表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/154

白川伯王家を招く

いつも、読んでいただき、ありがとうございます。


ブックマーク、評価、レビューなどいただけると励みになります。

 久我亜相殿や山科卿、平井宮内卿たちと一緒に、白川伯王家の当主である白川雅業殿がいらっしゃった。

 白川伯王家は、神祇官の長である神祇伯を世襲する家柄である。

 しかし、今の白川伯王家の影響力はかなり衰えていた。

 それは、神祇大副を世襲する吉田家の吉田兼倶が、唯一神道と称する吉田神道を確立したことにある。

 吉田兼倶は神祇管領長上を称し、朝廷や幕府に取り入り、吉田家が全国の神社の大部分を支配するようになった。

 以後、神祇伯を世襲する白川伯王家の権威は衰退し、立場は逆転してしまっている。そのため、白川伯王家も生活は厳しかった。

 他の公家であれば文でも良いのだが、白川伯王家には直接会ってお話がしたかったので、来ていただけないかと父を通してお願いしたいところ、承諾していただけたのだ。


 白川伯王家にお願いしたいことは二点ある。

 一点目は、伊勢神宮との交渉。

 二点目は、吉田神道に代わる教義の確立である。


 一点目の伊勢神宮との交渉は、志摩国侵攻の承諾を伊勢神宮から貰うことである。

 志摩国には、伊勢神宮の別宮である伊雑宮が鎮座し,神宮の封戸が66戸置かれていた。御厨も定められ、神宮の神饌を供進するなど、伊勢神宮の勢力下にあったのである。

 志摩の国人たちは、元来は伊勢神宮の神領の地頭であったが、事実上横領していた。現在、地頭である国人たちから伊勢神宮への寄進はほぼ無い。

 伊勢の神領も北畠氏や伊勢国人たちに横領され、伊勢神宮は困窮しており、遷宮すら行えていない状態だ。

 史実では、織田信秀は遷宮の木材と資金を寄進し、三河守の官位を得ている。

 志摩国に侵攻し、志摩の国人たちを平定した後は、代官として志摩国の統治を認めてもらえるよう交渉してもらいたいのである。

 伊勢神宮は吉田家と対立しているため、同じく吉田家と不仲で、神祇伯の白川伯王家の話なら乗ってくれる可能性は高い。


 二点目の吉田神道に代わる教義の確立は、吉田家の唯一神道は、わしにとって都合の悪い存在である。

 そのため、白川伯王家には、伊勢神宮とともに復古神道的な教義を確立してもらいたい。

 皇室の祖先神とされる天照大神を祀る伊勢神宮を全国の神社の頂点に立つ総本山として、吉田家ではなく、朝廷が宗教を管理できるようにしたいのだ。

 今の時代なら、神道を国教にしても騒ぐ外国勢力はいないからな。

 白川雅業殿には、知っている復古神道の思想などを伝えるとともに、日本への仏教の伝来を参考にした布教方法の研究もお願いする。

 いずれ、外地に進出したときに、現地での土着宗教と神道を合体させる形で、神道を普及させたいからだ。

 明治時代を参考に、開拓三神として、大国魂命・大己貴命・少彦名命を祀ることも忘れてはいけないな。


 白川雅業殿は、当家の支援を受け入れるとともに、二点の依頼も受け入れてくれた。

やはり、吉田家に好き勝手されているのが気に入らないらしい。

 また、復古神道的な教義や外地への布教を視野に入れた研究については白川家の権威の復活と勢力拡大に繋がるからか、目を輝かせて聞いてくれた。

 伊勢神宮内宮と協力して、是非とも新教義の確立を頑張っていただきたい。


 個人的には、神道が国教となり、国家神道となっても明治のように強烈な廃仏毀釈をするつもりはない。

 仏教は日本の発展に貢献していたのは事実である。

 歴史ある寺などは残すが、無駄な寺は廃する必要があれば、廃していかなければならない。

白川伯王家と伊勢神宮と組んだことで、吉田家との仁義なき戦いに発展してしまうかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