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津島での初めての商い

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 中井戸村で準備が整ったため、再び黒田重隆と多羅尾光俊とともに商人の変装をする。

 今回の品物は、関での数打ちの刀や妻木の陶器、明智の農産物等を積み、木曽川を下っていく。勿論、黒田重隆に作らせた目薬も忘れていない。


 津島に到着すると、船頭たちに荷物の番をさせ、津島神社へと向かう。津島神社に訪れ、神主である氷室貞常殿に面会を請う。

 しばらく待つと、氷室貞常殿が現れた。


 「松浪殿、よういらして下された。先日いただいた目薬ですが、試させていただいたところ、大層な効き目でございましたぞ」


 目薬の効き目が良かったのか、氷室殿が歓迎してくれる。


 「是非とも、当社の護符とともに販売していただければと思います。本日は商いの話で参ったのでしょう?」


 「その通りにございます。先日お話いたしました木曽川沿いの産物を集めて参りましたので、御商家を紹介していただきとうございます」


 「おぉ、そうでありましたな。当社が紹介させていただく商いの相手でござるが、当社の氏子の大橋家にお願いしております。先方に確認を取るので、暫し待たれよ」


 氷室殿が紹介してくれる商家を聞き、驚きを隠せなかった。

 津島神社の氏子で、津島十五党の筆頭である大橋家だとは。大橋家は領主織田弾正忠家に近しく、実質的に津島の統治を任されている武家と商家の両方の顔を持っている。そんな大物を紹介していただけるとは。


 大橋家への取次を待つ間、氷室殿と目薬の話や販売について話をすることとなった。

 目薬の名は『玲珠膏』として販売されることとなり、護符とともに販売し、どれくらいの寄進をするかなどの話をした。

 話がまとまった頃合いで、大橋家から人がやって来た旨を告げられた。


 現れた人物は、大橋家当主である大橋清兵衛重一殿本人であった。


 「松浪殿、大橋清兵衛殿でござる。大橋殿、こちらが美濃の商人で松浪殿じゃ」


 氷室殿が両者を紹介する。


 「大橋清兵衛重一にござる。神主である氷室殿から話は聞いております。木曽川沿いの美濃の産物を商いたいとのこととか」


 「京より下って参りました元公家の三男で、商人の松浪兼家と申します。大橋殿ほどの方と商いをさせていただけるとは思ってもございませんでした」


 「なかなか美濃の奥地の品物は入って来ませんので、かなり大きな商いになると期待しております。荷は是非とも当家にお運びいただきくだされ」


 大橋殿とともに津島神社を辞し、船頭たちの元へ向かう。

 兼山から運んだ荷を大橋家に持っていき、品物を見てもらうと、大層喜んでくれた。数打ちとは言え、関の刀剣や美濃の陶器があったのが喜ばしかったようだ。

 商談は続き、今回の買取り額について取り決めるとともに、商いの話や世間話をした。

 関の刀剣や美濃の陶器は継続的に納品して欲しいことや、欲しい美濃の産物などの要望を聞くとともに、津島での商いに便宜を諮ってくれることを約束してくれた。

 津島で集められる物は大橋家が集めてくれるらしい。


 大橋殿は、歓迎の宴を開きたいとのことだったので、大橋家にて一泊した後に、兼山へと帰ることとなった。

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