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ドワーフ

あの後、食事を終えた浩平達は目的地を目指して、再び歩き出していた。

アリスが先導しているのは変わらないが、グレイとその背中に乗っているリリィが楽しそうに笑いながら、グレイが走ったり、跳ねまわったりしていた。

その光景がやはり珍しいのか、リオとアリスは目を丸くしながらグレイを見ている。

それに気付いた浩平もグレイとリリィへと視線を向ける。


「やっぱり珍しいのか? 魔物を飼いならすっていうのは」

「えぇ……。いえ、不可能ではないのでしょうが、誰も魔物を飼いならそうなどと考えたことはなかったので」

「そうですよ。魔物と言えば、理から外れた怪物たちですよ? 俺たち人を襲う危険な存在を飼いならそうなんて流石に……」

「そうか……」


浩平からすれば、魔物も生き物なのだから、飼いならした時に言った通り不可能ではないだろうとは考えていた。

そもそもSランクの魔物たちを神として崇めたりする者がいるのだから、他の魔物だって変わりないはずだ。

ゲームとかでも、魔物を仲間にして戦おうと言うのがあったりしたので、それを連想してやってみたのもあったのだが。

楽しそうにしている一人と一匹を見ると、浩平は自然と笑みが零れる。


「まぁ、いいじゃねぇか。できたもんはできたんだ。それでいいじゃねぇか」

「そうですね。むしろ、魔物を仲間にできるのは心強いと考えるべきですね。それとも……『人間』だからこそ、できることなのでしょうか?」

「いやいや、別にそういうのは関係ないと思うぞ? アリスのとこだって、馬とかはいるんだろ?」

「えぇ、いますよ。私は『忌み子』なんでもらえませんでしたが」

「……ワリィ」

「いえいえ、気にしないでください。一々こういうことを言う私も悪いんです」


少し自虐的というか、ネガティブなところが目立つアリスは苦笑を浮かべる。


「でも、本当に『人間』だからできることだと俺も思ってしまいますよ。『人間』って凄いんですね。『獣人族』たちに勝るとも劣らない身体能力を持ってて、力も『鬼人』と良い勝負しそうですし。『巨人族』たちとも戦えちゃいそうですし」

