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山田式部少輔有親③高砂国に降り立つ

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 鳥羽から薩摩を経由して琉球への交易船に乗った我々は、琉球に降り立った。

 琉球に常駐する東天竺屋の者の話だと、噶瑪蘭湊までの定期便はまだ到着していないそうで、暫くは琉球で過ごさなければならないらしい。


 琉球の東天竺屋には、小さな店と大きな倉庫があり、店の側には小さな遊女屋が置かれていた。

 鳥羽を発つ前に聞かされていたが、琉球は「楊梅毒瘡」と言う性交の病が広がっているらしく、西村家では琉球で遊女を買うことは戒められている。

 しかし、長い船旅を過ごす交易船の者たちを考えると、遊女を買うことを禁じる訳にもいかないので、東天竺屋が交易船の乗員向けに遊女屋を営んでいるそうだ。

 遊女屋を利用する際に、楊梅毒瘡に掛かってないか、実際に見て確認されるらしいが、西村家で定められているので仕方ない。

 西村家では常備軍でも、定期的に楊梅毒瘡に掛かっていないか点検されているので、慣れていると言えば慣れているのだ。

 鳥羽湊にも、東天竺屋が営む遊女屋があるしな。

 琉球の遊女屋は、琉球で買い付けた口減らしの女子を遊女にしているらしい。

 琉球も薩摩と同じで、田畑が少なく、口減らしせざるを得ないのだ。

 東天竺屋の遊女は、殿の指示もあり、他の遊女屋の遊女より扱いが良いらしい。

 その分、遊女屋は損ばかりだそうだが、乗員たちのことを考えると致し方あるまい。

 そのため、琉球と日ノ本の交易で稼がねばならないのだ。

 噶瑪蘭湊にも、東天竺屋の遊女屋を設けたらしく、琉球で買い付けた女子を送っているらしいが、そちらは倭寇狩りの連中が使う当ての無い銭を遊女に使っているらしく、利は出ているらしい。

 高砂軍の兵や文官、技術者が増えるので、遊女を増やさないといけないと、東天竺屋の者は溢していた。


 その他に、東天竺屋の者に面白い話は無いか聞いたところ、野分の季節が過ぎたから、馬路玄蕃殿が外交の使者としてアチェへ向かったらしい。

 琉球王府も合わせて使者を送っていると言うことで、なかなかの規模の様だ。


 噶瑪蘭湊との定期船が現れ、俺たちはその船に乗って、高砂国へと向かった。

 噶瑪蘭湊に降り立つと、二隻の明船が泊まっており、後で湊の者に話を聞くと、川俣十郎殿たちは高砂国に戻った後、倭寇から二隻の船を奪ったらしい。

 川俣十郎殿たちはアチェへ向かってしまったらしいので、高砂国にある三隻の明船は、俺の管理下にあるらしい。

 取り敢えず、琉球への定期船を交代で運航し、残りの二隻は海軍で訓練させることにした。


 噶瑪蘭湊は話に聞いていたより建物が建っており、人が多く滞在していた。

 明らかに日ノ本の民でない者たちが湊の近くを歩き回り、海軍の者たちと言葉を交わし合っている。

 海軍の者に話を聞くと、近頃はこの様な光景が普通になっているらしい。

 噶瑪蘭族の若者などが、積極的に日ノ本の言葉を覚えている様だ。

 高砂軍の兵舎も出来上がっている様で、兵や文官、技術者たちに兵舎へ行き、身辺整理を命じる。


 噶瑪蘭湊を取りまとめていた東天竺屋の者や海軍の者に話を聞き、引き継ぎを受けた。

 噶瑪蘭族は協力的な者が多いが、我々を警戒している者たちも多いらしく、噶瑪蘭族の住む奥地へは向かわないのが、噶瑪蘭族たちとの暗黙の了解になっているらしい。

 現在は、兵力も少なく、到着したばかりなので、高砂国の蛮族たちとの争いは避けなければならないだろう。

 俺は引き継ぎを受けながら、殿から与えられた任務を如何にこなそうか考えることとなったのであった。

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