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鵜飼孫六たちの帰還と中間方針

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 馬路宮内を琉球へと送り出した頃、関東に派遣していた鵜飼孫六と馬路正統が帰って来た。



 そろそろ、当家の本年の中間の話し合いをしようと思っていたので、丁度良い時期に帰って来たものだ。



 まずは、鵜飼孫六からの報告を聞くことにする。


 「関東において、馬路殿が安中氏たち上野の国人たちと接触を取って貰い、それなりの伝手は出来たかと思われます。

 某も、長野兄弟とは伝手を作れましたが、上泉伊勢守とは接触を止めておきました。」


 話し合いの場なので、鵜飼孫六が丁寧に報告し、馬路正統が捕捉する。

 報告の内容を聞くと、山内上杉氏当主の上杉憲寛が上野国碓氷郡にある安中城の安中氏討伐を決めた様だ。

 長野氏と安中氏の対立が決定的となり、上杉憲寛は長野氏の肩を持つこととなった様である。

 引き続き馬路正統に調略を行う様に指示をした。


 新規人材や忍び衆の増加について聞くと、黒田下野守、多羅尾光俊、鵜飼孫六からも芳しい反応は無かった。


 「志摩国を獲得したことにより、文官が不足しております。

 地下家などの公家を雇うだけでは足りないかと思われますので、牢人から読み書き出来るものを雇い、文官として登用したいと思うのですが、よろしいでしょうか?」


 文官不足に悩んでいる黒田下野守から建設的な提案が出て来たので、採用基準などを話し合い、多目に登用するよう指示をして了承した。

 将来的に台湾に植民する際は、公家は朝廷の臣であるので、公家官僚は日本の外に送れないから、武家官僚を今のうちに育てておく必要がある。



 次に忍び衆だが、多羅尾光俊と鵜飼孫六が報告する。


 「甲賀衆も増えておりますが、殿が望まれるような働きをするには、頭となる者が不足しております。」


 多羅尾光俊が忍の指揮官が不足していると言う。


 「頭となる者が足りないだと?甲賀にはおらんのか?」


 「甲賀の者は多くの者が六角に仕えております。

 甲賀者でなければ思い付くものもおるのですが」


 甲賀者では無いが思い当たる者がいるという意外な答えが返ってきた。


 「甲賀者でないとは、どこの者だ?」


 「伊賀の者にございます。服部半三と言う者で、伊賀で生活出来ず、一族の者を連れて大樹(足利将軍)に仕えているそうですが、待遇が良くないので不満に思っているとか。

 当家での乱波、いえ忍の待遇を聞けば、喜んで仕官をするはずです。

 関白様を通じて当家で召し抱えられぬでしょうか?」


 服部半三と言うと、有名な服部半蔵正成の父親である服部半三保長のことであろう。

 てっきり、松平清康に仕えてたものと思っていたが、今はまだ足利義晴に仕えていたのか。

 わしは、実家の近衛家を介して引き抜くことを了承する。



 その後も、領内の開発や志摩の状況の報告を受け、谷野一栢が到着した報告を受けた。



 そして、黒田下野守から志摩攻めについて、美濃で問題視されている旨の報告を受ける。

 土岐頼芸様、土岐頼武ともに近臣が騒いでいる様だが、土岐頼芸様周りが騒ぐのは不味い様だ。

 名目上は神宮からの志摩神宮領の回復なので、神宮からも礼状を貰っており、近いうちに報告に行かねばなるまい。

 黒田下野守曰く、神宮だけだと弱いので関白からも書状があった方が良いとのこと。

 これも実家に頼むしかないな。



 わしからも、摂関家九條家当主の九條稙通卿を当家に迎えたい旨を伝える。

 九條稙家は九條稙通の祖父と父である政基・尚経父子が家礼の唐橋在数を殺害したため、勅勘に処され、公家社会から嫌われてしまっていた。

 政基・尚経父子の頃から経済的に厳しかったが、九條稙通卿に至っては経済的に困窮し、流浪の生活を送っている時期もあったそうだ。

 史実では、関白に就任するが、経済的困窮のため未拝賀のまま一年で辞任している。

 ここで恩を売り、経済的支援を行えば、関白就任後も便宜を図ってくれるだろうと言う下心である。

 名目上は、摂関家近衛家出身の者として、摂関家の困窮は見逃す訳にはいかないと言うと、家臣たちも納得してくれた。


 取り敢えず、実家の父親宛の書状を書くことにする。

 今回は色々難しいことを要求するので、また黒田下野守に使者となって貰う予定だ。

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