「いや、人間はそんなに強くねぇから」

「「え?」」

「え?」


浩平の言葉に二人は目が点になりながら声を上げ、それに対して浩平までも気の抜けた声を出してしまう。

アレほどのことを本人がやってのけておいて、人間はそれほど強くないと言うのはどういうことだろうか。


「あの、ご謙遜なさらなくても、凄いと思いますよ? 少なくとも、この世界の種族たちのいいとこ取りばかりしている様に思えますし」

「いやいや、謙遜とかじゃなくて、人間なんて弱い生き物だぜ? ただ人間は器用貧乏なだけ」

「いや、でも……浩平さん、凄いじゃないですか。素手で魔物を倒したり、目で追うのが難しいくらいのスピードで動いたり」

「……それは俺が異常っつうか、なんつうか……」


―――この『化け物』!―――


脳裏に浮かんだ言葉に浩平は苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべ、軽く頭を振るう。

その行動にアリスとリオは心配そうに覗き込み、それに気付いた浩平は苦笑を浮かべる。


「まぁ、気にするなよ。今はそれよりも『シルフィード』についたらどうするかだろ? そろそろ良いの思いついたんじゃねぇか?」

「あ、そ、そうですね」

「あ! それについてですけど、俺に考えがあります!」

「ホントか?」

「ハイ!」


リオが元気よく手を挙げ、浩平の問いかけに笑顔で頷く。

まるで、浩平が|シルフィードに入る方法コレを聞いてくるのを待っていましたと言わんばかりにだ。


「それでどんな方法なんだ?」

「俺の考えた方法なんですけど、俺やリリィ、アリスさんを浩平さんが奴隷として買ったとして行けばどうでしょうか?」

「なるほどなぁ……」


リオの作戦に浩平は何度か頷いてみせる。

確かに三人は元々奴隷として売り出される予定だったのだから、奴隷として買って、旅の途中でここに寄ったと言ってもおかしくはないだろう。

アリスもそれは良い手だと思う。

いや、単純に考えれば、最初からその方法で行けばよかったのだが、どう潜入するのかを考えていたために、逆に難しく考えていたのだ。

リオの提案は確かに理にかなっている。

だが、浩平は首を横に振る。


「いや、ダメだな。その方法はいけねぇ」

「ど、どうしてですか! もしかして、俺たちを奴隷として扱うのに抵抗あるんですか? 大丈夫ですよ! 浩平さんが優しい人だっていうのは俺たちはよくわかっていますし」

「いや、そこが問題じゃない。確かにお前らが『奴隷のまま』だったら、そのままでよかったんだろう。だけど」


浩平はポケットに手を入れて、何かを取り出す。

それはあの時リリィにお願いされて、破壊した『隷属の首輪』だ。

首輪を見た瞬間、リオとアリスは「あっ」と呟いて、理解する。


首輪コレが外れているのを忘れてるだろう? もし、この首輪もないのに奴隷だと言い張っても、嘘だと簡単にバレるだろうよ。それに、あの時の奴隷商が無事に『シルフィード』か、どこかにでも戻っていたら、アリス達が逃走したこともバレてるだろうよ。もちろん、俺の存在もな」

「そ、そうですね……」

「なら、堂々と入るってのも無理な手だな。俺なんてヘッドホンとこの目が特徴だからな……。『紅い瞳の変わったものをつけた男に奴隷共を奪われた』なんて言ってたら……ほら? もう無理だろ?」

