お返しは看病で
なんでこんなことになったのか。
今俺はベッドの上で寝ている。キッチンでは包丁の音が聞こえてくる。
料理をしているのは川上だ。
あの後すぐに風邪をひいているのがばれた。そりゃ喉が痛いのに話したらすぐにばれるにきまってる。
普通は他人がそうなっていたらお大事にぐらいで済む。だが、風邪をひいた理由が俺が川上に傘を押し付けたから。
俺が押し付けたのだから気にしなくていい気もするがどうも本人は気にするらしい。
普通に家に入ってきたが男が嫌いだから近づけないんじゃないのかよ。
考えてたらまた頭が痛くなってきた。料理ができるまで時間があるだろうし少し寝よう。
思っていたよりも体に負担をかけていたらしく目をつぶると一気に眠気が来た。
起きると隣では川上が椅子に座って本を読んでいた。どうやら俺が起きるまで待ってくれていたらしい。
「…すまん、少し寝るつもりが大分寝ていたみたいだな」
寝る前時間を見たときは10時ぐらいだったが、今は1時だ。
その間起こさずに待ってくれていたのか。
「いえ、私が起こさなかっただけですので。あとこれどうぞ」
渡されたのはスポーツドリンクやのど飴が入った袋だ。
「あなたが寝ている間に買ってきました。お礼なのでお金は大丈夫です」
ここまでしてもらって悪い気がするが本人がいいというなら断る理由がないので素直に受け取る。
すると川上はキッチンのほうに行き、少しするとおかゆを持ってきた。
「お口に合うかどうかわかりませんが」
そういえば寝る前に何か作っていたな。
「今温めなおしてきたのでもしかしたら熱いかもしれませんが」
「作ってもらってるんだから文句は言わん」
そういって受け取るとわかめ粥だった。いつもカップ麺で風邪をひいている今とてもおいしそうに見える。実際おいしいのだろう。
「いただきます」
スプーンですくい口に運ぶ。一口食べるとさらにもう一口と進んでいく。飲み込むたびに体が温まる。
「おいしい」
「誰でも作れるようなレシピですがよかったです」
ただ一言だけ感想を言うとそのまま食べ続ける。そうしているうちに残り一口となる。あっという間になくなってしまった。朝から何も食べてないとはいえここまで一気に食べれるとは思っていなかった。
「ごちそうさまでした」
これを食べるとたまには料理をしてみようかなと思うが俺はこの味をまねることができないし作り続けるのは無理だな。
「私はお皿を洗ってくるので熱を測っておいてください」
食器をもって出ていく。熱を測ると37度3分と大分落ち着いた感じになっていた。このままいけば明日には熱は下がっているだろう。そのことを川上に言うと「洗い物が終わったので帰ります」と言って帰っていた。
そういえば川上は何しに俺の家まで来たんだろうと考えたがお腹が膨れてまた眠たくなったのでそのまま寝ることにした。
ありがとうございました。