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ボロアパートのドアを開けると、そこは異世界だったのですが

「兄ちゃん、早く絵本読んで~」

「兄ちゃん今ちょっと忙しいからまたあとでな!」

 朝っぱらから子供たちの元気な声が聞こえる。ここは「ひまわりキッズガーデン」、いろんな事情で親がいなくなってしまった子供たちをまとめて世話している擁護施設だ。そしてここで子供たちに絵本の読み聞かせをせがまれている俺こと藤沢雄大も何を隠そうこの施設出身だ。園長が言うには赤ん坊のころに俺を入れたゆりかごが園の前においてあったらしい。「事情は話せませんがこの子を育ててここで働かせてあげてください、本当に申し訳ありませんがよろしくお願いします」と書かれた手紙と一緒にだ。というわけで俺は自分の家族のことを全く覚えていない。当時の俺の親が何を考えていたかは全く理解できないし、理解するつもりもないけど、この園には感謝してるし恩返しもしたいから高校を卒業した去年からここで働かせてもらっている。奇しくも俺の親の望みはかなっているってわけだ。

「兄ちゃん、早く~」「おい雄大、残りは俺がやっとくから早く子供たちに絵本読んでやれ」強面の園長に促されたので俺は明日の遠足で使う備品が入った段ボール箱を置いて子供たちのもとへ向かう。「兄ちゃん、これ読んで~」

「へいへい、今日はどれ読めばいいんだ?」

「今日はこれ~」

 ミキから笑顔で手渡されたのは桃太郎だった。

 また桃太郎なんてど定番のものを持ってくるな、こいつらも桃太郎なんて飽き飽きしてるだろうに。

 俺の呆れ顔とは裏腹に子供たちは今か今かと目を輝かせている。

 まあ頼まれたからには仕方ない。俺が長い施設生活で身に着けた読み聞かせ術による、スリル満点最強桃太郎せをお見舞いしてやるぜ。

「よーし任せろ、むかーし昔あるところに・・・」

「・・・こうして、鬼たちを退治した桃太郎は金銀財宝を持って村へ帰ったのでした、めでたしめでたし」

「面白かったー」

「キビ団子ってどんな味なんだろー」

 などとみんなが口々に感想を言い合う。

 うんうん、ここまで喜ばれると俺も読み聞かせたかいがあるってもんだぜ

 そんな中ぽつりとつぶやく声が聞こえた。

「鬼さんたちは幸せになれないのかな」、そうつぶやいたのは五歳の光だった。

 ふむ、確かにそうだ。財宝も桃太郎に持ってかれたし働き手である大人の男の鬼がやられちゃったら当分の間働き手もいなくなってしまうだろうし鬼も大変そうだ。やっぱり子供は面白いところに気づくもんだ。

 俺が光の考えになるほどとうなずいているとほかの子供たちも矢継ぎ早に語りだす。

「鬼は悪いからいいんだよ~」

「子供の鬼とかもいるのかな~?」

「仲直りできたらいいのにね~」

 そんな中11時を告げる鐘がなる。毎日の日課の昼寝の時間だ。

「はいはい、お前ら鬼の話はそろそろおしまい!もう昼寝の時間だからとっとと布団行くぞ~」

 興奮する子供たちを布団につれていく。みんなはまだまだ話したりないようだが仕方ない。ここは俺が一肌脱いで明日までにハッピーエンド桃太郎の紙芝居でも書いてきてやるか。

 そんなことを考えながら、俺は子供たちを寝かしつけた。


「お疲れさまっした~」夜9時になって子供たちがみんな眠りについたころ俺は園を後にした。「おう、お疲れ。明日は遠足だからな!楽しみで寝坊なんてやめてくれよ。」「園長…俺もうすぐ20ですよ。。。」「冗談だよ冗談!とっとと帰って風呂入って寝ろ!」園長の豪快な笑い声を耳に俺は園を後にする。

 コンビニよって飯でも買ってくか。


「おいおい勘弁してくれよ・・・」コンビニで夕飯を吟味しているうちにいつの間にか外は大雨になっていた。「仕方ないか・・」俺はレジ横に置いてあったビニール傘も一本取ってレジへ向かう。予想外の出費だが仕方ない、そろそろ給料も入ってくることだしな。


 失敗した、雨脚はどんどん強くなり傘も自分の仕事をすっかり忘れているようだ。そもそもどうせ帰って風呂に入るんだから傘なんて買う必要なかったのに。

「はぁ、はぁ」やっとの思いで自宅についたときはすっかり体はずぶぬれだった。自宅といっても寮長から借りてる激安物件だ。

「飯の前に風呂入らねぇとな」そんなことを考えながら部屋に入る。明日は子供たちがみんな楽しみにしていた遠足だ。体調は万全にして向かわなければ


「・・・・・・・・・・・は?」

 おかしい、

 おれは確実に自宅のドアを開けた。

 さっきコンビニで買ったレジ袋も帰りにさしてきたビニールがさも持っている。

 夢ではない。

 夢ではないはずなんだ。

 しかし夢ではないならどうして俺の目の前には一面の田園風景が広がっているんだ?

 振り返るといつの間にか俺が明けたはずのドアもきれいさっぱりなくなっていた。

「・・・はは」

 口から呆れにも近い笑い声が聞こえる。

 おいおい、

 これはまさか、

 いまはやりのあれですか?、

「ボロアパートのドアを開けるとそこは異世界でしたってか・・・・・」



初投稿です!なろうの仕組みもまだまだ手探りですが、楽しんでもらえると幸いです!


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