「確かにそうですね……。目の色だけならともかく、そのヘッドホン? をつけているのは浩平さんだけでしょうし」


それほどわかりやすい特徴は確かにないだろうとアリスも頷く。

次々と浩平から述べられたことにリオは少し落ち込んでしまう。

戦闘ではいつも浩平とアリスの後ろで妹を守る様に立つので精一杯で、何も役に立てなくて。

だからこそ、こういうことで、少しでも力になれればと考えた。

だが、結局は浅はかな作戦だったのだとリオは自分の頭の悪さを呪いたくなった。

それを見た浩平はやれやれと言う感じで頭を横に振ってから、リオの頭に手を置き、撫でてやる。

その行動にリオは驚き、浩平の顔を見る。


「まぁ、よく考えてたと思うぜ、リオ。悪くない線はいっていたと俺は思ったな」

「浩平さん……」

「私もそう思います。逆に私なんて、深く考えすぎていたので、そこに気付けませんでしたし。そういうことに気付けるのは素晴らしいと思いますよ」

「アリスさん……」


励ますかの様に言ってくる二人の言葉。

だけど、それは励ますために言った言葉ではなく、本心から言っている、本当に関心したかの様な言葉。

そんな言葉をかけられて、嬉しくて、照れてしまう。

その様子を浩平とアリスは微笑みながら見ていると、アリスが何かに反応する。

いや、アリスだけでない。

リリィを乗せて走り回っていたグレイまでもが、何かに反応して、浩平達の元まで戻ってきて、低い唸り声を上げ始める。

浩平も何か耳に聞こえてきて、すぐさま反応して、いつの間にか見えてきた森へと視線を向ける。

どうやら話をしている間に目的地近くの森まで来ていた様だ。

いや、それよりも気にするべきことはそこではない。

森から出てきたのは三人の男たち。

一人は狐の耳と尻尾を持つ、いかにもチャラそうな金髪の男。

もう一人は熊の耳を持つ三メートルはあるのではないだろうかという巨漢の男。

最後の一人は『隷属の首輪』をした背が低く、小太りな立派な髭を持つ男。

それもその男はどこか絶望的な顔をしており、そんなことを気に留めず、二人の獣人の男たちは声を荒げる。


「クソッ! どういうことだよ! いつから『シルフィード』は男禁制の街になったんだよ!」

「うるさいぞ。一応理由を聞いたら、何でも新しい領主様とやらが、そうしたらしいと聞いているが」

「新しい領主だぁ……? たくっ! そのせいで、俺たちの奴隷を一人取られちまうしよ!」


そういいながら、小太りな男……ドワーフの男へと視線を向ける狐耳の男。

何やらぶつぶつと呟いており、気が気ではないと言う感じだ。

それを見た狐耳の男は余計にイラついたのか、歯を軋ませ、拳を振り上げる。


「さっきからぶつぶつうるせぇんだよ! このクソ奴隷が! 黙れってんだ!」


叫びながら、ドワーフの男を殴ろうとした瞬間、その拳を誰かが受け止める。

それに驚いた狐耳の男は顔をゆっくり上げると、そこには浩平の姿があった。

その光景にアリス達はいつの間に!? と驚く。

先ほどまで隣にいたはずの浩平がいつの間にか、数メートルは離れていた場所に一瞬で移動していたのだから、それには驚くしかないだろう。


「お、お前!? 何者だよ!?」

「え? ただのとおりすがり。少し気になることが聞こえたから、聞きたいんだけど」

「あぁ!? 何をだよ! つうか、この手離せよ!」

「あぁ、すまんすまん」


悪びれもなく謝るその姿に狐耳の男は余計に苛立ち始め、ドワーフの男を睨みつける。

未だに何かぶつぶつ言っており、狐耳の男はそんなドワーフへと歩き出す。


「オイ、奴隷! ちょっとこっち来い。サンドバックにしてやるからよ!」


そういって男はドワーフの男に掴みかかろうとした時だ。

スッ、と出された足に引っかかり、狐耳の男はドワーフを掴むどころか、目の前で転んでしまう。

その光景を遠目から見ていたアリス達が少し笑っていたりするのだが。

そして、足を引っ掛けた張本人……浩平は何事もなかったかの様に熊耳の男へと話しかける。


「それで聞きたいことがあるんだけどよ、『男禁制』って一体どういう「オイ、テメェ!」」


浩平が話しかけている最中で、狐耳の男は立ち上がり、浩平を睨みつける。

その手には剣だって握られている。

だが、浩平はそれを横目で見るだけで、振り返ろうともしない。


「テメェ! こっち向けよ! さっきから何しやがんだ! あぁ!?」

「で、そのことについて少し話を聞きたくて」

「無視するなぁ!」


狐耳の男はとうとう限界が来たらしく、浩平目掛けて剣を振り下ろす。

そして、剣が浩平を切り裂く……かと思われた瞬間、浩平は素早く回し蹴りを放ち、刀身を横から叩くことによって軽々と折ってみせる。

それに驚いている狐耳の男を余所に、浩平はすぐさま右ストレートを放って顔面へと叩き込み、大きく吹き飛ばす。

その流れる動作と折られたことへの驚きで反応できなかった男は何度か地面に叩きつけられてから止まり、そのまま立ち上がらなくなる。

どうやら、今の一撃で気絶してしまった様だ。

浩平はそれを確認して、手についた汚れを叩き落すかの様に両手を叩く。

そして振り返ると、熊耳の男が巨大なハンマーを振りかぶり、いつでも浩平目掛けて降ろせる状態となっていた。


「よくも相方を虐めてくれたな。許さん!」

「あぁ……冷静そうだから話聞いてくれるかなって思ったけど、やっぱこうなるか」

「この『壊し屋』と言われた俺の相方を虐めたのが運の尽きだったな! 潰れろォ!」


二つ名らしきものを言った熊耳の男は浩平目掛けてハンマーを振り下ろす。

二つ名を持っていると言うことはそれほど強い人なのだろう。

きっと、その名の通り、魔物などを壊す様な戦い方なのだろう。

だが、浩平はそれを気にも留めず、振り下ろされたハンマー目掛けて拳を振るい、ぶつける。

熊耳の男はそれをほくそ笑むように見る。


(バカめ! このハンマーは固い甲羅を持つメタルクラブの甲羅から作ったハンマー。ドラゴンの鱗さえ砕けるコレを殴るなんて、自殺行為に)


