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外交問題勃発

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 白川雅業殿から忠告を受けた北畠の使者がやってきた。

 鳥屋尾某という男だが、会って早々に文句を言ってくる。


 「何ゆえ、志摩を攻め取られた。志摩は北畠家に従属していた橘家が治めていたのですぞ!」


 「そうは申されても、当方は神宮の要請があって、攻めたにすぎぬ。聞けば、志摩の地頭たちは神宮への献納が滞っておったとか。地頭たちに代わって、志摩を治め、献納して欲しいとのことだ。

 そもそも、神宮は遷宮も行えておらず困窮していると聞いておる。保護しているはずの北畠が満足に支援しておらぬからであろう?

 本来、神宮の神人である宇治山田も北畠に従っておる。神宮が困窮しておるのは、北畠のせいでは無いのか?」


「な、何という言いよう!」


 鳥屋尾某は、北畠の怠慢と言われたことに、怒っておるのか、顔を赤くしておる。


 「文句があるなら、神宮に問われよ。

 そして、我らの志摩統治は、関白や久我家も認めておる。これがその書状よ」


 事前に、志摩統治の代官に関して、伊勢神宮の許可を貰っているので、認めて欲しい旨を、父・稙家、久我家に頼んでおいたのだ。

 琉球交易で得た品を贈ったら、快く認めてくれた。

 北畠は朝廷への献納もそんなに多くないようなので、わしのほうが金蔓として有用だと判断したのだろう。

 そもそも、近衛家は実家だし、妻の栄子は久我家の養女になっているな。


 鳥屋尾某は、関白と久我家の書状を読んで、青ざめている。顔を赤くしたり、青くしたり、忙しい男だ。

 まぁ、北畠家は久我家の分家の分家の分家だからな。本家が認める旨の書状があれば、それは顔を青くさせるだろう。


 「志摩の代官の件について、不満があるようなら神宮に申されよ。北畠が神宮を正しく保護するならば、神宮も我らの代官任命を取り下げてくれるやもしれぬぞ。

 しかし、このまま神宮が困窮し続けるようであれば、朝廷もどのようにお考えになることやら」


 暗に、関白や久我家を通じて伊勢国司解任させるぞと臭わせる。鳥屋尾某は、更に顔色を悪くさせて帰っていった。



◇北畠晴具


 「何だと!?西村と申す者は、その様なことを申したのか?」


 志摩の橘家を攻め、志摩を奪い取った西村なる者へ、わしの腹心である鳥屋尾を送ったところ、志摩は神宮領であり、代官に任じられたこと文句があるなら、神宮に言えと抜かしおったそうだ。

 橘家は、父の材親の頃に名目上臣従したが、完全に臣従している訳ではなかった。だからこそ、わしは何れ、志摩の地頭たちを武をもって服従させ、鳥羽湊を支配下に置こうと思っていたのに、先を越されてしまった。


 「神宮だけではございませぬ。関白様と久我家御当主様からも、志摩の代官職を認める旨の書状を持っておりました」


 「何だと!?何で関白や久我家が出てくるのだ!?」


 近衛家や久我家が、たかが志摩ごときにしゃしゃり出てくるだと?どういうことだ?

 しかし、不味いぞ。当家は公卿とは言え、家格は摂家とは比べ物にならぬ。ましてや、久我家は当家の本家筋であるから、本家の意向に無闇に逆らう訳にも行くまい。


 「分かりませぬ。尾張の織田弾正忠家、佐治水軍とともに攻めてきたようですが、西村なる者については分かっておりませぬ」


 「鳥屋尾よ、其方は西村なる者について調べよ。

 神宮については、確かに当家が横領しておるし、宇治や山田も当家に従属しておる。

 今更、神宮に返すわけにもいかぬし、神宮の困窮を何とかする余裕など、当家には無い。

 このまま、神宮に文句を言って、藪蛇をつついたら、更に悪化するかもしれん。

 志摩の代官については、黙認せざるを得まい。」


 関白や久我家を通じて、伊勢国司解任の上奏を示唆するとは、何者なのだ。

 確かに、朝廷への献金は少なくなっており、中央の貴族たちが不満に思っておるのは分かっておる。

 西村とやらは警戒しておかねばならぬようだ。

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