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第一話 女神

 朝だ。カーテンの隙間から部屋に差し込む朝日を受け、俺は目を覚ます。のそりと体を起こし、枕元のスマートフォンの電源を点け、現在時刻を確認する。


13:34



 俺は時刻を確認すると、深い溜息を吐く。


「…また、目が覚めたのか」


 だが、その呟きは俺以外の誰にも聞かれることなく、霧散した。のそりと体を起こすと、昨日と同じ倦怠感が自分を襲ってくる。体が重く、筋肉も弱っている。それに相まって、二年間運動なぞという高尚なものを全くしてこず、蓄えに蓄えられた脂肪が俺の膝に容赦なくダメージを与える。

 ブラック企業のように膝を酷使しながら、俺はパソコンラックの方へ歩を進める。椅子に座り、パソコンの電源を点ける。普段のように、パソコンはファンの音を立て始め、モニターは明るくなる。


 そこで俺は、意識を刈り取られた。


・・-・・-・・-・・


 次に俺の目が覚めた時、俺は白に居た。

 いや、俺の気が触れたわけではないし、断じて作者の誤字ではない。

 俺は、白の中に居たのだ。正確に言うと、部屋の隅とか壁とか角とか言うものが視認できないほどに完璧に真っ白な空間である。俺は確かに床に寝転がっている感覚はあるが、本当にそこに床があるのかと疑いたくなるほどに真っ白である。


「お目覚めですか、弘樹様」


 俺は、自分の後ろ側から聞こえてきた声の主を探し、体ごとそちらを向く。そこには、真っ黒な、いや、深淵を体現したかのように暗い色のローブを着たとても美しい女性が立っていた。


「私は、メスタシア・ヴィ・ミスチル。貴方の世界で言うところの女神様です」


 メスタシアと名乗った女性はそう言うと、一礼した。その気品のある動作に、俺も思わず一礼する。


「此度、貴方は別世界の文化発展大使に選ばれました」


 彼女の口から出た、非現実的な言葉。だが、その言葉はこのような非現実的状況であれば現実的な言葉であった。


「…なんで、俺が選ばれたんですか」


 俺がそう問うと、メスタシアは凛として言った。


「では、此度の選定基準を言わせていただきます。まず第一に、過去に犯罪経歴がないこと。第二に、成人男性であること」


「…それなら、俺以外にも該当する人間はたくさんいるだろう?なんで俺が選ばれたんだ?」 


「…そうですね。では、最後の判断基準をお伝えします。それは、社会から不要な存在であること」


 メスタシアのこの言葉を聞いて、俺は心臓を握り締められるような気分になった。自分でわかっていても、他人からこうもはっきりと『不要』と断言されると、意外にきつい。


「そう、か」


 俺がそう言うと、メスタシアは少し悲しそうな顔をしたが、直ぐに元の凛とした顔になる。


「さて、別世界に行くにあたってですね、私共の方からいくつかのプレゼント、異能力を用意させていただいております」


 メスタシアがそういい、片手を振るうと、俺の目の前に半透明のウィンドウのようなものが現れた。そして、メスタシアはウィンドウに書かれている内容を補足しながら俺に説明した。


「まず初めに、『異空創造クリエイション』です。この能力は、自分が居る世界とは別の世界を作り出す呪文です。ですが、世界といっても貴方は神格を持たないので、その世界に生命が誕生することもないし、その中に生命が侵入することはできないです。ですが、貴方が自分の魔力量を増やせば増やすほどその世界を大きくすることができます。現在は―――そうですね。50センチ四方ぐらいの大きさです。ああ、それと、別世界にはこのような類の魔法は存在しないから、この能力を行使する際は鞄などでカモフラージュするとよいでしょう」


「ちょっと待ってくれ。魔力とはなんだ?」


「貴方に分かりやすく言うと、ゲームの中でよくマジックパワーなどと呼ばれるものです」


「つ、つまり俺が今から行く世界には魔法や魔術と呼ばれる概念があるのか…?」


 俺の問いに、メスタシアは首肯し、続ける。


「次は、『身体改造』です。何もサイボーグにするという訳ではありませんが、貴方に今から行っていただく別世界は剣を持ち、魔法を扱い魔物と戦うことが日常の世界ですので貴方のその脂肪だらけの身体では生きることは困難でしょう。更に、貴方には未だ魔力への適合力がございません。ですので、私共が手術を行い、魔力への融和性を高め、適切な身体へと改造いたします」


 この言葉で背筋に冷たいものが走るが、そんなものは剣と魔法という甘美なロマンの前には塵芥に同じであった。


「最後に、『能力可視化ヴィジュライゼーション』です。これは、今私が使用しているこの板に自分の保持している能力や残魔力量、魔法の消費魔力量などを数字化して、表示させる能力です。この板は他人には見えませんのでご注意ください」


 メスタシアはそう言い、片手を振るうと、半透明のウィンドウは霧散した。


「はい。これで一通りの説明は終了いたしました。何か質問はございますか?」


「別世界には、俺みたいな『能力』を持ってる奴はいないのか?」


「はい、別世界にも能力持ちは居ます。ですが、能力というものは千差万別で、そのスキルを持っていると自身の身体能力が倍になるようなものから、雑巾絞りが上手くなるだけというようなものまでです」


「スキルはどうやったら手に入る?」


「スキル効果内容に適した行動をすることにより手に入ります。例えば、剣さばきが上手くなるスキルを手に入れたかったら、剣を一心不乱に素振りするとか」


「なるほど…よし、俺から聞きたいことはもうないな」


 俺がそう言うと、メスタシアは軽く頷き、両手を掲げた。すると再び俺の意識は刈り取られ、心地の良い闇に吸い込まれていった。俺の心は少しの不安感と多くの期待感で満ちていた。


長期失踪していた作者です。


・・・はい、ごめんなさい。

此度は、私事で続きを待っていてくださっていた読者様を長い時間お待たせして申し訳ございませんでした。

そして、この作品は私の『猫に小判な異世界生活』の改変となっております。

簡単に言うと、原作者の二次創作のようなものです。

受験を終わらせて、猫に小判のほうを執筆しようとしたのですが、中学生特有の勢いを失っており、思うように筆が進みませんでした。

そして、現在も稚拙な文章なのですが、更に幼稚な文章で、ご都合主義の展開ばかりである猫に小判を読んでいると、一から書き直したくなり、このような形としました。

猫に小判の方は未完のままで終了という形になってしまうことをお詫び申し上げます。

猫に小判の方で何か疑問等ございましたら猫に小判の方の感想に書いていただくか、Twitterのダイレクトメッセージで送ってくださればお答えいたします。


それでは、この作品をよろしくお願いいたします。



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