そこまで考えた瞬間、ピシッ! と何かにヒビが行く様な音が聞こえ始める。

反応してみてみると、ハンマーに少しずつヒビが入り始め、そのヒビはどんどん広がっていく。

そして、最終的には粉々に砕け散り、持ち手である棒だけが残ってしまう。

その光景に唖然としていると、浩平は軽く飛躍して、熊耳の男の頭を掴み、そのまま重力に従って落ちるのと同時に熊耳の男を力強く地面へと叩きつけた。

それにより熊耳の男は白目を剥き、一発で気絶してしまう。

気絶してしまった熊耳の男を見て、やってしまったと思った浩平は困った様な顔で頭を掻く。


「浩平さ~ん!」

「ん?」


リリィの声が聞こえ、浩平は反応すると、アリス達が走って近づいてきた。

浩平はそんなアリス達の姿を確認してから、奴隷となっているドワーフの男へと視線を向ける。


「なぁ、おっさん。俺たち、ちょうど『シルフィード』に向かおうと思ってたんだけどさ、向こうで何があったんだ? よかったら、教えてくれねぇか?」

「……娘が……ワシの娘が……」

「娘……? その娘さんがどうしたんだよ?」


浩平がそういった瞬間、ドワーフの男はその言葉に反応して、浩平の両腕を掴む。


「わ、ワシの娘が! 『シルフィード』の中に連れていかれてしまったんだ! ワシ等も入ろうとしたら、男はダメだ! とか言われて、追い出されて!」

「落ち着けって、おっさん。それだけ言われてもわからないぜ? 後、両腕が何気に痛いんだけど? 力強いんだな、オイ」

「ワシの娘がぁぁぁぁぁ!」


どうやら娘に何かあったらしく、それによって気が動転している様だ。

何か落ち着かせる方法はないだろうかと考える浩平。

両腕を掴まれているので蹴ると言う方法はよくないし……と考えていると。


「失礼します」


その一言と同時にアリスが老人の目の前でいきなり両手を叩く。

所謂猫だましと呼ばれるものを行い、それに驚いたドワーフの男は正気へと戻ったのか、浩平達の姿を改めて確認する。

ちなみに浩平とドワーフの男の間でやったので。浩平も少し驚いていたのは言うまでもない。

そして、自分が何をしていたのかを理解すると、すぐさま深々と頭を下げてくる。


「す、すまん。娘のことで、つい気が動転していて……」

「いや、気にしなくていいから。正気に戻ったのならさ。それでだけど……『シルフィード』で何があったんだ?」

「あぁ、そうだったな。実は……」


少しずつドワーフの男は語り出す。


「実はワシ等は『シルフィード』に宿を取るために街を訪れたのだが。まぁ、ワシ等は奴隷なので宿の中には泊めてもらえんのだが」

「それで?」

「あぁ、そうだった。街に入ろうとすると、なぜか娘だけ中に入れて、ワシ等男は追い返されると言う目に遭った。それでワシは娘と連れていかれたことにショックを受けて……うぅ」


涙を流し始めたドワーフの男を見て、浩平は重度の親ばかかもしれんと感じながらも、アリスへと視線を向ける。

アリスは何を問いかけられているのか理解し、首を横に振ってみせる。

『シルフィード』にそんな掟はなかったはずだと。

つまり、アリスが奴隷として出されてからできた制度と考えるべきだが、急に何故?

浩平は不思議に思い、考え込みながら、一つだけ心当たりを思い浮かべる。


(まさか……俺と同じ人間がもう『シルフィード』に? そいつが『シルフィード』で何かをしている……? まぁ、そうだとしても、少なくとも麻耶じゃねぇな。麻耶はそんなことしたりしねぇし)


