に来ることになるのか。
「藤さん料理できるんじゃないですか」
「まあ一人暮らしをしてるしな」
俺は今川上とキッチンに立っている。さすがに作ってもらうのは悪いと思い俺も一品何か作ることにした。
ほとんど川上に任せている。俺は簡単にきんぴらを作っていた。
「じゃあなんでしないんですか」
「面倒だから」
またため息をつかれる。べつにいいだろ。俺の好きなように過ごしても。
そのまま無言で料理を作る。久しぶりに料理をするが腕は落ちていないようだった、それでも川上ほどの腕前はないが。
そうこうしているうちに俺は作り終わる。
味見もしたし大丈夫だろ。川上も終わりそうだ。
なので俺はご飯をよそって準備をする。
川上も終わったようで料理を持ってくる。中身は肉じゃがだ。
「それでは食べましょうか」
「おう」
「「いただきます」」
まず肉じゃがにてをつける。
「これはおいしいな」
野菜や白滝に味がしみ込んでおり食べやすく少し甘い味がさらに食欲をそそる。
おかゆのときに料理がうまいとは思っていたがここまでとは。
「あなたの作ったきんぴらもおいしいですよ」
「それはよかったよ」
そのあと俺は味わって食べるために黙々と食べ続けた。
「ごちそうさまでした」
久しぶりだなこんなにしっかり食べるのは。
俺は食器を片付ける。
それにしても不思議だな。学校の美少女が俺の家で一緒にご飯を食べるっていうのは。
もうかかわることがないと思っていたのでなおさらだ。
「私も手伝いましょうか」
食べ終わった食器を持って言う。
「さすがにそこまではしてもらわなくていいあとは俺がやっておくから」
「…わかりました。ありがとうございます」
「こちらこそありがとう」
すると一礼、挨拶をして帰っていく。
少し料理が余ってるな。明日にでも食べるか。
「珍しいなお前が弁当なんて」
「久しぶりに料理をしたんだこれはその時のあまり」
「へ~めんどくさいんじゃなかったのか」
「作りたい気分だったんだ」
本当の理由は隠す。川上にも迷惑がかかる。そこらへんはしっかりしとかないといけないからな。
「ふーん」
なんかにやにやした目で見てくるがなんなんだ一体。
「彼女でもできたか」
「んなわけないだろ」
「だよな。やっぱりただの気まぐれか。それにしてもうまそうだな俺にも一口…」
「やらん」
「けち臭いやつだな」
さすがに食べさせたらばれそうだしな。前に作ったことがあるから味が違うことなんてすぐにわかりそうなことだし。
「まあこれでちゃんと料理してくれるようになったら健康的なんだがな」
俺はその言葉を聞いてないふりをしてご飯を食べた。
ありがとうございました。