第1〜第8タブレット
/第1タブレット
語り手による「全てを見たる人」として導入されるギルガメシュを讃える叙述から始まり、「周壁持つウルクの守り手」「強く見目良く賢い人」などの紹介が続く。語り手が言うには、ギルガメシュは「全てを知り、遥かを旅し、疲れ果てて帰国(そして安らぎを得て)、碑石に功労を記した」。
ギルガメシュがいかに賢明な王であったか、彼が築いたウルクの街並みや神殿がいかに立派であったかについても言及されている。
続いて物語へ入り、改めてギルガメシュのプロフィールが明かされていく。
ギルガメシュはウルクの王で、2/3が神、1/3が人間の半神半人であった。完成されたギルガメシュの慢心を諌めるため、アルルは粘土からエンキドゥを造る。野に放たれるエンキドゥと、神性娼婦シャムハトが出会う。
初めの部分は、ギルガメシュへの批判です。逆に書く事で、煽てられたら木に登るタイプのギルガメシュとその側近達にばれないようにその悪事を書いた、と言える部分です。所々はそれがわかっていない部下による本当の御世辞があるかも知れませんが、大抵は逆です。
「全てを見たる人」は中身を全然みない人、命令だけしてどうなっているかなどお構い無しな人、とも取れます。
「周壁持つウルクの守り手」はウルクに居座るお邪魔者とも取れます。ここになり記述となる壁をつくったという功績から言われていると取れますが、逆にいえば城壁が必要になった原因を作った張本人、とも言えます。
「強く見目良く賢い人」は粗野で野卑な野人同様な人物とも取れます。
「全てを知り・・・」は、「表面だけ見て、あちこちを動きまわって引っ掻き回し、その後に死んで、その迷惑を碑石に記された」と取れます。
『ギルガメシュはウルクの王で、2/3が神、1/3が人間の半神半人であった。完成されたギルガメシュの慢心を諌めるため、アルルは粘土からエンキドゥを造る。野に放たれるエンキドゥと、神性娼婦シャムハトが出会う。』
ここでは3権力が何かが書かれていないので現代語訳をしますが、立法、行政、司法とします。ギルガメシュは立法と行政には従う存在にはなったが司法には従わなかった、という内容になります。
アルルは「山の女主人」らしいです。つまりはウルクのような都会人ではなく、山や野原にする女達から生まれた子供であった、という事です。親が分からないからその大元を辿ってアルルで表現しています。なぜシャムハトが神聖娼婦なのか、ですが、単にギルガメシュがその行為を正当化したかったため、です。神が遣わした運命を持つ娼婦、だから神聖娼婦、と書かれています。
/第2タブレット
『シャムハトはエンキドゥに人間の食物を与えたりと人間らしさを培うと、2人でウルクを訪れる。激しい戦いが始まるが、ギルガメシュとエンキドゥは互いの力を認めると抱擁を交わして友達になる。』
ここはあえて書く事もないです。エンキドゥがウルクに入って、ギルガメシュと呼ばれる存在になるための基盤を作ります。
/第3タブレット
『ギルガメシュは杉を得るため、杉の森に住む怪物フンババを倒すことをエンキドゥに提案。ギルガメシュはニンスンを訪問すると、ニンスンはシャマシュに2人の加護を祈り、エンキドゥを養子に迎え入れる。2人の森への遠征を、ウルクの民たちは祝福し送り出す。』
この文の解釈として、ここで一世代またいだ可能性はあります。ニンスンという女性とエンキドウと呼ばれて来た男性の間にギルガメシュという子が出来た、という解釈が出来ます。当時の社会制度がどうかはわからないですが、ウルク市民であるための権利を得るためには養子にならざると得なかった、という解釈もありますが、情報不足のためにここはこの程度の判断で済ませます。
シュマシュの加護ですが、ウルクの都市神ではないシュマシュの後見で、地域一帯の森林管理官フンババを倒すと意気込んだギルガメシュがいます。煽てられたらどこまでも舞い上がるギルガメシュちゃんがいます。
/第4タブレット
『2人は45日分に及ぶ距離を3日間で歩いた。
更に歩き進め森の入口に到着すると、フンババの手下がいて見張りをしていた。それを見たギルガメシュは怖じ気づくが、エンキドゥはシャマシュの励ましを受け、見張りの者達と戦う。エンキドゥは呪いの掛かった門に触れて手に思わぬ痛手を負うも、今度はギルガメシュが励まし、2人は森へと入っていく。』