そもそも女だけを残すとか、そういうあっち系の趣味があるわけでもない。

となると、別の人間がいる可能性が浮上してくる。

コレは少し確かめてみる価値はあるかもしれない。


「なぁ、おっさん。よかったら、俺たちと一緒に『シルフィード』に行かねぇか? ちょうど、用があるからさ」

「え? ほ、ホントか? だが、向こうに行っても、ワシ等男は」

「なぁに、少し考えはあるさ。だからさ、一緒に娘さんを迎えに行こうじゃねぇか」

「だが、ワシはこ奴らの」


そこまで言った瞬間、浩平は慣れた手つきで首輪を掴み、軽々と引きちぎってみせる。

それにドワーフの男は驚愕しながら、浩平を見ると、本人は不敵な笑みを浮かべてみせていた。


「これでおっさんは自由だろ? それに俺がケンカに勝ったんだ。戦利品として貰っていても、文句はねぇだろ」

「お、お前さん……無茶苦茶だな」

「よく言われるぜ。さてと、おっさん……ばかりじゃ困るな。名前はないのか?」


それを聞くとドワーフの男は困った様な表情を浮かべる。


「名前……か。『異端者』として、奴隷にされる時に奪われた。今ではただの奴隷……いや、元奴隷だ」

「名無し……ね。なら、俺が呼びやすい様に名前をつけてもいいか?」

「え? べ、別に構わんが……ワシは『異端者』だぞ? いいのか?」


ドワーフの男は変わったものを見るかの様な目で浩平を見る。


「べっつに。だって、この三人と一匹にだって名前を与えたしな」


そういって、アリス達はお辞儀をする。

アリスは『忌み子』であると言う証拠のために、耳を見せながら。

それを見たドワーフの男は更に驚く。


「まさか……。『忌み子』と呼ばれるエルフやゴブリンにまで。それに魔物……魔物!?」


ドワーフの男は魔物がいることに驚き、すぐさま身構えるが、浩平はすぐさま前に出る。


「あぁ、落ち着け。こいつは大丈夫だからさ」

「大丈夫!? 何がだ! 魔物はワシ等人を襲う危険な存在で。討伐すべき生き物……のハズなんだが、何故、その子は大人しいんだ?」

「飯あげて、なでなでしてあげたら懐いた。以上」

 「いや、懐いたって、そんな簡単でいいのか? いや、そもそも魔物を飼いならすと発想自体するって……。お前さん……一体」

「別に。俺にとって、普通のことをしているだけだしな。後、俺が名前をつけるのは名前がなきゃ困る。それだけだ」

「……ふふ、そうか。見たことない物をしていると思ったら、中身も変わっておると来たか」


ドワーフの男は軽く笑いながら、浩平へとお辞儀する。


「なら、お願いしてもいいか? ワシに新しい名前を」

「あぁ。と言っても、会話している内に決めたんだけどな。どんな名前でも文句を言わないでくれよ?」

「勿論だ。再び名前を貰えるのなら、文句は言わん」


そういったドワーフの男に浩平は決めた名前を告げる。


「アンタの名前はガルディ。ガルディ・ラスク……でどうだろうか?」

「ガルディ・ラスク……。まさか、姓までもらえるとは、嬉しい限りじゃないか! いいな。ワシは気に入ったよ。これからはガルディ・ラスクと名乗るとしよう」


その一言に浩平はホッとしてから、ドワーフの男―――ガルディへと視線を向ける。


「じゃあ、名前も決めたことだし、俺たちも自己紹介しておくぜ。俺は岩崎浩平。岩崎が姓で、浩平が名前な。で、こっちから順番に」

「アリス・ウィリデと言います。よろしくお願いします、ガルディさん」

「俺はリオ・リンデルです! で、こっちは妹の」

「リリィ・リンデルです! この子はグレイ!」

「ガウッ!」

「あぁ、よろしくな」


浩平達はガルディを仲間をに加え、森へと足を踏み入れた。



何処かの牢獄。

あの時よりも本の量が増えており、それを一心不乱に読んでいた麻耶が何かに反応し、鉄格子の窓から空を見る。


「『サーチ』に反応があった……。この反応は浩平だよね……。浩平、やっと迎えに来てくれた……。私はここだよ、浩平……。待ってるからね……」


麻耶はそれだけ呟くと再び本を読み始めるのだった。

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