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銭作りの準備

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 当家の甲賀衆からの雇用は続いており、御倉所に所属する者も増えてきていた。

 御倉番が裏切らないとも限らないので、御倉番を監視する甲賀者も雇っている。

 そろそろ、銭を私鋳する準備に入りたいと思ってもいた。

 前々から多羅尾光俊と鵜飼孫六には、借金のある鋳物師などの職人を集めるよう伝えており、借金を肩代わりする代わりに美濃へ何人か連れてきていた。

 銭を私鋳することがバレないよう、近隣の国はなるべく避けるよう指示をしている。

 近頃、関東にて工作活動をしているので、鎌倉で銭を鋳造するのに関わっていた職人も連れてくることが出来た。

 基本的には、独身者で集めてきている。いなくなっても騒ぎになりづらいし、御倉所でほぼ軟禁生活をさせても問題ない。


 大橋家には粗銅、鉛、錫、石膏、密蝋などを集めてもらっていた。ついでに、大橋家が溜め込んでいた宋銭の良銭も譲ってもらう。

 銭の鋳造は石膏鋳造でやるつもりだ。

 まずは粘土で枝銭の鋳型を作る。枝銭は密蝋で作るので、密蝋用の鋳型である。

 大橋家の溜め込んでいた宋銭の状態も良く、良い枝銭が作れるだろう。取り敢えず、出来の良い枝銭を作らせる。


 合わせて、手に入れた粗銅から灰吹法を使い、金や銀を取り出す。明や朝鮮が日本から銅を買っていたのも、日本の銅には金や銀が含まれており、銅から金銀を取り出すことが出来るからだ。

 摂津の銅屋新右衛門が山下吹を考案したことで、硫化銅を製錬することが出来るようになり、粗銅の生産料は増加している。

 灰吹法では、銅を鉛とともに溶かしてから徐々に冷却する。

 銅は固化するが鉛は融解したままの温度に保つ。

 すると、銅は次第に結晶化して純度の高い固体となり、上層に浮かぶため、金銀を溶かし込んだ鉛が下層に沈む。

 この融解した状態の鉛を取り出し、空気を吹き付けることによって金銀を抽出するのだ。

 まずは、金銀を抽出した銅を生産するため、鋳物師などの職人たちに灰吹法のやり方を教えた。

 灰吹法の効率的なやり方などは、職人たちにやってもらう間に確立してもらおう。

 まずは、銭を鋳造するための材料を貯めなければならない。


 職人たちは、御倉所に軟禁状態になるので、職人たちのやる気を維持するためにも、御倉所での娯楽作りが必要になるかもしれない。日頃から御倉所に詰めている御倉番たちにも利用してもらうつもりだ。

 多羅尾光俊と鵜飼孫六に相談し、買い物出来る店や置屋などを置こうと言う話になった。

 多羅尾や鵜飼の縁者で、御倉番としては働けないが信用できる者に管理をさせることとなった。

 中で働く遊女たちは甲賀衆の者とはいかないが、背後関係など問題のない者を甲賀衆が集めて、連れてくることとなった。

 こうして、少しずつながらも、銭の私鋳の準備を整えていくのであった。

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