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白粉と目薬

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 わしの実家は、摂関家の近衛家である。

 出家させられたのに、勝手に還俗して、城主にしてくれるからって、西村なんて知名度の低い家の養子になってしまった。

 武士になることを黙認してくれてたとは言え、実家の近衛家とは絶縁状態である。

 実家との縁を結ぶためには、相応の銭と贈り物が必要であろう。そう考えて、作ることにしたのが白粉である。


 公家の大半が困窮に喘いでいるとはいえ、高位の公家の家では白粉は日常的に使われている。

 しかし、現在普及している白粉は原料が水銀や鉛なので、中毒症状を懸念していた。そのため、植物由来の安全な白粉を作ることにしたのである。

 その原料がキカラスウリである。キカラスウリの塊根をつぶし、何度か水でさらした後乾燥させる事によって天花粉に加工し、白粉の原料とする。白粉以外にも、あせもの予防、治療などに用いられる。

 また、キカラスウリはデンプンを多く含むため、飢饉の時の危急食に利用したり、種子は脂肪を多く含むため、油脂を集めて灯火に用いる事なども出来るらしい。熟していない果実は、食材として利用出来るしね。


 キカラスウリやカラスウリを村人たちに集めさせた後、数を増やすように指示するとともに、塊根から白粉を作る作業をさせることとした。完成するのが楽しみである。



 領主として色々やりたいことがあるけれど、如何せん銭が足りない。手っ取り早く銭を得る方法を考えるが中々思い浮かばない。

 考えている最中、黒田重隆が目に入った。黒田重隆を観て良い案が思い浮かんだ。


 「重隆、また夢に春日明神がお出ましになられたぞ」


 「今度はどの様な御告げだったのですか?」


 毎度のことなので、黒田重隆は特に驚かない。


 「其方、秘伝の目薬を作れるであろう?」


 「な、何故、そのことを御存知なのですか!?」


 今度こそ、黒田重隆は驚愕の様子を見せた。


 「春日明神が夢で言っておったのよ。黒田重隆は秘伝の目薬を作ることが出来るとな。そして、それを津島神社の護符と一緒に津島で販売するべしと仰られた」


 「目薬を津島ででございますか?確かに牛頭天王は薬宝賢明王と称し、薬師如来を本地仏としておられまするから、薬を売る際に護符を一緒に販売するのは効果的かもしれませんな」


 黒田重隆も今回の御告げの話に納得したようで、目薬を生産することとなった。

 近い内に、重隆と一緒に津島神社まで行くつもりであるが、どうやって津島まで行こうか悩ましい。折角、木曽川流域を拠点にしているのだから、舟が使えたら良いのにな。



 なお、今回の御告げは、「夢幻物語」の黒田重隆の目薬販売の話から丸々パクってやった。

 姫路に移住してみたものの生活に困窮していた重隆は、ある日夢の中で近江大明神の夢を観た重隆は、広峰大明神に参拝し神主の井口太夫と出会うが、夢見について井口と話しているうちに、黒田家には秘伝ともいえる目薬の調合法があることを思い出す。

 その目薬を護符と一緒に販売してはどうかと助言を受けた重隆は、調合した目薬に「玲珠膏 れいしゅこう」と名をつけ販売を開始しし、多くの富を重隆にもたらしたらしい。

 広峰大明神も御祭神は牛頭天王なので津島神社と一緒なので、筋は通っているだろう。

白粉が鉛で出来ていたと思うと怖いですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マイナーな人物への転生で展開に期待。 [気になる点] 一人称が急に「私」から「わし」になった。何か理由があるのでしょうか。「私」の方が自然だと思います。 [一言] 更新頑張って下さい。
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