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第1話
閉じ切っていたドアを開けて、空気の交換を行う。何日もこもっていたようなじめじめした空気が足元を流れていく。義務感なのか、やさしさなのか定期的にこの部屋に訪れては差し入れをしている。自分の本心には心当たりがある。
「このクソニート、早く起きろ。もう15時だぞ」
「もうちょっと待って、さっき寝たばっかだから」
もそもそ動き出した塊が、声を発する。
「ニートが決めた時間よりも、大学の帰りにわざわざ来た俺の時間を優先しろよ」
そういうと同時に、布団をはがす。
「やめてー、やられるー」
中から出てきた彼女は、お世辞を言えばかわいいくらいの顔立ちをしている。
「相変わらず、ぱっとしないな」
「マジトーンでいうのやめてくれない、さわやかな目覚めが台無しだよ。それにユウ君も同じようにぱっとしないじゃん。眼鏡もかけてるし」
ずけずけと本音を行ってくるのは、気を使わなくて済むが、冷静なダメ出しをされてイラっと来るのはこっちも同じだ。
「くだらない会話より、今日は面白い話をもって来た。お前にyoutuerになってもらう」
何日も前から温めていた企画を彼女に伝えた。