数字はあまりその数値を見るのではなく、そのシンボルの意味を見るべきでしょう。原文を知らないのでここでは指摘しません。解釈次第では正式手続きを踏まずに抜け道を使った、とも取れます。エンキドゥは野性、ギルガメシュは王としての人格部分、です。呪いの掛かった門はセキュリティに引っかかってます。盗人ギルガメシュさんです。
フンババの7つの光輝ですが、'光輝'は卓越した能力、技能です。その内の一つが森の番人としての技能です。
/第5タブレット
森に入った2人は杉の立派さに心を奪われていると、ほどなくしてフンババが駆けつけて来た。戦いが始まると、山は揺れ空は暗くなる。
シャマシュは「恐れるな」と声を掛け、「大なる風、北風、南風、つむじ風、嵐の風、凍てつく風、怒涛の風、熱風」に及ぶ8つの風を起こして援護し、フンババを降参させた。
するとフンババが命乞いをするので、ギルガメシュは聞き入れようとするがエンキドゥは殺す事を勧める。
ギルガメシュが第1撃を、エンキドゥが第2、第3と切りつけ、フンババは息絶えた。
山はざわめきを上げて静まり返り、森にも静けさが戻った。
2人は杉を伐って船を造り、杉の大木とフンババの首を持ってウルクへ帰還。
『森に入った2人は杉の立派さに心を奪われていると、ほどなくしてフンババが駆けつけて来た。戦いが始まると、山は揺れ空は暗くなる。』
ここはフンババとの対決で、周囲が混乱し、雰囲気が重々しくなる、という解釈です。
実際に肉体を使って戦ったか、ですが、恐らくは法廷での対決のようなものになったのでしょう。
『シャマシュは「恐れるな」と声を掛け、「大なる風、北風、南風、つむじ風、嵐の風、凍てつく風、怒涛の風、熱風」に及ぶ8つの風を起こして援護し、フンババを降参させた。』
シャマシュはギルガメシュという使い捨てがいるために強気です。'風'は嘘や言葉という意味です。悪い意味なら嘘ですが、大抵は悪い意味に使われます。ここでフンババを嘘で騙そうとしたり、脅迫をしたりして屈伏させます。
『するとフンババが命乞いをするので、ギルガメシュは聞き入れようとするがエンキドゥは殺す事を勧める。
ギルガメシュが第1撃を、エンキドゥが第2、第3と切りつけ、フンババは息絶えた。』
ここはギルガメシュの半神半人の逆の回数になっています。1/3をギルガメシュが、2/3をエンキドゥが行っています。エンキドゥの野性が勝った、ということです。
戦いにかったから相手を殺して宣言した、という蛮行です。或はフンババの持つ権限をことごとく奪った、です。
『山はざわめきを上げて静まり返り、森にも静けさが戻った。
2人は杉を伐って船を造り、杉の大木とフンババの首を持ってウルクへ帰還。』
森林管理官を殺して、不正に手にいれたお宝を得て、堂々とウルクへと帰った、です。
補足にあるように、エンリルが配置したフンババはウルクにとっても、都市神シャマシュの領域にとっても邪魔な存在です。フンババがいる限り、その利権は手に入りません。なのでシャマシュはギルガメシュちゃんの後見になる代わりにフンババの持つ利権を得る計画をします。
フンババが持っていた光輝が何なのかは知りませんが、フンババを殺されて7つの分野(もしくは担当地域)で管理官を失ったエンリルは同じ事をされてはたまらないと思い、7つに別々に管理官を配置するようになります(それぞれの勢力に権利を分配、と解釈することもできます)。
/第6タブレット
ウルクに凱旋したギルガメシュは髪を洗い身を清め、王の衣服を纏った。
その美しく立派な姿を見初めた愛と美の女神イシュタルは、すぐさま彼に求婚する。
ギルガメシュは「あなたをもらうのに何を差し上げたらよいのか」と語り始めると、イシュタルの愛人(配偶神ドゥムジなど)の悲惨な末路を数え上げ、その不貞を指摘し、求婚を断った。
イシュタルは立腹し、ギルガメシュを殺害し、ウルクごと滅ぼすため、父アヌに聖牛グガランナを送る事を求めるがアヌは拒否する。
イシュタルは冥界から多数の死者を甦らせ、地上に生ける者を食わせると言ってアヌを脅し、グガランナを造らせた。
