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山田式部少輔有親⑨ 川俣十郎の帰還とポルトガル船

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◇山田式部少輔有親


 倭寇狩りに出ていた川俣十郎殿たちが戻ってきたのだが、その船団の後ろには、見たことも無い船を伴っていた。

 帰還した川俣十郎殿から報告を受けると、ポルトガル船を拿捕してきたらしい。

 ポルトガル人も俘虜にしたと言うことで、新たに高砂国外から来た者たちを分ける施設として、「十四日蔵(隔離施設)」を設けたので、そこに入れておく様に部下に命じた。


 川俣十郎殿からの報告を聞き終え、湊に拿捕したポルトガル船を観に行くと、海軍の者たちがポルトガル船から積んである物を下ろしているところであった。

 ポルトガル船が積んでいた交易品とともに、刀剣などの武器も下ろされていく。

 火縄銃は筵に包まれて下ろした様で、川俣十郎殿もなるべくなら火縄銃の存在を広めたく無い様だ。

 そして、殿が仰っていた大砲が下ろされることとなる。

 大砲は大きいので隠しようが無いのだろうが、そのまま海軍の倉庫へと運ばれた。

 俺も大砲を間近で観ようと、海軍の倉庫へと向かう。


 海軍の倉庫は警備が厳重にされており、中には川俣十郎殿、神代勝利殿、九鬼宮内大輔殿、そして御倉衆の者がいた。


 「これが、大砲か・・・。本当に鉄の玉を撃てるのか?」


 つい、思ったことを呟いてしまったが、すると御倉衆の者が、唐土では古来より大砲を戦で使っていたことを告げる。

 この御倉衆の者は、火縄銃や大砲、火薬について研究している者らしく、殿から高砂国で火薬について研究する様に命じられているそうだ。

 日ノ本で火縄銃や大砲を撃てば目立ってしまうので、高砂国で射撃をし、研究するらしい。

 御倉衆の者の話では、火縄銃の様な小さい砲の方が新しい技術だそうだ。

 日ノ本には、必要が無かったのか、意図的に伝播されなかったのか分からないが、この大砲を日ノ本へ持ち込めば、戦の形が変わることは間違い無いだろう。


 川俣十郎殿たちと大砲の扱いについて話し合ったところ、殿に報告の書状を送り指示を待ち、それまでの当面の間は海軍の倉庫に置いておき、厳重に警備をすることに決まった。



 海軍の倉庫を出て、ポルトガル船を間近で観ると、志摩から派遣された船大工たちが熱心にポルトガル船を観ていた。

 船大工の頭に話を聞くと、明船とも構造が違うので、解体して調べてみたいそうだ。

 殿からは、明船とポルトガル船の構造を研究し、それぞれの良いところを取り入れた船を造ることを目指せと無茶なことを言われたと苦笑していた。

 しかし、船大工の頭は、ポルトガル船に熱い視線を向けている。

 造船所がまだ完成していないことから、出来る限りの修理を行い、造船所がある程度出来上がってから、解体して調べるらしい。

 それまでは、海軍の者たちに載ってもらい、明船との取り扱いの違いや長所短所を確認してもらうようだ。



 川俣十郎殿が、ポルトガル船を拿捕したことで、大砲やポルトガル船を手に入れることが出来た。

 そのため、当家の武器や船の技術はより発展していくだろう。

 高砂国でこれらの武器や船を揃えて、日ノ本へ送ったとき、日ノ本の諸大名たちは対抗出来るのだろうか?

 そう考えると、思わず笑ってしまう。是非とも、殿とともに日ノ本の者たちが大砲やポルトガル船に驚く様を観てみたいと願ってしまったのだった。

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