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Pole Shift  作者: callas
1/1

始動

 …カタカタカタ……

 

  …カタカタ…カタ…………

 

 薄暗い部屋の中で複数の人影が一つの画面を見つめていた。

 静寂を破るのは中心に座っている男のキーボードを叩く音(奏でる旋律)だけ。


 突如音が止む。

 

「…いよいよだな。ここまで長い道のりだった。いいか、このキーを押せばもう後戻りはできない」

 リーダーらしき男は周りを見渡した。

 向けられる視線は皆一様に同じだった。

「…………異論はない…か」

 

 ふっ…

 

 男の口から笑みがこぼれる。

「まぁ今さら戻るつもりなど更々ないがな」


 次の瞬間、男は鋭い目つきで周りを見渡した。

「いいか。この日のために我々は幾度もシュミレーションを行い、万全の備えをしてきた。しかし、この世に完全なんて言葉はない。よって、もしもの時のためにBilröst(導く者)として、それぞれが持ち場にて管理を行うこと。基本Miðgarðr(ミッドガルド)の魂に干渉してはならない。それぞれのGlaðsheimr(グラズヘイム)を守り、対応に困った場合は必ず招集にて話し合うこと。ーーーーこれは我々人類、ひいては地球の未来の為である!」

「「「はっ!!」」」

 皆が高らかに返事をする。



 《ーーPOLE(ポール) SHIFT(シフト)を起動しますか?》


 《はい/いいえ》


 男は《はい》にカーソルを合わせ、Enterキーを押した。


「………ここからが本当の始まりだ」








 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 P:M 21:00. 某所


 人が大勢集まっていた。

 各自手には携帯を持ち、同じ画面を開いていた。

 どうやら今人気のアプリのイベントが行われるらしい。

 シークレットで行われるとのことで、メールが届いた人にしか場所がわからないらしい。

 それでもかなりの人数が集まっていた。


「私まだこのアイテム手に入れてないんだぁ。このメールがきてホントにラッキーだよ。これで明日自慢できる」

 10代後半の女が隣にいる友人と話していた。


「今までこのアプリでこんなイベントなかったのに、珍しいよな。まぁでもこんな感じで集まるのってスゲェ興奮しねぇ?」

「俺こういうイベント前にも行ったことあるけど、大体こんな感じだよ。まぁ今こういうイベントタイプのゲームアプリ増えてるから徐々にやる感じぢゃない?」


「ねぇねぇ、いいのかなぁ?私たちメール来てないのにここに来て」

「いいに決まってるでしょ。もしかしたら私たちも上手くいけば参加できるかもしれないし。やっぱりコレクターとしては外せないのよね、このイベント」


 それぞれが思い思いに話していると突如携帯から眩しい光が発せられた。


「えっ!!」


 反射的にギュッと目を瞑った。

 ドサっという音がし、辺りが静かになる。

 恐る恐る目を開けると、あれほどたくさんの人がいたにも関わらず、今いるのは片手で数える程だった。


「えっ!どういうこと!」

 

 初めからそこにいたのは自分たちだけだったのでは…疑いたくなるほどに人がキレイにいなくなっていたのだ。


 残されたのはメールの来なかった人だけ…

 無情にもゲームアプリの音楽が闇に響いていた。



 ーーー各地で人が消える事態が世界各国で同時に起きていた。

 共通点は特になくその中には各国の要人も含まれていた。






 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯




 ()()()()()()()()ーーーーーーー通称POLE(ポール) SHIFT(シフト)

 地球暦二〇八七年、爆発的に増えた人口を管理するために〈Bilröst(ビルレスト)〉によって作られたシステムである。

 これにより80億人まで膨れ上がった人口は半分に分けられた。突如人が大量に消えた世紀の大事件「神隠し」の真相はこれである。









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