グガランナがイシュタルに導かれウルクを破壊していくと、ユーフラテス川の水位が下がり、地上はえぐられ、多くの人間が命を落とす。
ギルガメシュとエンキドゥはウルクの危機に駆けつけ、2人協力してグガランナを倒しその心臓をシャマシュに捧げた。
イシュタルは怒り、城の頂からギルガメシュに向かって呪いを吐いたが、怒ったエンキドゥが雄牛の死骸から腿を引きちぎり、それをイシュタルの顔面に投げつけて「お前も成敗してやろうか」などと言い放つ。
イシュタルは退き、嘆いた。
ウルクは歓喜し、2人の英雄ギルガメシュとエンキドゥを讃えた。
その夜、エンキドゥは不吉な夢を見た。その内容をギルガメシュに語り出す。
「何故、大神は会議を開いているのか」
『ウルクに凱旋したギルガメシュは髪を洗い身を清め、王の衣服を纏った。
その美しく立派な姿を見初めた愛と美の女神イシュタルは、すぐさま彼に求婚する。
ギルガメシュは「あなたをもらうのに何を差し上げたらよいのか」と語り始めると、イシュタルの愛人(配偶神ドゥムジなど)の悲惨な末路を数え上げ、その不貞を指摘し、求婚を断った。
』
ウルクに帰還したギルガメシュは身支度を整えすぐにイシュタル神殿の神官(巫女)に王に認めるように要求する。
イシュタル神殿は王権を授ける権限を司り、王を選定します。
ギルガメシュは王になるためにはどうすればよいのか、という話合いの中、司法において、自身の今までの悪行と、王になってしたい蛮行は罪に問われるから受け入れないと言います。
『イシュタルは立腹し、ギルガメシュを殺害し、ウルクごと滅ぼすため、父アヌに聖牛グガランナを送る事を求めるがアヌは拒否する。
イシュタルは冥界から多数の死者を甦らせ、地上に生ける者を食わせると言ってアヌを脅し、グガランナを造らせた。』
イシュタル(の神官もしくは巫女)は立腹し、行動を改める事をするつもりもないギルガメシュをこのままウルクの権力者にするわけにはいかないためアヌへ直訴します。その際に、ギルガメシュがウルクの王になると、命令を強制させられる人や奴隷(自らの意思を持たぬ者つまりは死者)で溢れかえる事になるとアヌに告げ、アルを恐がらせます。
そしてアヌは神の権限により、正しい行いをする男達(聖牛グガランナ)を集め、ギルガメシュを討とうとします。
gugalanna->gg+lnです。ggで民衆、lnaで正しい行い、です。但し、この話でフィルタリングしたからこう訳せるだけです。それぞれのシンボルからここまで特定できません。
例えばYggdrasilのYggは、生み出されるものを蝕まれる(もしくは生産量が減少していく、やせ衰えていく)、です。その他の情報でそのシンボルの定義を絞りこんで行きます。
『グガランナがイシュタルに導かれウルクを破壊していくと、ユーフラテス川の水位が下がり、地上はえぐられ、多くの人間が命を落とす。
ギルガメシュとエンキドゥはウルクの危機に駆けつけ、2人協力してグガランナを倒しその心臓をシャマシュに捧げた。』
ギルガメシュを討とうとする民衆がウルクを破壊するのですが、ギルガメシュ率いる悪心を持つならず者達は他者を殺す事に長けているので逆に民衆をうち負かしてしまいます。そしてその中心人物を捉えてシャマシュへと突き出した。
『イシュタルは怒り、城の頂からギルガメシュに向かって呪いを吐いたが、怒ったエンキドゥが雄牛の死骸から腿を引きちぎり、それをイシュタルの顔面に投げつけて「お前も成敗してやろうか」などと言い放つ。
イシュタルは退き、嘆いた。』
イシュタルはギルガメシュを猛烈に批判したが、ギルガメシュはうち負かした集団にイシュタルを攻撃させてイシュタルを脅迫します。
そのため、イシュタル(の神官や神殿そのもの)は沈黙します。
『ウルクは歓喜し、2人の英雄ギルガメシュとエンキドゥを讃えた。』
歓喜ですが、否定的に言えば大声を上げて嘆き悲しむ、です。ここで肯定的な文章なのは、逆表現です。
否定的に書いてしまえば、破壊されて後世に伝えられません。
補足ですが、戦利品について語っています。場合により、油は男、角は女、を比喩するかも知れませんが深読みしすぎなのでこれ以上述べません。角がリーダー的存在の首や所持品(もしくはその配偶者)かも知れない、とどこまでも深読みできるからです。
/第7タブレット
