表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/154

正義の祝言

いつも読んでいただき、ありがとうございます。


この作品は皆様のブックマークとポイント評価で支えられています。

興味を持たれた方は是非とも、ブックマークと下部からのポイント評価をお願いします。


レビューなどいただけると更なる励みになります。

 いよいよ、弾正忠家との祝言の日がやってきた。

 当家から先方への迎え役は、家宰の黒田下野守が向かう。家令の多羅尾光俊は、当家での準備をする。


 弾正忠家の姫を迎えるに当たって、わしの屋敷に住んでいた大島甚六、川俣十郎は離れに住むこととなった。

 弾正忠の妹や侍女たちが住むとなると、少し手狭かもしれないので、婚姻の話が持ち上がった際に、増改築を始めたが、まだ終わっていなかったのは申し訳ない気持ちでいっぱいである。



 夜になると、花嫁の行列が近付いてきたと、外で騒ぎ始めた。

 落ち着かないので、タマやカイゼルを抱いて、撫でているが、一向に落ち着かない。

 迎え役の黒田下野守が先導する行列が屋敷に着いたようだ。

 この日は花嫁に会うことが出来ず、屋敷の部屋で休んでもらう。

 花嫁とは会えないので、送り役の平手五郎左衛門殿と挨拶を交わす。夜遅くにわざわざ尾張からご苦労なことである。


 翌日になっていよいよ、わしと花嫁の久我栄子(織田弾正忠の妹)の婚儀が執り行われる。

 左側に婿のわしが座り、栄子が右側に座る。この頃は、明治期に西洋文化が入ると席の序列は、西洋に合わせて変更されるので、21世紀とは席順が逆となる。軍隊でも、上位者は右側だしな。

 三々九度は、別にやってもやらなくても良いらしいが、栄子が久我家の養女であり弾正忠家の娘なので、取り敢えずやっておくことにした。そして、わしと栄子が酒を酌み交わす。

 その後、わしの親族との宴が始まる。参列者は義祖父の西村勘九郎正利、養父の西村新九郎規秀である。流石に、関白の実父は来なかった。

 栄子側は送り役の平手五郎左衛門殿が出席している。栄子の父親である織田信定は近くの木ノ下城を居城としているのだが、花嫁側の親族は参加しないものらしい。栄子と親族の宴は勝幡城で済ませてあるそうだ。

 義祖父の西村勘九郎は大層喜んでくれている。しかし、養父の西村新九郎は特に感情を見せることはなかった。

 わしは、義祖父の勘九郎には可愛がってもらっているから、勘九郎が喜ぶのは分かるが、養父からは情と言うものを感じたことがなかった。


 親族との宴会が終わると、ようやく夫婦の床入である。宴の時は、妻となる栄子の顔をよく見ることは出来なかったが、改めて妻を見ると、弾正忠に似ていて、目鼻立ちがしっかりしており美人である。美形の多い織田家の血筋だからであろう。


 「お前様、不束者ではございますが、何卒良しなにお願い致します」


 「その様に、固くなる必要は無いぞ。其方の兄の弾正忠とは友であるゆえ、ここは敵地では無いから、安心して過ごすが良い」


 こうして、わしたちは、夫婦の契りを結んだのであった。


 更に翌日には、家臣たちへの御披露目があるので、屋敷の広間に家臣たちを集める。

 わしと栄子が広間に入り、席に座ると、家宰である黒田下野守が、代表して祝辞を述べてくれた。

 家臣たちも、わしと栄子の婚姻を心から喜んでくれているようで、何よりである。


 こうして、わしの祝言は無事に終わったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