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神話の歩き方  作者: くーくま
12/12

グノーシス

神話ではないですが一応ここに。

どこぞのアニメがグノーシスという名の敵を出して、かつていたグノーシスの情報を上書きして隠蔽してしまおうとしていましたが、それはなぜかと言えばグノーシスの存在を知られる事はこの世界への疑心につながり、そのつながりは詐欺に気づかせる要因になるため、隠蔽して消し去りたい、という意図があるものです。疑いを、疑問を持たないならそこに思考は生まれず、その機会がなければないほど、長くだましたままでいられる、そういう事です。

最近のアニメ、また、なろう小説などに見られる最強もの設定もこういった部分に関連しますがそれはまた別の機会に。


グノーシスを端的に表す言葉は「私たちは罪の中に生きている」という言葉です。

グノーシスの反宇宙的二元論を表した言葉になります。



"反宇宙的二元論の「反宇宙的」とは、否定的な秩序が存在するこの世界を受け入れない、認めないという思想あるいは実存の立場である。言い換えれば、現在われわれが生きているこの世界を悪の宇宙、あるいは狂った世界と見て、原初には真の至高神が創造した善の宇宙があったと捉える。"


なぜグノーシスがこの視点になるのか思想になるのか、と言えば、この連載の中で、神=知識、という話の中で、武力による支配体制への移行を書いたのですが、その武力によらない統治の方法による世界を善なる世界、武力による統治の方法による世界を悪なる世界と見ているからです。

武力による統治は、本来あるべき状態を私たちが私たちの不完全さからその状態を作り出せない事により生じるその場しのぎであり、また、その時点での私たちの限界でもあります。つまりは、人類という種族の敗北の象徴です。正しいとされる事が出来ないならどうにか誤魔化して疑似的に作り上げ、正しいという状態を作り上げた時に得られる利益を強引に得ようとする状態です。そこには不都合が生じ、その不都合を、何の根拠も正当性もなく一部に押し付ける結果により、争いが絶えず、結果世界は荒廃し、そこに住む人々は一部を除き苦しむ事になる。

だから、グノーシスはそのようなものは受け入れられない、という態度を表明する存在だという事です。

そして、現在苦しむ状態にあるのは私たちが何かを誤っているからであり、それをただす事が出来れば理想状態に辿りつき苦しむ事もなくなる、という考え方です。科学の考え方はこういった考えの模倣であり、科学が科学として表面化して現れたから唱えられた斬新なアイデアではありません。ただアプローチが違う、というだけです。

発展の違いは正しいかどうかではなく、グノーシスがその方針により暴飲暴食などを嫌い、また、不正を好まないために、現代科学の持つ拡大解放路線と同じだけの利益を生み出さず、また、資源を高回転させることで短時間における効果を高める方法を採用しなかった、だけの事です。

また、彼らグノーシスはその方針から、現実への批判として、子を成さない場合もあったでしょう。つまりは世界が改善されない限り、減少する傾向を示します。

たとえば農民として存在し、税として穀物を収めるが収める事で悪人が肥え太るのなら収めたくない。また、自分達が子を成し生存する事で悪人がますます肥え太る結果になるならそれを受け入れない、という発想に至るでしょう。

また、そういった現状を改善できず、ただ自身の出来うる範囲で努力はしているが、その程度では事態は改善される事もない。だから彼らは「罪の中に生きている」と考えます。悪人に従い、間接的にでも悪人の利益になる行動をせざるを得ないからです。



デミウルゴス(demi-(urge|algo))、ヤルダバオト(Jal-da-bao-th)、アルコンが出てきます。

これら全て元ある知識の亜種(demi)という扱いです。

元ある知識の亜種、という事で詐欺や偽装、嘘の類です。

'urge'をbabylonしてみました。

そそのかす; 駆りたてる; 言い訳する; しきりに勧める 強い衝動、だそうです。

wikiでは'職人、工匠'だそうです。これはその当時の、というよりいつの時代も相手をだましたほうが利益を得る事が出来るから、そうなっている、という事です。相場が分からなければ高く売りつけてもばれず、同じ業界で独占して値段を自由に操れば荒稼ぎも出来る。詐欺をしたほうが利益が出て、詐欺をしない人物はその差の分不利になり経営が苦しくなり廃業し、残るのは詐欺をする人物となり増々詐欺をする連帯組織が出来上がる、という事です。結果として、職人などは詐欺師の塊だ、となり、デミウルゴス、という名称で呼ぶ事になります。


Jal-da-bao-thとは、Jal(本来あるべき性質に逆むく)、da(与える)、bao(権利、基本行動を行使する)、th(刹那主義者)です。

thはthetaというシンボルが図表で回転角や角度を表している事から、容易く変動するもの、というような意味を含みます。序詞、forth, fifthなどを見るように、ほんのわずかな事でその順序が変わるような容易く変動するものに使われます。

総じて意訳すればJaldabaothとは詐欺や偽装をその基本行動として実行する刹那主義者、と訳せます。事ある事に意見を変え、その場しのぎをするような人物、という事です。詐欺をするために相手によって立ち居振る舞いや意見を変える人物とも言えます。



"ヤルダバオトは自らの出自を忘却しており、自らのほかに神はないという認識を有している。"


正しい知識を行使した場合の本来あるべき状態とは違う状態を作り出す謝った知識(の体現者、アバターである人間)はその由来で忘れており、利益を追求した結果謝った知識を使い行動しているから自らを正しいのだと錯覚しているため本来の正しい知識に戻る事がない、と言う事です。



"このヤルダバオトの作り出した世界こそが、我々の生きているこの世界である、と捉えられる。"


数々の不都合、詐欺、犯罪、を受容してしまっている、それらの過ちを正す事が出来ない世界に私たちはいる、と言う事です。



反宇宙論は先ほど書きました。二元論は、嘘やご誘導で騙されてはいないか、本当の事は、真実は、別にあるのではないか、という事です。

例えば今の大統領を偉い存在、従っていれば良い存在、つまりは善、だとみなします。しかし、世の中には貧困、飢餓、争いが絶えません。ならそもそも善だと思っていることが間違っているから、そうなるのではないか、と疑う事により、もしそうならそれは善だと思っていたが偽物だ、という結論に至る考えです。もし本当に善なら世界にはこんなに貧困、飢餓、争いが溢れていない、という思考です。


"悪の世界は「物質」で構成されているので、故に物質も悪と判断する。物質で造られた肉体も然りである。一方、「霊」あるいは「イデアー」が「真の存在」であり、「真の世界」である、と解釈される。"


物質が悪である、というのは現状で目の前にあるものは詐欺や偽装、嘘の類でゆがめられた結果として存在している物であるため、本来そこにあるべきであった物とは違うものだ、という思想です。

例えば、ハンバーガーを見てみましょう。ファストフードです。使われている食材、人工保存料など、それらは、調理師が栄養計算して作った食事と同じでしょうか。例えばファストフード店が出店し、周りの食堂などを駆逐して、その周辺ではファストフード店の利用が主となったとします。ならそこで行われる食生活はどうなったでしょうか。質の低下を招いていませんか。デファクトスタンダードの害です。利益を追求し質を低下させる事が容認される社会の本質を悪だと、世界を悪だと考え、その結果として生じる物質も悪だ、とする考えです。質を上げるのは至難の業です。ですが質を下げるのはたやすい。なら利益が売価とコストの差だとすれば、利益を追求するのが正しいと妄信すれば、どちらが容易いか、どちらに傾くかは自明です。



グノーシスとはこういった考え方です。


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