以下エンキドゥが見た夢の内容によるもの。
森番フンババと聖牛グガランナを倒したために、2人のうち1人が死なねばならぬとアヌは言った。
エンリルはギルガメシュの死を望まず、「エンキドゥが死ぬべきだ」と言った。
シャマシュは「(ギルガメシュたちは)自分の命令に従って牡牛どもを殺したのに、何故エンキドゥが死なねばならぬのか」と反論。
エンリルは答えた。
「何故ならば、お前は毎日あの2人の仲間であるかのように行動するからだ」。
エンキドゥは夢を語り終えると、病み倒れて泣いた。
エンキドゥの涙を見たギルガメシュはエンリルに祈りを捧げ裁判のやり直しを望むが、エンリルは聞き入れなかった。
エンキドゥはシャマシュの前で泣き、シャムハトを呪うと言い出すので、シャマシュは「シャムハトのお蔭で人間らしくなれ、ギルガメシュという親友が出来た」と言って励ましエンキドゥの心を落ち着かせた。
後にエンキドゥは冥界にいる夢を見て、死が近いことを悟る。熱病に倒れてから12日目、ギルガメシュとこれまでの思い出を語り合い、共に冒険し苦難し寄り添った親友に看取られながら、エンキドゥは息を引き取った。
『森番フンババと聖牛グガランナを倒したために、2人のうち1人が死なねばならぬとアヌは言った。
エンリルはギルガメシュの死を望まず、「エンキドゥが死ぬべきだ」と言った。』
アヌは既にギルガメシュに対して罰を与える気になっており、エンリルもそうです。ギルガメシュが望もうと望むまいとウルクの王となり、街を統治させる事を望みます。
やらかした責任は本人に取らせる、というものです。
エンキドゥなら王にならない。ギルガメシュなら王になる。但し、エンキドゥは野性からくる蛮行をする心を表わします。
『シャマシュは「(ギルガメシュたちは)自分の命令に従って牡牛どもを殺したのに、何故エンキドゥが死なねばならぬのか」と反論。
エンリルは答えた。
「何故ならば、お前は毎日あの2人の仲間であるかのように行動するからだ」。』
シャマシュはエンキドゥ(ギルガメシュの欲望)に死なれては困ります。今までいいように操ってきた駒がなくなると不都合だからです。
だからエンリルは答えます。シャマシュがギルガメシュを唆して操るからだ、と。
『エンキドゥは夢を語り終えると、病み倒れて泣いた。
エンキドゥの涙を見たギルガメシュはエンリルに祈りを捧げ裁判のやり直しを望むが、エンリルは聞き入れなかった。』
ギルガメシュは王になったら何をしても許されると思っていたがそう出来ない事を知り、何度も嘆願するが聞き入れられなかった。
『エンキドゥはシャマシュの前で泣き、シャムハトを呪うと言い出すので、シャマシュは「シャムハトのお蔭で人間らしくなれ、ギルガメシュという親友が出来た」と言って励ましエンキドゥの心を落ち着かせた。』
ギルガメシュはもうかつてのようにやりたい放題出来ない事を知り、ウルクの王として厳格な生活をしなければならない事に呪いを吐き、こんな事なら文明人になるんじゃなかったと言うが、シャマシュに文明人になったから良い思いも出来たんだろ、と諭されます。
『後にエンキドゥは冥界にいる夢を見て、死が近いことを悟る。熱病に倒れてから12日目、ギルガメシュとこれまでの思い出を語り合い、共に冒険し苦難し寄り添った親友に看取られながら、エンキドゥは息を引き取った。』
やがてウルクの王になる日が近づき、それまでの間に今までの楽しかった思い出を思い返す女々しいギルガメシュがいます。そしてエンキドゥ(欲望のままに動くギルガメシュ)は死に、王としてのギルガメシュが残ります。
/第8タブレット
『夜明けの光とともに、ギルガメシュはエンキドゥを哀悼する。ラピスラズリや金で出来た立派な像を作り、紅玉石の入れ物に密を詰め、青玉石の入れ物にはバターを詰め、これらを飾った物を奉納した。様々な副葬品を用意してそれらが「彼の傍に行くように・・・」とシャマシュに祈り、ウルクの民たちと共に手厚く葬儀を行った。』
ここはギルガメシュ流最後の晩餐です。もう今までのように贅沢できないんだ、という事からせめて最後に盛大に祝ってしまおう、というやつです。反面、王の就任式の宴会かも知れませんが、ギルガメシュの欲望に忠実な行動の内、派手なものの最後になるものです。




