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願い
願いは叶わないもの
そんな呟きはいつものこと
諦めを覚えた後で
差し延べられた腕を
僕はすりぬけ(拒絶し)て
ただ相手の心の奥を
読みとることに
専念し続ける
今更すぎるそれらたち
その言葉に
その腕に
縋ることを
僕は僕に許してやれない
心は広くないと知っている
僕自身がこれまでの人生で
学ばせてもらった事実
本当のことよりも
嘘の方が喜ばれることを
何よりも知っている
聴きたい言葉しか聞こえない耳に
何かを伝えようとしても
それは風に消されてしまうから
殺される言葉の悲しみに
僕は沈黙を選び
ただ観察を続けている
嘘は円満の源
本当は時にナイフのように
全てを壊す
本当はあまりに鋭すぎて
遊びの幅が無させぎるから
それゆえの絶対の美しさが在る
何処かに置き忘れてきた
自身を今更捜そうと思わない
ただ揺るがない軸が欲しい
誰かを時に傷つけることになっても
綺麗ごとと言われてもかまわない
僕が願うのはただ一つ
自身に守れない故に
守れる為の軸が欲しい